【マネジメント】「ストレスなし」で、部下を思い通りに動かすテクニック
こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
やるべきことをちゃんとやってほしい――。
それを部下に指示するとき、あなたならどのように伝えるでしょうか?
今のご時世、普通に指示するだけで「パワハラ」認定されてしまうのではないかと、部下に思うように言えないリーダーが増えているようです。そのような背景から、リーダーが部下に思い通りに動かすためには、それなりのストレスがかかります。
でも、チームや組織として、いわゆる仕事として、部下に言い訳させずにやるべきことをやってもらう必要があります。
現場に入って、目標を絶対達成させる超人気コンサルタントとして知られる、アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘さんは、著書『「空気」で人を動かす』の中で、ストレスなしで、しかも効果が高い、部下を思い通りに動かすコミュニケーションテクニックをいくつか紹介しています。今回は、その中の1つのテクニックを解説している箇所を一部編集して公開します。
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作話させる前にフレーミングする──応用テクニック①「プリフレーム」
相手の意識の中にあらかじめフレームをつくる手法を「プリフレーム」と呼びます。
「人間は、基本的に1つのことしか意識できない」という特性を利用したテクニックです。とても簡単なのですが、大きな効果を発揮します。
最初にフレーミングするのは、原理原則。チームにおける規律や価値観。そして、存在意義や目標といった類のものです。
新入生や新入社員が相手ならともかく、同じ時間をしばらく共有した相手をティーチングする際、「大きな視点」から「小さな視点」へと移行するように話をします。
「プリフレーム」しないで話した場合は、どうなるかをまず述べてみましょう。
リーダーが部下にこう言ったとします。
「最近、職場に対する改善提案がとても少ないじゃないか。しっかりやってくれよ」
このように「小さな視点」で、かつ「少ない」や「しっかり」といった「ぼかし表現」を使っていると、相手は反発したくなります。
「この前だって改善提案、出しましたよ」
「この前と言ったって、先月の話だろう? 職場を活性化するために、毎週1つは出すんだ」
「毎週1つって……。そんなに改善すべきことなんてありませんよ」
「じゃあ、君は職場が100%完璧だと言いたいのか?」
「別に、そんなこと言ってないじゃないですか」
リーダーがなんとか職場の空気を変えようとしているのに、それを守ろうとしないメンバーがいると、ついつい強い調子でリーディングしたくなります。気持ちはわかりますが、高ぶる気持ちをグッと抑え、「大きな視点」でフレーミングするところから始めてみましょう。
◎「プリフレーム」して話した場合
遠回りのように思えても、「そもそも」の事柄からまず最初に伝えるのです。
「4W2H」を使い、省略せずに話します。
ポイントは、「空気」に向かって話すことです。場所も、さりげなく自然な形で近づいて話しかけられるとなお良いでしょう。
例えば、こんな感じです。
「確か、総務部の入り口近くにある棚の上に『改善箱』を置いたのは昨年の4月だったと思う。そもそも社長が職場を活性化するために、もっと改善提案を出せと経営会議で言ったことがきっかけだったんだけど、それが去年の1月だったかな。でも、管理者ばかりが頭をひねっても、若い人の言い分を拾うことは難しいだろうと管理部長が言ったため、『改善箱』を設置しようとしたんだ」
このように、ディテールを事細かく説明します。相手は、知っていることばかりなのに聞き入るでしょう。
「ところが、設置したのはいいけれど、全然『改善箱』に改善案を入れる人がいないので、管理部のBさんが『全員、毎週1つは改善提案を出したらいかがですか。どんな小さなことでもいいから、改善提案をする癖をつけるためにやりましょう』って言ったんだ。それが去年の6月。それからずっと、職場にいる9人、全員が毎週毎週、改善提案を出すようになった。最初はけっこう大変だった。でも慣れてくると、意外とアイデアが出るもんだって、確か君も言っていたね。社長もすごく喜んでいたよ。小さな箱に毎週、9枚の改善提案が溜まっていくのを見ていたら、この会社の将来は安定するに違いない。本当にうれしいって言っていた。……ところが、だ。今年に入ってから、少しずつそのルールが崩れ始めた」
ここまで細かくフレーミングされたら、さすがに次のように言われても反論しづらいと思います。
「最近、職場に対する改善提案がとても少ないじゃないか。しっかりやってくれよ」
「わ、わかりました」
このように、素直に受け止めるでしょう。
過去をさかのぼり、そもそも何の目的で始めたことなのか。何のためにこれをすべきなのか。これまで、どのような経緯があり、何を乗り越えて今があるのかなどを最初に伝えます。そうすることで、相手の視野角を大きくすることができます。そして物事を客観視できるようになるのです。
相手が反論してから、それを打ち消そうとするのは控えましょう。一度口にしたことを撤回するのは難しいものです。自分が言ったことを一貫して正当化したくなるからです。先述した「一貫性の法則」がはたらくのです。
相手が「やらない理由」「できない理由」を作話する前に、フレーミングすることが重要です。
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いかがでしたか?
【NLP理論】【脳科学】【行動経済学】に基づいた、良い「空気」に変えるための究極メソッドをまとめた『「空気」で人を動かす』(横山信弘・著)は、おかげさまで、長きにわたり多くのビジネスパーソンに支持され続けているロングセラー作品となっています。一人でも部下を持つリーダーにとってマネジメントのヒントが満載の1冊です。興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
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