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【連載】#26 “今日一日生きていられることに感謝する” 世界一のオリーブオイル|唯一無二の「出張料理人」が説く「競わない生き方」
職業「店を持たない、出張料理人」、料理は出張先の素材を最大限に生かしたオンリーワンのレシピを考案して提供する――。本連載は、そんな唯一無二の出張料理人・小暮剛さんが、今までの人生で培ってきた経験や知恵から導き出した「競わない生き方」の思考法&実践法を提示。人生を歩むなかで、比べず、競わず、自由かつ創造的に生きていくためのヒントが得られる内容になっています。
※本連載は、毎週日曜日更新となります。
※当面の間、無料公開ですが、予告なしで有料記事になる場合がありますのでご了承ください。
私は、日本人初のオリーブオイルのソムリエの称号をイタリアの名門オリーブ園からいただきました。
私のつくるヘルシー料理には欠かせないのがオリーブオイルです。最高のオリーブオイルを追い求めて、世界中のオリーブオイルの産地を訪れ、探し回っていました。そして、やっと見つけたのが、南イタリア・シシリア産のオリーブオイル「ラヴィダ・クラシックレーベル」です。
私が見つけ出す前までは「シシリアには良いオリーブオイルはない」というのが料理業界の定説でした。しかし、現地に行ってみると、まったく逆で、ものすごくおいしく、衝撃を受けました。
シシリアの名門オリーブ園のオーナーさんに
「なぜ、シシリアのオリーブオイルはこんなにおいしいのに、世界に知り渡ってないのですか?」
とお聞きすると、オーナーはこんな話をしてくれました。
「シシリアは、かつて、キリスト教徒とイスラエル教徒の戦争の舞台でした。ゴッドファーザーで有名になったマフィアも、戦争からシシリアの人々の身を守るためにできたものです。
今日は生きているけれど、明日は死んでしまうかもしれない。だったら、今日一日生きていられることに感謝して、家族や友人とおいしい食事をして、楽しく過ごそう。そのために欠かせないのが、おいしいオリーブオイルなんです。
普通のオリーブオイルをたくさんつくって売り、儲けることよりも、自分たちがおいしい食事を楽しむための最高のオリーブオイルをつくることのほうが、はるかに大切なんです。そして、この最高のオリーブオイルは、少ししかつくれないんです。だから、知られていないのかもしれませんが、今でも私たちは、今日一日をおいしく楽しく、家族や友人と過ごすことが何より幸せなんです」
この話をお聞きして、「これは本物だ!」と心底感動しました。そこで私は売ってもらえないかとお願いしたのですが、最初は「生産量が少ないから売れない」と言われました。でも私はあきらめきれず、時間と情熱をかけて、何度もオーナーのもとにうかがい頼み込み、やっとのことで分けていただけるようになりました。
それからは、世界のどこに行くときでも、この「ラヴィダ・クラシックレーベル」を持参しています。
なぜかって?
最高級のオリーブオイルは、世界中のあらゆる食材の旨味を引き立てる、完成されたソースだからです。
【著者プロフィール】
小暮 剛(こぐれ・つよし)
出張料理人。料理研究家。オリーブオイルソムリエ。1961年、千葉県船橋市生まれ。明治学院大学経済学部卒業後、辻調理師専門学校を首席で卒業。渡仏し、リヨンの有名店「メール・ブラジエ」で修業。帰国後、「南部亭」「KIHACHI」「SELAN」にて研鑽を積み、1991年よりフリーの料理人として活動開始。以後、日本全国、海外95カ国以上で腕をふるう「出張料理人」として注目される。その土地の食材を豊富に使い、和洋テイストを融合させて、シンプルに素材の持ち味を生かす「小暮流料理マジック」に、国内のみならず世界中から注目が集めている。近年は、出張料理人として活躍しながら、地域食材を最大限に生かしたレシピ開発を通じた地方再生や、子どもたちの食育講座などを積極的に行なっている。また、日本におけるオリーブオイルの第一人者としても知られ、2005年には、オリーブオイルの本場・イタリア・シシリアで日本人初の「オリーブオイルソムリエ」の称号を授与している。その唯一無二の活躍ぶりは各メディアでも多く取り上げられており、TBS系「情熱大陸」「クレイジージャーニー」への出演歴も持つ。最終的な夢は、「食を通して世界平和を!」。
▼本連載「唯一無二の『出張料理人』が説く『競わない生き方』」は、下記のサイトで過去回から最新話まですべて読めます。