同じ症状名でも特性の現れ方は人によって違う。生きづらさを軽減し克服するために大切なこと。
症状名だけで特性は決まらない
ひと口に発達障がいといっても、それによって現れる特性はさまざまです。
たとえば「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断された人のすべてが「場の空気や人の表情を読むのが苦手」「人とのコミュニケーションが上手にできない」といった特性を必ずしも持っているわけではなく、人によって特性の現れ方や程度の強弱は違っています。
相互のコミュニケーションが難しい子どもがいる一方で、呼びかけに応じたり、自分から積極的に話しかけたりできる子もいるので、単純に症状名だけで「この子はこういう特性がある」と決めつけてしまうのは避けるべきだと思います。
たとえるなら、双子やきょうだいでもそれぞれに個性があり、性格が違っているのと同じことなのです。
また、発達障がいに見られる特性のいくつかは、成長とともにその程度が弱まり、次第に目立たなくなっていくこともあります。
療育などを通じてさまざまな経験を積み、社会のルールに触れることで、その時々の状況に合わせた好ましい身の振る舞い方、適切な発言の内容などを学び、次第に適応できるようになっていくのです。
成長や経験によって特性自体が消えてなくなることはありません。
しかし、毎日の生活の中にある困りごとを周囲の人々がサポートし、社会のルールをわかりやすい形で示してあげることで、子どもの適応力は育っていきます。
ひいてはそれが生きづらさの軽減にもつながっていくと思います。