見出し画像

これさえ読めばまるわかり!今話題のプラントベースト食品とは?③原材料編

こんにちは、食品業界で働いております、らびです。
プラントベーストまるわかりシリーズ、今回で完結となります!

これまで見ていただいた方、ありがとうございます。
簡単に過去を振り返りますと・・・

第一弾、プラントベースト食品(PBF)がなぜ世界で流行っているか

・環境的な負荷が少ないため
・次世代のたん白源として期待されているため
・健康促進のため

第二弾、PBFを販売・製造している主要加工食品メーカーは?

日本
・不二製油、マルコメ、大塚食品、森永製菓、カゴメ、丸大食品・・・
海外
・Impossible Foods, Beyond Meat, Nestle, Kellogg, Daiya Foods・・・

今回の第三弾は「PBFはどんな原材料から作られているか?」を、ベジタリアン・バーガーパテを例にご紹介したいと思います。

※以下、プラントベースト食品はPBFと略させて頂きます

◎ ベジバーガーなど、 "肉代替食品" の原材料解説

画像1

米国で最も有名な「ビヨンドバーガー」の配合表を見て見ましょう。私の主観ですが、名称だけでイメージしにくいものを抜粋して解説いたします。

ビヨンドバーガーの原材料:
水、エンドウ豆たんぱく、キャノーラ油、ココナッツ油、ライスプロテイン、天然香料、ココアバター、ムング豆たんぱく、メチルセルロース、ポテトスターチ、りんごエキス、ざくろエキス、食塩、塩化カリウム、酢、レモン果汁、ひまわりレシチン、ビーツ果汁エキス(色素として)

● 植物性たんぱく質(エンドウ豆、ライス、ムング豆たんぱく)
こちらは前回の記事で簡単に紹介しましたが、基本的には「植物からたんぱく質を分離・濃縮したもの」になります。

たんぱく質だけを分離・濃縮するには、ヘキサンなどの溶剤抽出、圧搾などの物理的抽出によって余計な成分を除去する方法があります。

最終的にエクストルーダーと言われる機械を使用してフレーク状に加工したり、スプレードライなどで粉末に加工する場合があります。

画像4

写真:チーナンDAYI社のエクストルーダー
写真のようなお菓子(パフ)を作る事ができる機械です。

上記のような加工処理をする事によって、パテ1個あたりのたんぱく含有量をお肉レベルまで上げると同時に、食感まで本物の肉に似せる事ができます。

天然香料(Natural Flavor)
日本では食品ラベルに「天然香料」と表記する事は認められておりませんが、米国やEUでは、Natural Flavorは一般的な表記になります。

例として、肉・乳製品・魚介・植物・酵母などから抽出されたエキスがあります。抽出方法も多種多様で、物理的に絞る(圧搾)や、コーヒーのように熱水や水出しで抽出する方法、酵素を使って不必要な成分を分解する方法、有機溶媒(エタノール、ヘキサン)などによる溶媒抽出などがあります。

当然、ビヨンドバーガーの場合は肉不使用の香料だと思うので、植物エキス、酵母エキスなどが主体だと思います。

「香料」の作り方は、化学合成された単品化合物や植物抽出エキスなどを調香師が調合して作ります。

無印とかで売っているアロマディフューザー用のエッセンシャルオイルってありますよね?あんな感じのエッセンシャルオイルを、いくつも調合するイメージです(もちろん調合に使用する原料は、食品添加物として認められた原料や天然由来のエキスなどを使用しております)。

画像2

香料を調合している様子
(写真:Perfume Bizより引用)

● メチルセルロース (MC)
メチルセルロース(MC)は、簡単に言えば「増粘・ゲル化」という役割を果たす食品添加物です。一応、植物由来(木材パルプ)の添加物なのですが、アルカリ処理や化学反応などの工程を経るため、ベジタリアン・バーガー界隈では結構グレーな原料として考えられております。

ご存知の通り、植物性油脂(キャノーラ油など)は常温液体の製品が多いですが、動物性油脂(ラードなど)は常温でも固体ですよね?実はこの「固形的な油脂感(食感)」が、植物性バーガーパテをよりリアルにする為に求められているんです。

通常、寒天、キサンタンなどのゲル化剤は「冷えると固まる」という性質をもっているものが多いのですが、このMCは熱ゲル化性という「温めると固まる性質」を持っていますので、植物性バーガーなどの「つなぎ」的な役割や「ジューシーな油感」を創出する事につながります。

画像3

メチルセルロースの熱ゲル化性
(出典:ユニテックフーズ社ホームページより)

ポテトスターチ
日本でいう「片栗粉」に近い原料となります。食感改良やつなぎ的な意味で使用しているのだと思います。

塩化カリウム
おそらくですが、塩味増強のため使用しているかと思います。塩化カリウムは若干の塩味とえぐみを有しており、日本でも減塩食品などに多く使用されています。

ひまわりレシチン
レシチンは大豆、卵などに含まれる乳化作用(油と水を均一に混ぜる事ができる性質)をもつリン脂質の一種です。

乳化についてはユウキさんの解説がシンプルで非常にわかりやすかったので、ぜひ参照ください↓

◎総括

以上、今回はビヨンド・バーガーで使用されている原材料を参考にしてみました。

面白いのが、ベジタリアンパテは "最新の食品科学技術を結集して作られた自然食品" 、という点なんです。形、食感(噛みごたえ、振動なども含む)、香り、味、色、などをすべて食品科学者が設計・計算して「本物に似せて」作っております。

ただし、日本の場合は肉の再現よりも、おいしさ追求、健康訴求などを目指している場合が多いです。上記の「肉を再現!」的な思想は、あくまで肉食文化の欧米的なマーケティング発想なので、日本で流行らせるには別の視点が必要かも知れません・・・。

最後に、特に食事に制限が無い方は、とりあえず難しい事は抜きにして


「まずは食べて、楽しんでみる!」
「美味しければ、次も買う!」

という精神でPBFをトライしていただければ、話のネタにもなるし、皆様のフードライフが豊かになるのかな、と思います。

食べてみて気に入った方は時々PBFも取り入れて、日常の食事に彩りを与えてみてください:)


よければTwitterフォローいただければ嬉しいです:)






いいなと思ったら応援しよう!

らび@Foodie
お気持ちだけでも十分嬉しいです!ありがとうございます。

この記事が参加している募集