![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88256315/rectangle_large_type_2_ce99e808d96cf917517625c6fa88c3d1.jpeg?width=1200)
うみをみわたすほしのひとかげ (短歌)
《ある日、日没のあとに江ノ島の灯台に登った。まわりで恋人たちが愛を囁きあっているあいだに座って、三才の息子と海に掛かる月を眺めた。そのとき息子が突然口走った歌》
たららららーたららららららーなんだっけー
うみをみわたすほしのひとかげ
《下の句だけを口走った息子に、上の句も作って!と煩くせっついてみたが、結局適当にこんな程度にしか作ってくれなかった。下は同じときのわたしの歌》
大海の一歩手前の白波の
くれなずむ岩に灯をともすひと
《神と恋に落ちること、についてずっと考えている。下は前に投稿した、「落ちれば良い、と神が言ふ、わたしと恋に落ちれば良いと」という歌の前後についていた歌》
神経も脳も言葉もかたまって
みあしのもとに投げる秋の夜
あしもとを拐へるやうにすくやうに
暴力的に我がことを主よ
《わたしと恋に落ちれば良い、という歌をさそいのように、キリストはわたしの頭になんども囁いている。十代をとうに越してしまったわたしは、恋に落ちるってどんなことだったかしら、と思いを巡らしてばかりいる》