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ほかのすべては沈みゆく砂 (短歌)


家を出るときに鉛を置き去れり
洗はるるやうなましろきひかり


遠近をちこちの山にかかれるしろい霧
われのこゝろに神が囁く


こゝろより愛する神とこの雨を
ふたりで歩くことを思へる


子の眠るしづかな車内、
主をうたふ歌の流れる窓の水滴


見へざれど海の方角晴れにけり
『いかばかりにかなれを愛さん』


この恋にすがれるやうにわれ生きん
ほかのすべては沈みゆく砂

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