『木の実と葉な恵』 #シロクマ文芸部
木の実と葉な恵は仲良し姉妹。今年も二人でどんぐりを拾っています。
「ねえねえ、木のちゃん」
「なあに、葉なちゃん?」
「いつもはどんぐりでハロウィンの飾りを作るじゃない?」
「そうね」
「今年はこれでクッキーを焼いてみない?」
「でもどんぐりって食べられるの?」
「食べられるわよ。アク抜きが必要なものもあるけど、スダジイやマテバシイならアク抜きしなくても大丈夫みたい」
「じゃあ一回作ってみてもいいわね」
そんなやりとりをして、たくさん拾ったどんぐりを持って、二人は家に帰ります。
「どうすればいいの? 葉なちゃん」
「アク抜きした方がいいものも紛れているかもしれないから、どんぐりを水に浸して数日置いておくの。その時に浮いてきたものは、虫に食われているかもしれないから避けてね」
「意外と手間がかかるわね」
「でもね、その分きっと美味しいクッキーが焼けるわよ」
「そうだといいわね」
数日後、木の実と葉な恵はどんぐりを茹でて砕いてクッキーを焼きました。
「わあ、葉なちゃんの言った通り! とっても美味しそう!」
「ふふふ、早速食べよてみようよ」
「いっただきまーす!!」
二人は一緒にクッキーに齧りつきました。
「ん〜! とっても美味しい! でも……なんで葉なちゃんは急にどんぐりクッキーを作ろうと思ったの?」
「だって、ハロウィンにお菓子をあげるにも材料費がバカにならないじゃない?」
「確かにこれなら少しは安く済ませそうね」
「でしょう?」
「次は紅葉の天ぷらを作ろうね、葉なちゃん」
「そうね。少し共食いみたいだけど」
「それを言ったら私もじゃない」
「あら、ほんと!」
食欲の秋も今や花より葉より団子になっている木の実と葉な恵なのでした。
イメージは『ぐりとぐら』ですかね。ブラックのオチにもできなくはなかったけれど、今はそういうムードじゃないため、こんな感じに。
少し早いけれど、よかったらこちらもどうぞ〜🎃