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発見のある生活を


2023年11月7日(火)朝の6:00になりました。

人間はなにも創造しない。ただ、発見するのみである。

どうも、高倉大希です。




小学生のころの理科の授業で、ひとつだけ妙に記憶に残っている実験があります。

それは、温めた空気の体積は大きくなるということを確かめるための実験でした。


はじめに、フラスコの口に風船をくくりつけます。

そして、そのフラスコの丸底をお湯の中に浸します。


すると、フラスコの口にくくりつけた風船がすこしだけ膨らみます。

これで、温めた空気の体積は大きくなるという結果が得られるというわけです。


自分で学び、自分でできるようになったことは、自信が持てますし、疑いません。一方で、自ら体得する体験をともなわず、人から教わっただけのことには、なかなか自信は持てないものです。

玉城真一郎(2019)『「ついやってしまう」体験のつくりかた」ダイヤモンド社


ところが、この実験はここで終わりではありません。

こんどは、フラスコの口を下に向けてまったくおなじことをします。


当然フラスコの丸底は上を向いているので、お湯に浸すことはできません。

だから代わりに、温かい濡れタオルをかぶせます。


結果はすでに出たはずなのに、どうしてわざわざこんなことをするのだろう。

子どもながらに、ずっと疑問に思っていました。


迅速な意思決定のためには、いまある選択肢をいかに絞り込むかという視点で情報収集すべきなのだ。意思決定に使える時間には限りがあり、完璧な答えが出るまで意思決定を先送りしたくても、相手は待ってはくれない。となると、いかに限られた情報をもとに再意的な意思決定をするかがカギとなる。

内田和成(2006)「仮説思考」東洋経済新報社


先生に質問すると、こう説明してくれました。

「ひとつ目の実験だけだと、空気がただ上に移動しただけかもしれないでしょ」


この言葉を聞いて衝撃が走ったことを、いまでもはっきりと覚えています。

空気の体積が大きくなったと勝手に、決めつけてしまっていたのです。


たしかに、空気がただ上に移動して風船が膨らんだだけかもしれません。

ほかの可能性を考えもしなかった自分が、とても恥ずかしくなったのです。


かなり稀ではありますが、単純な関係性を理解するだけで、すべてを「わかった!」と感じることができるような発見があるのです。それは、科学者にとって一番楽しい瞬間であり、セーラー服の薬師丸ひろ子が機関銃を撃ちまくるような“カイカン”を科学者にもたらしてくれます。

近藤滋(2019)「波紋と螺旋とフィナボッチ」株式会社KADOKAWA


このころから、なぜそれをするのかという目的を考えることが癖になりました。

「そういうことか!」という発見の気持ちよさを、体感してしまったのです。


じつは、この理科の実験にはもうすこしだけつづきがあります。

下向きにしても風船が膨らむことを確認したあとに、もうひとつ実験をします。


それは、へこませたペットボトルをお湯に沈めるという実験です。

なぜそれをするのか、みなさまならもうおわかりのことでしょう。






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高倉大希
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