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人はいつだって見当違いなものに拍手を送る


2024年7月5日(金)朝の6:00になりました。

他人がつくったリングの中で、きみが立派な成績を出したことに対する拍手だ。

どうも、高倉大希です。




「人っていうのはいつだって見当違いなものに拍手をするんだよ」

J.D.サリンジャーの小説、『ライ麦畑でつかまえて』の一節です。


みんな笑っているけれど、何がおもしろいのかがわからない。

思春期をこじらせていた当時の自分にとっては、とてもホッとする一文でした。


そうだよな、見当違いだよな。

つまらないものに拍手を送ったら、その人が勘違いしてしまうよな。


ムダな頑張りを褒めると、間違った方向に人は進みます。「これさえやっとけばいい」という発想になります。「評価」という仕組みは、それくらい慎重に扱うべきものです。

安藤広大(2023)「とにかく仕組み化」ダイヤモンド社


「この人で、笑ったことがない」

お笑い芸人さんの動画を開くと、大抵このようなコメントがみつかります。


そんなこと、わざわざ書かなくてもいいのにな。

そう思いながらも、ほんの少しだけ気持ちがわかる自分もいます。


そうだよな、見当違いだよな。

つまらないものに拍手を送ったら、その人が勘違いしてしまうよな。


いまいちばん気をつけなきゃいけないのは「無責任に褒めてくる大人からみんなを遠ざける」ということだと思っています。まだできていないのに、その感じで褒められると、勘違いした人間が生まれてしまう。

テレビ東京(2023.2.8 )「あちこちオードリー」蓮見翔さんの発言より


アメリカのオーディション番組で、日本人がときどき脚光を浴びています。

先日も、TT Brothers のステージが大きな盛り上がりを見せていました。


T、TT、T〜T〜、TT〜!

会場がとても楽しそうで、思わず画面の前で拍手をしました。


人っていうのはいつだって、見当違いなものに拍手をするんだよ。

きっと、こういうことだよな。


生きているということが素晴らしいかつまらないかということは、やっぱり、その人つまり自分がそう思っているってことなんだ。自分が思う以外に、他の誰も自分の代わりに思うことはできないんだから、これは確かにそういうことなんだ。

池田昌子(2003)「14歳からの哲学」トランスビュー


見当違いなものに、拍手なんて送るべきじゃない。

かつては、こう思っていました。


見当違いなものに、拍手を送るということはすばらしいことなのかもしれない。

最近は、ちょっとだけこう思うようになりました。


人っていうのはいつだって、見当違いなものに拍手をするんだよ。

きっと、こういうことだよな。






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高倉大希
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