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あいつは変わっちまったよ


2024年12月26日(木)朝の6:00になりました。

小さな雪の粒も積み重なれば、景色を変えるのは不思議ですね。

どうも、高倉大希です。




最近、よく考えます。

一貫性がある人は、なぜよしとされるのだろう。


時には、軸がある人と呼ばれたり。

時には、芯がある人と呼ばれたり。


いずれにせよ、そのような人にはよいイメージを抱きがちです。

ところがなぜかと聞かれると、意外と答えられません。


人間は、デカルトが言ったように「今考えている、だからいま存在する」ということはなくて、「いま」という時間を少し遅れて「こう考えて行動したはずだ」という意志が作られる。「主体として一貫している」という幻想を作るシステムが人間にはあるのだと思います。

養老孟司、茂木健一郎、東浩紀(2023)「日本の歪み」講談社


あのバンドは、変わっちまったよ。

古参のファンが、嘆きます。


あいつは、変わっちまったよ。

古い友人が、嘆きます。


変わっちまうのは、悪いこと。

どうやら、そう思われがちです。


人間は変化するのですから、当然自分も変化します。しかし、刻一刻と変化する自分というものを、脳はうまく扱えません。そこで脳は、自分というものを無理やり固定しようとします。個人の名前がその典型です。

養老孟司(2023)「ものがわかるということ」祥伝社


おそらく、そこには期待があります。

自分にとって都合がよかった、あのころのままでいてほしいという期待です。


ずっと変わらず、ギターをかき鳴らしていてほしい。

ずっと変わらず、バカなままでいてほしい。


そんな期待を勝手に抱いて、裏切られたと嘆くのです。

だからこそ、一貫性がある人はよしとされるのだろうなと思います。


大事なのは、そのときに彼らが自分たちの行動や方針が一貫して見えるように一定の理屈を立てていることです。それはある意味ごまかしですが、そういった「ごまかしをすることで持続しつつ訂正していく」というのが、ヨーロッパ的な知性のありかたなのです。

東浩紀(2023)「訂正する力」朝日新聞出版


その人の、今後の言動が予測しやすい。

もしかしたら、これもひとつなのかもしれません。


先を予測できることは、安心につながります。

安心することができる人は、やはりよしとされるのです。


変わっても、好きでいられるか。

変わっても、好きでいてもらえるか。






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高倉大希
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