日本文学で学ぶイタリア語:人間失格 5
こんにちは Minori です。
日本文学で学ぶイタリア語,続きを読んでまいります。
まったく,その子供の笑顔は,よく見れば見るほど,何とも知れず,イヤな薄気味悪いものが感ぜられて来る。どだい,それは,笑顔ではない。この子は,少しも笑ってはいないのだ。その証拠には,この子は,両方のこぶしを固く握って立っている。人間は,こぶしを固く握りながら笑えるものでは無いのである。猿だ。猿の笑顔だ。ただ,顔に醜い皺を寄せているだけなのである。「皺くちゃ坊っちゃん」とでも言いたくなるくらい