日本文学で学ぶイタリア語:人間失格13
日本文学で学ぶイタリア語。
太宰治の『人間失格』のイタリア語翻訳を通じて、言葉のニュアンスや文化の違いを感じながらイタリア語を学びます。
この作品は、主人公の大庭葉蔵が自らの人生を振り返る形で描かており,「はしがき」,3つの「手記」、そして「あとがき」で構成されています。今回から,いよいよ第一の手記にはいります。主人公 大庭葉蔵は,自身の感情の薄さを感じながら育ちますが,この第一の手記では,彼の内面の孤独と、周囲の人々との距離感が強調された,彼の少年時代を描きます。冒頭はあまりにも有名なこの一節から始まります。
動詞 trascorrere。他動詞としても自動詞としても使われる動詞ですが,この文章では una vita を直接目的語にとっているので,他動詞として使われています。意味は (時を)過ごす。
vergogna。女性名詞で,恥ずかしさ,羞恥心。Che vergogna! と言えば,「恥ずかしい!」「みっともない!」動詞は vergognarsi 。命令法で Vergognati! と言えば「恥を知れ!」Lei に対してなら,Si vergogni! 複数人 Voi に対してなら,Vergognatevi!
「恥を知れ!」と言った政治家といえば,元安芸高田市長で,先の東京都知事選挙に出馬し,一躍有名になった石丸伸二氏。とある市議が,本会議中に居眠りをしていたことに怒り,こう言い放ったわけですが,言われた市議は後に脳梗塞を患っていたことが発覚しました。古いところで言えば,そう,三原じゅん子氏も言ってましたよね。こういう人を見るたびに,お前は何様なんだよ,と思ってしまう。そう,この方もその一人。
昨年亡くなった,ベルルスコーニ元イタリア首相。Buffone! Buffone! (無責任な人,いいかげんな奴) とヤジを飛ばす市民に近づき,不敵な笑みを浮かべながら Vergognatevi! Siete ignoranti stupidi! 恥をしれ!無知な愚か者め!と言い放つ。イタリア人政治家は,一般市民に対してここまで言っちゃう。すごいよね。
原文とかなり違いますね。イタリア語翻訳文を,頭から細かく区切って見ていきましょう。
Per me,
私にとって
l’esistenza umana
人間の存在は
non ha alcuno scopo.
何の目的もない。
grandicello。形容詞 grande に,「縮小」「親愛」「侮蔑」などの意味を表す指小辞 - ello をつけた形で,直訳すると「少し大きい」「まあまあ大きい」という意味になります。
この構文も知っているととても便利です。che 以下は,直接法が続きます。
はい,本日はここまでです。記事をお読み頂き,ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております ^_^
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