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日本文学で学ぶイタリア語:人間失格 4

こんにちは Minori です。
ミケランジェロの秘密の部屋

Stanza di Michelangelo
ってのがあるのをご存知ですか?

去年の11月から試験的に
一般公開されているそうなんですが,
全然知らなかった‼️

メディチ家礼拝堂美術館の中にある
奥行き10メートル,幅3メートルの
小さな部屋で, その壁には,
ミケランジェロのものとされる
スケッチやデザイン画が描かれています。

1975年,当時のメディチ家礼拝堂の館長が,
後陣(教会堂祭壇後方に張り出した半円形
または多角形の部分) の下の区域の清掃を
依頼した際に偶然発見したんだとか。

1530年,ローマ教皇クレメンス7世による
死刑宣告を逃れるため,サン・ロレンツォ
修道院長は,ミケランジェロを匿います。

その2ヶ月に渡る潜伏期間の間,
ミケランジェロは,この部屋を作品の
下書きをするために使ったと
考えられています。

その小さな秘密の部屋が,
一般公開されている?
しかも,公開は4月30日まで❓️

せっかくフィレンツェにいるん
だから,これは行かなきゃ‼️😳

早速,予約サイトを検索しましたが,
はい,売り切れぇ〜‼️ 😫

なんでも,その部屋には,一度に4人しか
入れず,滞在時間もわずか15分。
一般公開が発表された去年のうちに
33ユーロのチケットは,
すべて完売していたようです。

なんとも残念ですが,
今は,なんでもYouTube
見られます。いい時代ですねえ。

秘密の部屋を紹介している動画は
いくつかありますが,この動画が一番,
実際にそこに行った感が味わえますので,
お勧めでございます。

さて,日本文学で学ぶイタリア語
太宰治の代表作の一つ,彼の遺作と言われている
「人間失格」のイタリア語翻訳を題材に,
イタリア語の文法と,その表現を学ぼうという
試みです。

今回はその4回目。

《はしがき》では,小説の主人公「葉蔵」の
3枚の写真が「私」によって紹介されます。

1枚目の写真は,葉蔵が「首を30度ほど
左に傾けて,醜く笑ってる」写真です。

こちらの記事では、3枚の写真が
イラストとして再現されています。
その忠実さには驚かされます。
ぜひご覧ください。

それでは,文学で学ぶイタリア語,
早速行ってみましょう‼️
今回取り上げる部分はこちら。

「人間失格」はしがきより

今回も長いので,要約します。

醜く笑ってる顔,と言っても,
美的感覚をあまり持ち合わせて
いない人たちは,この写真の少年を見て,
いい加減に「可愛い坊っちゃんですね」
と社交辞令で言うかもしれない。
それくらいの可愛らしさは
感じられるからだ。

でも,多少なりとも美に詳しい人なら,
「なんて,いやな子供だ」と,
毛虫を払い落とすかのごとく,
その写真を放り投げるかもしれない。

では,イタリア語訳を見ていきますが,

鈍い人たち
美醜(びしゅう)
まんざら
謂わば通俗の
いささかでも
ひと目見てすぐ
なんて,いやな子供だ
頗る(すこぶる)不快そうに呟き

このあたりどうイタリア語に
訳されているのでしょうか。
気になります。🤔
では,イタリア語翻訳文を見てみましょう。

イタリア語は2文に分かれてますが,
どっちにしても長いです。

では,イタリア語文を詳しく読む前に,
翻訳で使われていた単語をいくつか
確認しておきます。
単語の意味は,訳文で使われている
意味を選んでいます。

では,例によって,イタリア語を
細かく区切って頭からド直訳していきます。

Orribile?
醜い?
Eppure,
しかしながら
quando gente priva di sensibilità
感受性を欠いている人々が
(indifferente al bello e al brutto, cioè)
つまり,美醜に無関心な人々が
gli diceva
彼に言っていた
con aria distratta,
気のない様子で
per educazione:
礼儀として
“Ma quanto sei carino!”,
「なんて可愛いの!」
queste parole non suonavano
これらの言葉は響かなかった
come un banale e vacuo complimento,
陳腐で空虚なお世辞のようには
perché
なぜなら
il viso sorridente del bambino
その子供の笑顔には
una certa grazia convenzionale l’aveva.
ある種の通俗的な可愛らしさがあった。

最後のこの部分。

perché il viso sorridente del bambino
una certa grazia convenzionale l’aveva.

これ,もう語順は一体どうなってんの。
動詞が最後にきてるし。
もう,イタリア語って,どこまで,
語順が自由なんだろうか。
こういうことですよね。

Perché il viso sorridente del bambino
l’aveva una certa grazia convenzionale.

なぜなら、その子の笑顔には、
ある種のありきたりな可愛らしさが
あったからである。

l’aveval’ は,grazia を指しています。
目的語代名詞ってのは,名詞の代わりに
使う語ですから,普通はどっちかで
事足りるんですけど,目的語代名詞と
名詞を重複して使うことで,
強調させる効果があります。

ド直訳の日本語を整理します。

醜い? とはいえ、感受性を欠いた
人々(つまり、美醜に無関心な人々)が、
無関心な態度で、儀礼的に、「なんて
可愛いの!」と彼に言っていたのを聞いても,
その言葉は単なる空お世辞には聞こえない。
なぜなら、その子供の笑顔にはある種の
ありきたりな可愛らしさがあったからだ。

美醜bello e brutto
面白くも何ともないような顔をして は,
con aria distratta ですかね。

後半部分です。単語を確認します。

翻訳文です。

ド直訳していきます。

Una persona dotata di fine senso estetico,
美的感覚に恵まれた人は
invece,
それに反して
farebbe volare via la foto
写真を飛ばさせるだろう
con la mano,
手で
come se scacciasse un bruco,
毛虫を追い払うかのように
mormorando in tono stizzito:
いらいらした口調で呟きながら
“Che bambino orrendo!”.
「なんて醜い子供だろう!」

日本語を整理します

一方,美的感覚に恵まれた人は、
いらいらした口調で,
「なんて醜い子供だろう!」
と呟きながら,まるで毛虫を
払いのけるように,
その写真を放り投げるだろう。

今回は文法的に気になったところは
写真を放り投げる が,なんで,
farebbe volare via la foto
あえて「使役」を使ってるのか,
というところです。

以前から,イタリア語の使役表現は,
日本語のそれとは違う独特な使い方が
あるんじゃないかと思っておりまして。
この謎には,追々迫っていきたいと
思っています。

今回は(私にとっての)進出単語が,
かなりありましたが,特に気になったのは,
形容詞の orribileorrendo

訳文では「醜い」を表現するのに,
orribile という形容詞を,そして,
「なんて,いやな子供だ!」
の「いやな」を表現するのに,
orrendo という形容詞を使っています。

「醜い」と聞くと,brutto
まず思い浮かぶのですが,
bruttoorribile の違いを
ヴァレさんに聞いてみましょう。

👱‍♂️ brutto は,見た目が魅力的でない。
      反対語は bello。比喩的に,
      都合が状況が「悪い・辛い」という
   意味でも使われる。

      orribile は,恐怖心を抱かせるような,
      ぞっとする,
という意味。
      反対語は piacevole。

      un orribile sorriso
      ぞっとする笑顔
      背筋が寒くなる笑顔

   un brutto sorriso
   見た目が魅力的でない笑顔

👱‍♂️ orribileorrendo は,同義語だけど,
      あえて言うなら,
      orribile は,恐怖感を引き起こし,
      orrendo は,嫌悪感を引き起こす。
      でも,ほとんど同じ。

👧 単語の形も orr で始まってて似てるもんね。
      英語の horrible 的な感じ?

👱‍♂️ そう,全部ラテン語の horribilis
      由来してる。
      
はい,今回はここまでです。
今回もブログを読んでいただき
ありがとうございます。
次回のブログでまたお会いしましょう‼️

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