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共通テストを受けられない私へ

今回は日記やエッセイのような記事です。
私が進路を決めるまでのこと、大学受験への思いなど赤裸々に書いています。



2025年5月閉鎖病棟の自室で、私は主治医に「やっぱり大学受験したい」と話していた。
診断名はうつ病だったが、主治医には双極性障害を疑われていた。今は躁状態かもしれないと言われていた。

退院後、学校の先生にも事情を話して、大学受験の対策を始めることになった。推薦入試には間に合わなかった。私は浪人覚悟で受験するつもりだった。

たしか、大学受験対策の授業3回目くらいだったと思う。私の躁状態は鬱へと転じた。大学受験への意欲は下がり、1日泣き続ける生活へと逆戻りした。

そんな私を見て母親は「受験は諦めた方がいいんじゃないか」と言った。

多少の鬱状態は覚悟した上で、それらとも戦う覚悟を決めた上で、浪人することを前提に受験した方が自分は納得できるのか?
それとも、病気との付き合い方を考え直し、通信制大学へ進学する方が自分のためになるのか?

そんなことをぐるぐる考えて、私がこれからどんな道を歩む可能性があるのかを書き出したりした。

当時は大きく3つあった。
・全日制大学進学▶通信制大学転学後卒業
・通信制大学進学後卒業
・(全日制大学進学後卒業)

書き出してみて初めて「あー、私は全日制大学を卒業することはできないのかもしれない」と気づいた。可能性としてはあるのだが、極めて低く、自分の中でその可能性を見込めなかった。

思えば高校受験のときもそうだった。
親の意向で全日制高校に進学したが、私は最初から卒業できるとは微塵も思っていなかった。いつ通信制高校に転学することになるのだろうと思っていた。親の希望で学校を選んでしまったことも後悔していた。
さらに、高校進学時、回復期に恐らく差し掛かっていた私は毎日の高校生活で心身共に疲弊し、うつが悪化した。その後、全日制高校では単位を1つも取得できないまま通信制高校に転学した。

そして今、私は恐らく2回目の回復期に来ている。
この3年間と同じ道を進むのか?
それとも、全日制大学を卒業できる可能性に賭けるか?

そもそも、全日制大学に通うなら受験しなくてはいけない。受験勉強に真剣に向き合わなくてはいけない。中学3年からまともに勉強してこなかった私は高校受験レベルからやり直さなければいけない。気の遠くなるような受験勉強に、正気で向き合えるのか?入退院を繰り返してでも受験するべきか?

わからなかった。未だに答えは出ていない。



小学校受験、いわゆるお受験と言われるもので国立の小学校に通っていた頃、周りは国公立至上主義だった。小学校から中学校への内部進学の際、内部進学への切符を手に入れられず、やむなく私立へ進学することになったような人は友達同士の間で噂になっていたりした。今ではあの環境が異常だったことを理解しているが、後遺症というか、心の隅の方に、「やはり国公立の方がかっこいい気がする」と感じてしまう自分がいた。

あとは学費のこともあって受験するなら、国公立しか考えていなかった。
私の現時点のレベルから国公立は夢を見すぎていると思われるかもしれないが、それを理解した上で浪人してでも国公立に行きたかった。
(小学生の頃は無意識に私立はいけないと思っていた私ですが、今は決して私立を見下すようなことは思っていません、ただ自己満足の範囲内で国公立を希望していました。)

どん底を生きていた私が、死ぬ気で勉強して国公立に受かったらかっこいいだろうなと思っていた。

でも、正直なところ、受験勉強する中で入院することになったり、鬱状態が酷くなることは目に見えていた。それが何よりも怖かった。
本当に本当に、生き地獄という言葉がぴったりなほど、辛くて苦しい時間だった。
受験勉強をやめて通信制大学に進学することでその生き地獄を避けることができるなら、避けたいと思った。これは甘えになるのか?逃げているだけか?と自問自答した。

お受験の塾で成績上位だった私はどこにいったのか?
偏差値70だった私はどこへいってしまったのか?
数学で全国1位だった私はどこ??

まさか、ここまで落ちぶれるとは思ってもみなかった。
今の自分をいつまでも受け入れられない気がする。今を受け入れてしまうと、あの輝いていた過去が嘘になってしまうようで怖い。

「頑張れていた私」が、たしかに存在していたはずなのに。
どこかへ消えてしまった。

甘えたくない。逃げたくない。
病気から逃げたいと思うのは甘え?
でも、思い出すだけで涙が出るようなあの地獄には二度と戻りたくない。新しい主治医の元で治療を始めて、合う薬が見つかって、うつ状態も不安も確認行為も摂食障害もすべてが良い方向へ向かってきているのに、それを崩してまで大学受験する意味が私にはあるのか?




結局、私は通信制大学を選んだ。
決定打になったのは、あの生き地獄をもう味わいたくない、という気持ちだった。
あとは、通信制大学でも全日制大学と同じ学位をもらえることなど、様々な理由が複合的に重なってそういう結論になった。

そこから、通信制大学の資料請求をして学校を選んでいた。
国公立志望で勉強していた頃、人間学や心理学というものに興味を持っていてそれに近いものを学べる大学に絞って選んだ。

早稲田大学eスクール人間科学部というところを見つけた。通学も一切不要で自分でコツコツ勉強するのが好きな私には向いていると思った。ただ、学費がかなり高くて4年で500万近く必要だった。
親に交渉すると、「全部出せるかわからない。妹の大学の費用が危うくなるかもしれない」と言われた。
その言葉で私は早稲田大学eスクールを諦めた。
妹も精神科に通っているが、学校は毎日頑張っていて、成績も上位を維持していて、すごく頑張っていると思うから、私の大学費用のせいで妹が希望の大学を諦めるということはしてほしくなかった。

その後も、様々な大学を調べて行きたいと思える大学を見つけ、無事進学できることになっている。



先日、共通テストが行われたが、私はバイトだった。みんなは共通テストを受けているのに私だけバイトなんかして、私だけ何をしてるんだろうかと1人で泣いた。

羨ましかった。
ずるいとさえ思った。
私が何か罪を犯したわけでもないのに、健康も、大学受験も奪われて、やるせなかった。
私だけ何も成長できず、心は中学2年のまま高校を卒業しようとしている。高校での思い出もないまま。
こんなにも理不尽な病気を心底恨んだ。

大学受験という、大きな舞台を前に、言葉にならないほど緊張し、不安を抱えていて、それに立ち向かおうとしている強い人達に対して羨ましい、ずるいと思ってしまう自分が気持ち悪かった。
受験というものの過酷さを、私も小学校受験を通して幼いながらに感じていたし、理解しているつもりだったのに、ただひたすらないものねだりをして、自分にないものを努力で得た人たちのことをずるいだなんて思いたくなかった。

情けなかった。
𝕏などを見ていると、私のように精神疾患を抱えながらも大学受験に向かってコツコツと努力している人がたくさんいた。
私だけ逃げているようで、甘えているだけのようで、自分のことを許せなかった。滅多刺しにしたかった。私だけなんで頑張れないのかと自責した。本当に自分が情けない。



主治医に「辛い方を選ぶ癖があるでしょ?なんでだろうね。せっかく頑張り屋さんなんだからできるだけ自分が楽になれる方選んでね」と言われた。
私なんかが楽な道を選んでいいのだろうか?
私は苦しんでいて当然じゃないのか?

でもある意味苦しい道を選んだとも言えるかもしれない。通信制大学の卒業率はわずか15%ほど。
入学は簡単だったが、これからの4年間は大変なものになるかもしれない。

いつか、この選択で良かったと言える日がくるのだろうか?
未来の私は、今の私に大丈夫だよと言えているだろうか?

時間は私の味方だ。大丈夫。大丈夫。


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読んでくださった貴方が、悔いのない選択をできますように。







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翠
東京の大学に進学予定ですが、親から交通費は自分で稼ぐように言われています。私のような子どもを救える大人になりたいです。応援してくださる方はよろしくお願いします!