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【感想】杜王町を訪れて

モリモリモリモリ~杜王町レディオ~。
実写ドラマ版「岸部露伴は動かない」がジョジョの入り口だったので、最初に見たジョジョのアニメは4部でした。
ただ、当時はジョジョといえば承太郎を想像していたし、名言が飛び交う面白バトル作品だと思っていたので想定と違いすぎて見事に挫折。
4部は他の部を見てからの方が楽しめる作品なんじゃないかなと、個人的には思っています。


植物のような暮らしを

 吉良吉影はジョジョの中では珍しく一般的感覚を一応持っているラスボスだと思います。社会人やってるし。ただ、個人的に吉良吉影の人生哲学を聞いたときに「なるほど」と思うと同時に、「何言ってんだお前」となりました。殺人衝動を抱きながら静かに植物のように暮らしたいは中々相反している。難しすぎるアイデンティティなことで。と思いながら、彼のお言葉を聞いてました。
 前情報として、確か吉良のことは知っていた気がします。ただ、その時は強いんだなふ~~ん、くらいの認識でした。シアーハートアタックとかバイツァ・ダストとか有名っぽいし、ネタが豊富な人なんだろかなどと思ったり。実際にアニメを見て思うことは、少しだけ、何だかちょっぴり空しくなる最期だったなということ。あんなに用意周到に準備して、自分の異常性を満たしつつ日常を送れるように気を使っていたのに、最後の最後に救助に来た女性に自分の性癖を暴露して救急車に轢かれるなんて。バイツァ・ダストとかどうやって倒すねん思ってたら、なんだかあっけなく終わったなあと見ながら思いました。
 空しいなと思う反面、あの死に際は吉良っぽいと思います。用意周到+自信家ゆえの執着。もうすでに本人は死んでいるのに本人の中ではバイツァ・ダストが起動していると思っているあたり、2番目、3番目を狙い控えめに静かに生きてきた表面ではなく、勝利への執着とプライドの高さが滲み出ている感じがして吉良っぽいなあと。あと、勝利に向かっている吉良の中での世界と、すでに他界して敗北している現実世界の2つが同居しているようなアニメの流れが好きです。一瞬、マジでこいつ倒せないじゃんと思いましたが、鈴美ちゃん出てきたときにうわーーってなりました。
 最後に。吉良は声が好きで好きで。小山吉影も好きですが、森川吉影も好き。どっちも好き。


1994/11/4「ジョジョの奇妙な冒険 第39巻」 作:荒木飛呂彦 集英社より
吉良とキラークイーンそれぞれでもかっこいいのですが、二人が揃ったら更にかっこいい。
ムキムキの体にいかつい能力を持っておいて猫っぽいデザインなの、一瞬情報の整合性がとれなくなる。


紙になれる男

 4部って、結構町全体で住民が協力して吉良を追い詰めていく話だと思っていて、そのためか他の部よりも戦闘シーンが誰かに偏っていない感じがしています。未起隆もそうですし、露伴や康一君、承太郎など、いわゆる当番回がそれぞれにあって、キャラが入れ替わっている印象が強かったです。
 そんな中でも印象に残っているのは噴上裕也くんですね。「喜んで……「紙」になるぜ」と言ってエニグマを撃破してくれた彼です。露伴・仗助vs噴上の回はもちろん面白かったですが、その後再登場するとは思わない。しかもかっこいいなんて。初手の印象は「アゴどうしちゃったんだ」だったので、再登場でかっこよく映るなんて思いませんでした。
 噴上くんはかっこつける動機が最高にいいんですよ。エニグマに飲まれてく康一君と仗助を見て、「あれが俺の女だったら」って考えて「許せねえ」になるのがいい。「てめーおれだってそうしたぜ!」からの「てめーや『吉良吉影』をこの町で生かしておくのはカッコ悪いことだぜェーッ」。取り巻きに囲まれてる典型的なヤンキーモテ男キャラなのかと思ったら、当たり前に大切な人のために体を貼れる最高漢だった。
 噴上くんの好きなところは男らしいところなんですけど、スタンドもいいですよね。あの最後の方でハイウェイ・スターの時速が上がっていくところ、めっちゃめちゃかっこいい。速度に特化しているだけなのにこんなにかっこよくなれるの、やっぱりスタンド使いの精神性が反映されているということ…?

1995/8/4「ジョジョの奇妙な冒険 第43巻」 作:荒木飛呂彦 集英社より
噴上君のかっこいいところは、取り巻きの女の子たちをマジに大事にしているところだと思っています。
振り返ると噴上裕也登場回全部好きな気がする。

有名漫画家に会いに行こう!

 私がジョジョを見るきっかけとなったキャラクター、岸部露伴。人の歴史を本にして読むことができる、というスタンド能力は漫画家にとってこの上ないネタ探し能力になりますが、それだけでなく露伴自身の「体験して確かめる」というこだわりが彼を有名漫画家に押し上げたんだろうなと思います。
 露伴はあの性格に目が行きがちでどうにもヤバい人になってしまいますが、彼もやっぱりジョジョの住人なんですね。決めるところはきっぱりと決める。
 露伴のかっこいいシーンは先に挙げた噴上くん初登場回が一番かなと思います。みんな大好き「だが断る」の回ですね。後述予定のチンチロリン回で仗助とめちゃめちゃ仲悪くなっているところを敵に襲撃されます。仗助を呼べば助けてやると噴上に言われますが、その際に露伴が言ったセリフが「だが断る」。噴上の誘いに乗るように見せかけてのこのセリフ。
 露伴の性格的に自分から首を突っ込んだ手前他者に頼ることを彼のプライドが良しとしない、ということもあるのかもしれませんが、やっぱり仗助のことを差し出すほどに嫌いではなかったんだろうなと思います。その後も、「逃げろッ!仗助!」と危険を伝えていますしね。クソッたれ仗助とか言ってるけど、康一君が頂点すぎるだけで好感度ゲージは普通よりちょっと上ぐらいにありそう。
 4部の露伴が一番カッコイイのはハイウェイスター回ですが、それを超えて好きなのはチンチロの回です。楽しい回。露伴、原作でも言ってたけど家が燃えたことより仗助にイカサマされたことの方が響いてるの予想通り過ぎる。それでも家燃えたことは、4部の露伴においては一瞬ショック受けそう。動かないの世界線露伴だと全然ショック受けなさそう。
 仗助が高校生なので相対的に露伴が大人げなく見えますが、あの人もまだ20歳なんだよなと思うとあのひねくれ具合と大人げなさはまあ納得。


1995/3/3「ジョジョの奇妙な冒険 第41巻」 作:荒木飛呂彦 集英社より
やっぱり文中にも書いたこのシーン。
相手を欺いてかつ仗助に危険を伝えるの最高にかっこいい。しかも露伴は自己犠牲の為にやったんじゃあない感じがするのがいい。あくまで自分の信念にそって断ってるし助け舟出してそう。


ジョジョ4部は、終盤に向かってどんどん姿が見えなかった吉良に近づいていくので見ていてワクワクしていました。これは5部にも通じる感覚かもしれないです。
吉良を追い詰めていくのが本筋ですが、億泰と形兆、仗助とジョセフ、由花子と康一君、川尻夫婦や息子・早人くんとの距離感など、人間関係における向き合う勇気的なものもサブとして描かれていたのかなあと思ったり。

毎度のことながら書きたいことをつらつらと書きましたね。
前回もそうでしたが、本当に主人公のこと書いてないじゃん。
仗助も億泰もカッコ良かったじゃん。また別の記事にまとめようかな。
それでは今回も、ここまでお読み頂きありがとうございました🙇‍♀️

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