かぞかぞ。第8話。心に虹をかける人がいるから🌈
ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった」の第8話は、最後に流れるローリングストーンズの「She’s a Rainbow」がとても印象的でした。
昭和のお母さんの気持ち、育てられた子供の気持ちを丁寧だけど、さらっと、優しく、見せてくれた素晴らしい回でした。
芳子おばあちゃんは認知症が進みつつあり、わけのわからない言動が増えてきました。そのわけのわからなさを疎ましく思っていた七実が、おばあちゃんの元々住んでいた家に行って、ご近所の人達とも触れ合う中で、おばあちゃんの半生を知ることになります。
夫の両親や妹達と同居して、夫の経営する部品工場を手伝いながら、家族全員のご飯を作り続けていた若き日の芳子さんは、とても輝いていました。
美保純さん演じる芳子さんの若い頃は、臼田あさ美さんが演じられています。明るくて元気で、生き生きした表情も、娘のひとみさんを心から大切に思う振る舞いも、本当に素敵で、太陽のように魅力的な女性です。
夫はギャンブル好きで、お酒呑みで、経営する工場も倒産し、苦労は並大抵ではなかったはず。
でも、「食べて元気が一番」と、満面の笑みで言い切る芳子さんに、皆んなが生きる力をもらって今日に繋がっているのだということがよくわかりました。
三角巾にエプロン姿で、一番後に食卓について、美味しそうにご飯を食べる若い芳子さんの姿に、
たくさんの昭和のお母さん達が重なりました。
そして、芳子さんが夫の茂さんに書いた大量のラブレターを見つけてしまった七実は、思わず「破廉恥‥」と笑いますが、だからこそ、そんな茂さんとの間の娘であるひとみさんを深く深く愛しているのでしょう。
娘を浪速のグレースケリー、浪速の明菜ちゃん、浪速の吉永小百合などと商店街の人達に今も自慢し続ける芳子さんは、とても嬉しそうでした。
ところが、その芳子さんが、七実から離れて一人彷徨っていた道端で、「なんであの子ばっかり大変な目にあうんだろう、なんでもっと元気に産んでやれなかったんだろう」と、苦しげに独白します。
心の中にしまって、笑顔の裏に隠していた本音を無意識に吐き出す姿が、胸に迫りました。おばあちゃんを探してそこを通りかかったた七実は、それを聞いていたのでしょうか。混乱したおばあちゃんにひとみに間違えられながらも、否定することなく、優しく手をとって共に大阪の家への帰路を歩きます。
その後、おばあちゃんが認知症らしいことを入院中の母と七実が話し合います。「お母さんに人生の喜び、ちゃんとあったのかな。」と泣いてしまう母に、七実は、「ばあちゃんは進化中、どんどんおもろい人になっていく。だから大丈夫。」と言えました。おばあちゃんはもう、七実にとって、わけのわからない人ではない。七実がおばあちゃんから教わったことは、リンゴをむいて、うさぎさんにして、ピョンビョンできることの他にもたくさんあったのでしょう。
退院したひとみさんと、芳子さんの深夜のやりとりにも、じんときました。ひとみさんにお茶漬けを作ってリンゴをむいてあげる芳子さん。ひとみさんは、娘らしいとても可愛い顔で、お母さんが大阪の家を空けて一緒に暮らしてくれていることにありがとうと言えて、「お母さんが思ってることを知りたい。いっぱい。」とも言いました。
そう。私達は、大人になってもお母さんが思っていたことを何も知らない。それを聞ける機会がもしもあるならば、知りたいよね。と思いました。
心が遠い昔に彷徨ってしまうお母さんからなら何か聞けるのかも知れないなんて、ふと思うことも悪くはないのだと。
そして、芳子さんが心の中で呟く、「大事な一人娘が、私の作ったものを食べて大きくなって、大病しても生きてくれて、私の作ったものを食べてくれている。私は幸せ。」という言葉のBGMとして「She’s a Rainbow」が流れます。
芳子さんは、ずっとずっと、ひとみさんという輝く虹を大切に大切にして生きてきたのです。
芳子さんは明るい太陽みたいな人だったけど、娘のひとみさんの色とりどりの虹のような輝きが、芳子さんの生きる喜びだったんだと思いました。
私は、この回でマルチが七実に放った言葉も心に残りました。
「一人暮らしをした今でも家族が手の中にあると思っておられる。幸福とはそういう傲慢さから始まるのかも知れませんね。」
いつまでも、家族が手の中にあると思っている。
だからこそ、面倒くさい。でも、だからこそ幸せだと思えることもある。それは、傲慢だし、ああまた、やっちゃったなと思うこともしばしばです。
でも、決していけないことではなくて、当たり前の生きてる印のようなものなんだろうなとすんなり思えたのでした。
そして、ケンカみたいになった二人の仲直りのために、七実がマルチに、風船とフライドチキンを届けるシーンも微笑ましくて、素敵でした。
むしゃむしゃ食べる二人に、生きてることの面白さを感じました。
マルチは、チキンが好きなのかな?
高校生の頃、プールで、七実のおばあちゃんが作った茶色いお弁当の唐揚げをつまみ食いして、「うまっ!」と言ったマルチと少しも変わらない、優しいマルチがそこにいました。
ここでも、おばあちゃんの「食べて元気が一番」が、ちゃんと繋がっているんですね。
次は、草太の独立の回。「おばあちゃんと七実の料理はどっこいどっこい。カフェのご飯がNo.1。」
と言うほど、社会人になった草太と、それを送り出して行く家族のそれぞれの姿。楽しみにしています。🪴
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