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医師による長寿の教え

今回は、マーク・ハイマン医師の著書
「医者が教える最強の不老術 細胞レベルで若返る食事と習慣のすべて」
という本の内容を紹介します。
本書は460ページにも及ぶ超大作で、最新医学に基づいて書かれた
内容なので、かなり難解ですが出来るだけわかりやすく紹介していきます。

突然ですが質問させてください、皆さんは120歳まで生きたいと
思っているでしょうか?

・・・・・・

おそらく、そんなに長生きしたくないのではないかと思います。
なぜ皆さんがそう考えるかというと、多くの人が80代以降の人生が
魅力的ではないと考えているからではないでしょうか。

80代にもなれば体はどんどん弱っていき、フレイルと呼ばれる
状態になったり、介護が必要になったり、様々な病気と付き合いながら
生きていくことになりますから、長生きには魅力が無いと思っているかも
しれません。

私たちは老化を仕方ないものと考えていますが、著者は長寿と老化の研究を
進めていく中で、元気な80代、90代、100歳代も可能だと言います。
著者は「老化は異常なものであり、病気であり、治療が可能」だと
言っていて、最新医学によると実際に老化は治療できるそうです。

抗加齢医学とも呼ばれていますが、それは特殊な方法ではないので、
お金がとてもかかるものではなく、食事法や生活習慣の改善など、
自分自身によって老化の根本原因を治療できるというのが研究によって
明確に示されているので、この本を読むことが素晴らしい学びになります。



今回の内容を通して、マーク・ハイマン医師に生物学的な老化を
食い止める方法を教えてもらいましょう。
著者は、「人間は120歳まで生きることが十分可能であり、何歳からでも
若返ることができるので、決して諦めないでください」と言っています。





不老長寿を実践する

実は、健康でいるための基本原則は何千年も前から変わっていません。
にも関わらず、それらは現代人に無視されているため、実践している人は
非常に少ないのです。

初めに結論を言ってしまいますが、健康長寿のポイントは
次の5つに集約されます。

①最適な食事(栄養)
②運動と身体活動
③睡眠とリラックス
④ストレス管理
⑤人間関係とコミュニティー

最高の不老長寿プログラムは、これら5つを最適化することによって
実現しますが、最も重要なのは最適な食事です。
「そんなこと当たり前じゃないか」と思ったかもしれませんが、
これまで以上に遥かに食事が重要であるということが、
最新医学によって次々と明らかになっていますから、最も強力な
不老長寿術は食生活であるというのを、まず頭に叩き込んでください。



著者は以下のように述べています。

「病気を予防し、回復するためにも、私たちが出来る最高の介入手段は
 食べ物で間違いない」

「食べ物はあなた独自の薬局であると考えてほしい」

食べ物は薬のようなものではなく、まさに薬そのものです。
毎日必ず摂取する食べ物の効力は、複雑な方法で
体の生物学的仕組みに働きかけ、医薬品よりもはるかに強力な
ものですから、ここからは、食事(食生活)の正解を一緒に
勉強していきましょう。





筋肉を作るのに最適な食事

私たちの筋肉や臓器、皮膚、骨などは何もないところから突然生まれる
わけではなく、食事によって摂取した栄養を原材料として作られています。
あなたの体がどれだけ丈夫で、その体がどれだけ他人より優れているかは、
あなたが口にした栄養素によって決まるのです。

そして、飽食の現代で特に覚えておいてほしいのは、
「炭水化物というのは必須の栄養素ではない」ということです。
現代の食生活には加工食品が溢れていますが、そのうち50%~60%は
炭水化物で占められていて、それらの大部分は精製されたデンプンや
糖質ですから、もっと炭水化物の量を減らす必要があります。

炭水化物をもっと減らさなけばならないのは、どのような理由からか
知っているでしょうか?

・・・・・・

一部の炭水化物は体を動かすために消費されるのですが、
余ったぶんは内臓脂肪や皮下脂肪となり、老化の典型的な特徴を
引き起こしてしまいます。

ご飯やパン、うどん、ラーメンなどの炭水化物が大好きという人は
多いと思いますが、私たちが最優先で食べなければならないのは
タンパク質なのです。



気にしていない人も多いと思いますが、体の重要な部分の殆どは
タンパク質から作られていて、筋肉を作るのに最適なタンパク質は
動物性タンパク質です。
高齢になってきて、筋肉が衰えてきた人は特に、動物性タンパク質を
意識的に食べて、筋肉を維持していかなければなりません。

牛肉や豚肉、鶏肉なんかもいいのですが、イワシやサバ、アジといった
小型の魚はオメガ脂肪酸を豊富に含んでいて、水銀などの毒素が
低いのでお勧めです。

また、植物性タンパク質も健康のためには重要ですから、
豆類やタンパク質が豊富な野菜なども摂取していきましょう。





善玉菌のエサを増やす

腸が全身の健康に関与しているというのは、最新の研究でも明らかに
なっていて、健康になりたいのなら絶対に腸を整えなければなりません。
正しい食べ物があなたの腸を健康に保つ一方で、間違った食べ物は
腸に大混乱を引き起こしてしまいますから、悪玉菌のエサを減らし、
善玉菌のエサを増やすような食事を心掛けてください。

そんな中で、悪玉菌を増やす最大の犯人はグルテンであると
著者は断言しています。
現代の小麦は、昔の小麦よりも遥かに多くの炎症性タンパク質を含み、
リーキーガット症候群を引き起こしています。
リーキーガット症候群というのは、日本語で腸管壁浸漏
(ちょうかんへきしんろう)と言いますが、腸の粘膜に穴が開いて
異物が血中に漏れ出している状態のことです。

グルテンに敏感でない人であっても、グルテンをたくさん食べると
腸が乱れる傾向にあるのは、現在の小麦の多くが収穫時に
除草剤(グリホサート)が散布されているからです。

このグリホサートには、発がん性が認められています。



グルテンの次に腸を破壊する、気を付けるべき食べ物は糖とデンプンです。
あなたと同じように、悪玉菌はグルテンやデンプン、糖が大好きですから、
こういったものを食べ続けていると、おなかの中でどんどん悪玉菌が
繁殖してしまいます。

さらに、食品添加物も腸内環境に悪い影響があることが知られていて、
加工食品には何かしらの添加物が含まれていますから、
たとえば「カラギナン」「ガム」といった増粘剤や乳化剤は、
リーキーガットや自己免疫疾患の原因となります。

善玉菌は、食物繊維を食べて人間にとって有益な物質を
作ってくれますから、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物、豆類といった
食物繊維が豊富な食品は、腸内環境を健康に保つのに役立ち、
納豆やみそ、キムチといった伝統的な発酵食品も
腸内環境を整えるのに有益です。

そして、善玉菌は実はポリフェノールが大好きで、それをエサにして
私たちの体を保護してくれていると分かっているため、
コーヒーなどのポリフェノールが豊富な食品は、腸にとって
とても大切なことだと覚えておいてください。





炎症と免疫システムを正常化する

有害物質やアレルギー、感染症といったものは体内で炎症を
引き起こしてしまい、様々な病気や老化の引き金になってしまいます。
実は、炎症というのは多くの人にとって食べ物が原因で起こっていて、
たとえば糖やデンプンは血糖値を急上昇させてしまい、
血糖値を抑えるためにインスリンが分泌されますが、インスリンは
余分な糖やデンプンを脂肪に変えて、腹部や内臓周辺に蓄積させています。

この脂肪が過剰に蓄積した細胞は、代謝を混乱させて大々的に
炎症を引き起こすことが分かっています。
多くの人は、甘い食べ物や精製された炭水化物が大好きですから、
こういったものを食べれば食べるほど脂肪は蓄積し、
炎症も増えていくことになります。

また、糖は炎症を促す一方で、感染に対する免疫反応を抑制し、
腸内の悪玉菌を増殖させてしまったり、リーキーガットなどを引き起こして
しまいますから、自分自身で糖分を意識的に避けることが
必要になってきます。
糖質から距離を置くほど炎症は治まり、免疫システムが正常化されて
体調が良くなっていくということは間違いありません。



そして、糖分に加えて私たちがもう一つ注意しなければ
ならないのは脂肪です。
脂肪も糖と並んで炎症の引き金になっている可能性が高く、加工食品の量が
大幅に増えてしまった現代においては、オメガ6脂肪酸の過剰摂取が
問題となり、これを摂りすぎているから体内で炎症が
起きていると言われています。

オメガ6脂肪酸は、安い加工食品や外食店で多く使われていて、
安い油に多く含まれていますから、現代では普通に食生活を送って
いるだけなのに、オメガ6脂肪酸の摂りすぎとなってしまうのです。

一方で、炎症を抑えてくれる効果があるオメガ3脂肪酸が、現代人には
圧倒的に不足しています。
オメガ3脂肪酸は魚介類に多く含まれている大切な脂肪酸なのですが、
オメガ6脂肪酸を摂りすぎているため、オメガ3脂肪酸の炎症を
抑える効果が打ち消されていると考えられています。



また、オリーブオイルに含まれている脂肪酸は私たちに必要なものですが、
脂肪に関しては健康に良いものと健康に悪いものがあります。
健康に良い脂肪は、たとえばナッツ類やオリーブオイル、アボカド、卵、
小型の魚などが挙げられます。
一方で排除すべき油は、コーン油、サラダ油、大豆油、キャノーラ油、
ヒマワリ油、グレープシード油といったものが挙げられます。

基本的に加工食品であったり、ファストフード店には劣悪な油が
使われていることが殆どですから、こういった食べ物を避けて
天然の食材から良質な脂質を摂取していくことが、体内の炎症を抑えて
免疫システムを正常化するためには重要です。

また、スパイスも炎症を抑えるために効果的ですから、
ぜひ活用してほしいと思います。





1日10分のウォーキング

食生活を整えたうえで、皆さんに必ずやってほしいのは毎日の運動です。
若返るためや、病気を遠ざけるために絶対に避けて通れないのが運動で、
運動無くして若返りも健康も得られないということは、
紛れもない事実です。

運動は、あらゆる老化の特徴を自動的に改善する最強の方法ですから、
運動する時間が取れないと言っている人は、いずれ病気に
なってしまうでしょう。
そうなると、病気を治療するために時間を割かなければ
いけなくなってしまいます。



運動をすれば、自動的に老化の症状は消えていきます。
血糖値がコントロールされることで体重増加が抑えられ、心臓病や高血圧、
高コレステロールのリスクが減少するのです。

また、やる気を高めて認知機能が改善し、さらには神経可塑性を高めて
新たな脳細胞を作るBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすことで
認知症まで予防してくれます。

運動すれば筋力や骨も向上するので、生物学的老化や座りがちな生活に
よくみられる虚弱状態やヨボヨボも改善します。
さらに、睡眠の質を改善するとともに、テストステロン値が
改善することで、男女ともに性欲の低下や性機能の衰えを
改善する効果もあります。

このように、運動のメリットを挙げればキリがありませんが、
とりあえず1日10分以上歩くことで、寿命が何年も延びるということは
分かっているのです。

そして、10分以上のウォーキングが出来るようになったら、
次は週に140分(1日平均20分)、運動を続けてより健康になりましょう。





飢餓を疑似体験する

食べる量を減らしたり、短時間のファスティングを行うことによって
健康寿命を延ばせると知っているでしょうか?

長寿科学分野で確実に証明されている現象の一つとして、
食べる量を減らして体内で飢餓のスイッチが反応すると、
健康や長寿に長期的な効果が生まれるということです。
とはいえ、極端に辛い方法を実践する必要はなく、食べる時間を
制限するだけで飢餓のスイッチが反応するので、最も実践しやすいのは
食べる量を1日8時間に制限するという方法です。

24時間のうち8時間以外は何も食べないので、16時間の空腹時間が
生まれますが、この空腹時間が重要なのです。
また、1日何も食べない1日断食や、それ以上に及ぶ断食もありますが、
まずは日常生活の中で実践しやすい16時間断食から取り組んで
いただきたいと思います。

この方法によって体が軽くなったとか、体調が良くなったと
実感することが出来れば、より空腹時間を長くする方法に
取り組んでみても良いでしょう。





人生の意義と目的を見つける

ブルーゾーンのような長寿の地域に住む人々は、コミュニティにおける
自分の居場所と目的を理解していて、そこに人生の意義と目的が
埋め込まれているので、長生きに役立っています。

実際に国立老化研究所の研究によると、明確な目的をもって朝起きる人は、
明確な目的が無い人より7年も長生きすると判明しています。
また、成人7,000人を対象とした別の研究では、人生の目的スコアが
最も低い人は、最も高い人に比べて死亡確率が
2倍も高かったと分かっています。

世間ではよく、人生の満足度を高めたり、生きがいや人生の意義を
見つけることが重要だと言われますが、それは科学的にも
非常に正しいことです。
「自分はいったい何のために生きているのか?」という問いを掘り下げ、
その道に進んでいきましょう。

人生の意義は一人ひとり異なるものの、長く健康的に生きるためには
よく食べて運動することと同じくらい、人生の意義を持つことは
重要だったのです。
ですから自分の情熱を探し、好きなことや喜びを感じられることに
時間を費やしてください。





社会的孤立を避けて人と繋がる

社会的孤立はココロだけではなく肉体までも衰えさせて
しまうということが、研究によって明らかになっています。
ですから、私たちが健康的に長く生きようと思ったら社会的孤立を防いで
いくことは重要なテーマです。

社会的孤立というのは、家族や友人、地域社会といった
周囲との繋がりを失い、孤独を感じる状態のことです。
単に1人でいることとは少し違い、心の中で「誰にも頼れない」とか、
「孤独をいつも感じている」ということが、特に現代社会では
高齢化や都市化の影響もあって、この問題は深刻になってきています。

たとえば、高齢者の方が配偶者を亡くしたり、子供たちが独立して
家を出ていくことで、日常的な交流が減ってしまうことはよくあります。
また、都市部では地域社会との繋がりが薄れてしまい、隣近所の人と
顔を合わせる機会すら少なくなることも珍しくありません。

さらにデジタル技術が進んだことで、オンライン上のやり取りが
増える一方で、リアルな対面での繋がりが減っていくことも
社会的孤立を助長する原因の1つとされています。
このような孤立は寂しさや孤独感が増し、不安感が強まると
うつ病になってしまうこともあります。

また、体へも悪影響が出ると分かっていて、たとえば免疫力の低下、
血圧が上昇、寿命が短くなるなどのリスクが高まると言われているので、
実際に孤独感は病気の危険因子の一つと言われています。

そして、このような状態を改善するためには、とにかく人と繋がれる場に
参加することが大切です。
たとえば地域活動に参加したり、ボランティア活動を行ったり、
趣味のコミュニティーに参加したり、なにか習い事を
行うのも良いでしょう。
高齢者が健康を維持するための最も強力な方法は、とにかく交流の機会を
増やすことであると著者は述べています。

他人と繋がっていれば長生き出来るのです。



終わり

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