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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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#満月

迎えの宴

 簡素なつまみと酒を持ち寄って、たわいもない話を広げていく。笑いながら、涙しながら、事の終わりからよもすがら、事の始まる際まで一向に話し、そうして皆で同じ日を迎える。
 迎えの宴と銘打って、友と集い酒を酌み交わす。誰が一番に映せるかと杯に酒を満たし、その面に満月を迎えて互いの命を祝い合う。まほらまと化した宴に、鬼の出る幕は何処にも非ず。
 月露、窓の外より入り来て、一行を唯見るばかり。
 時に一人

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死の啓蒙と星月夜

死の啓蒙と星月夜

 僕の思想は薄っぺらい感情論でしかない。
 ただ死にたいと言い、それ以上でもそれ以下でもないのだ。ただ一つ言い分があるとすれば、社会的な損得勘定によって自分は生きる価値の無い存在になっているということだ。それ故の希死念慮。ペシミズム、ニヒリズムに関する本を読み漁り、そうだこれだと感動し、時間のある限りそれらに意識を集中させ、そうして死にたいという思いは日に日に成長していった。しかし、ここで問題が発

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春に酔う

春に酔う

 これは、初老の男が、春の満月の日に一人で酒を飲むだけの話である。

 月に一度来る満月の夜には、必ず酒を飲むと決めている。春の月は特別だ。
 夜。春の花たちの間に男は座り、深呼吸をして、春の陽気を肺へ、体の隅々にまで送り込んだ。ふぅと吐く息に、冬の間に溜まっていた寂しさを乗せて、体の外へと解き放つ。自由となった想いは春風に溶けて、前向きな想いに変わるだろう。
 心を整え終わった男は、さあ酒だ!酒

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