■昭和の名経営者は人格者で、現代活躍する経営者は悪ガキなのか?『世界は悪ガキを求めている』
タイトルにつられて
『世界は悪ガキを求めている』を読みました。
著者は、ヘッドハントを生業とする
エグゼクティブサーチ企業に勤めていた妹尾輝男さん。
齢70代になる妹尾さんは、2000年頃から
求められる経営者像が変わってきたと言います。
その昔の経営者といえば、
松下幸之助氏、盛田昭夫氏、豊田喜一郎氏、稲盛和夫氏
といった頭脳明晰で勤勉、並外れた才能と
人格を持った人物。
ところが、近年は
ラリー・ペイジ、、スティーブ・ジョブズ、
マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、
イーロン・マスク、
孫正義氏、堀江貴文氏、柳井正氏、原田泳幸氏、
前澤友作氏など、悪ガキタイブになってきたと。
そして、悪ガキ的リーダーを
特徴づける9つの条件を挙げています。
1 安定を望まず、変化を選ぶ
2 慎重にならず、スピードに乗る
3 安全を追わず、リスクをとる
4 大人にならず、情熱に生きる
5 人に任せず、自分でつかみ取る
6 権威におもねらず、フラットに生きる
7 閉じこもらず、世界を見据える
8 流されず、哲学を持つ
9 憎まれず、かわいげを持つ
タイトルには得心しましたが、
著者の考察には違和感も感じました。
昔の名経営者は人格者で、
現代活躍する経営者は悪ガキと主張されていますが、
僕は、経営者として成長期なのか、
成熟期なのかの違いではないかと思うからです。
著者を含め現代の僕たちが認知している
昭和の名経営者像は、晩年の円熟したした人物像です。
著者が挙げる現代の悪ガキタイプのリーダーの多くが
まだまだ若く現役バリバリの人ばかり。
こと著者はヘッドハンターとして、
そうした現代の悪ガキ的リーダーと対面する機会も
多かったため、強い印象を受けているのかもしれません。
しかし、松下幸之助さん、稲盛和夫さんなどの研究書を
読むと、若かりし頃はかなり破天荒でやんちゃ、
つまり悪ガキ的リーダーだったことが伺えます。
それが、数々の経営と人生の修羅場を経て
人間力を鍛えられてきたこともわかります。
また、歴史は勝者が作るといわれるように、
故人になると、そのリーダーの
負の側面より正の側面、影より光の部分が
デフォルメされて伝播していくものです。
著者が挙げている悪ガキ的リーダーの条件などは
ほぼすべて、昭和の名経営者の現役時代にも
あてはまるのではないでしょうか。
僕は「上司力®」を伝道する際に
「上司力は後天的に鍛えられるもの」としています。
リーダーシップやダイバーシティマネジメントも同じです。
最初から優れたリーダーなどほぼいません。
現場で修羅場と対峙し、自己の内省を経て
自己変革し成長し続けるリーダーこそ
本物のリーダーなのではないでしょうか。
すべては、日本の上司を元気にするために。
前川孝雄のはたらく論
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