森永卓郎、岸博幸著(2024)『遺言 絶望の日本を生き抜くために』株式会社宝島社
絶望を味わった人からの本音の書
わたし自身が肺腺癌なので、部位は違えど同じような体験をしている人には何故か親近感を感じるというか、わたしも昨今生き急いでいるように意思決定しているので、その言動に興味を持ち、Amazonで購入してみた。
森永さんの最近出版されている本は意外にも読んでいるのと、以前大阪から東京に向かう新幹線の車中で、癌を告白する前のかなり痩せたお姿を拝見したことがある。岸さんは、わたしが慶應義塾大学のメディアデザイン研究科を受験した際の担当教官予定でしたが、合格までいただいていたのですが、わたしの研究対象にしていたところが難色を示してしまったので、ご辞退した経緯がある… 年代的には同年代に近いけど、何故か今になって癌つながりというのも不思議な御縁なのだろう…
経済に関する考え方は、わたしは森永さんよりも岸さん側に近いのだけど、そもそもご両人が共著というより対談していることがユニークである。
本書では森永さんの毎月の治療代がオフジーボを含めて100万円を超えるというのが凄いこと… わたしは分子標的薬タグリッソその他で20万円弱… 実はがん患者はその高額医療費でかなり辛い状態なのは変わらないことが理解できた。
また、企業の内部留保への課税という二重課税の問題にも少し触れていて、その行も面白い。さらに本書では小泉純一郎、竹中平蔵さん、木村剛さん、高橋洋一さんなど、お二人を取り巻く関係性や当時の考え方などの記述も興味をひきいた。
外国人労働者の受け入れについては、お二人共同様のご意見で、わたしもこのままだと日本の将来にとって悪いというか、欧米の現状から何も学んでいない今の政府は可笑しいと思う次第。
森永さんは現在、「トカイナカ」で農業もされているそうで、その話題と川勝知事問題など、やはり実務が伴うとその発言の重要度というか重さというものの理解が異なることを強調されていたと思う。
更に、最後に本書に、日航123便を挿入してくるあたりが、とても面白い。やっぱりこの事件は徹底的に調べ上げないとならないと思われる。
さて、自分の死期が予測できると、人間というのは不思議なもので、後世に自分の足跡を残しておきたい欲求が少なからずあることも事実。著者のお二人は既に書籍の形で、その実現が図られている。わたしも遺言ならぬ遺メッセージはSNS上に残したし、その他、後世の人達のために、わたしも何かを残したい気がしてきた…
まだまだ著者のお二人も最後まで生き抜いて欲しい。