山田史生著(2023)『クセになる禅問答』ダイヤモンド社
禅問答のユニークさが伝わってこなかった
以前、ダイヤモンド・オンラインで紹介されていたので、いきなり『臨済録』を読み始めるよりも、きっとやさしく解説されているものから導入した方が理解が進むのかもしれないと考えました。
個人的には、禅問答って独特の雰囲気があり、かつ、なかなかの頭を使った頭脳戦的な側面もあって、その魅力が簡潔に伝わってくるのだろうと思い、タイトルだけ見てkindle版をポチッとした次第…
哲学をかじると、当然ながら師匠と弟子とのやり取りに、その教えというものが入り込むように、禅問答も師と修行者との間の問答により、それが生き方に対する貴重な視座を与えてくれるものである。
本書は『臨済録』から選りすぐった問答を38取り上げて解説している。各々問答とその解説が語られているが、わかりやすく簡潔に説明されようと工夫して記述されているがゆえに、逆にその魅力が半減しているのではないかと、本書の前半を読み終えた位から感じるようになった…
個人的には、禅問答はもっと頭に刺激を与えてくれるはずと思っていただけに、少々残念なところがある。その点で、禅問答のユニークさというか、大きな魅力というものが、わたしには伝わってこなかった。
『歎異抄』も翻訳本を読んでためになったが、『臨済録』も入門書に頼らず、そのままの翻訳本を読んだ方が、わたしにとっては興味をひくのかもしれない。