森永卓郎著(2024)『がん闘病日記』株式会社三五館シンシャ
最後は本を書きたくなるものなのかも
昨年10月に関西に行った帰りの新幹線で森永卓郎さんをお見かけし、そのげっそりとした痩せ方に驚いて、その後癌であることを知りました。
実はわたしも肺腺癌でステージ3Aなのですが、今は分子標的薬でなんとか、肺の部位に点在する癌の卵(すりガラス結節影)の成長を止めている状態です。そんなこともあって、同じ癌サバイバーの本も多少は読んでいるつもりです。
森永さんが癌に関する闘病の過程を本にしていたのを書店で発見し、過去の三五館シンシャから出ている本も興味深かったので、書店で迷わず購入しました。
自分が癌になると、皆さん自分でネットを含め調べまくる点では、癌患者に共通して見られる行動だと本書を読んでいてもそう思いました。また、自分が癌であることを知った知人たちからは、癌の治療法とか癌に良い食べ物とか、本書でも触れられている様々な癌の治し方に関する色々な情報を教えてもらえるのですが、統計学などを知ると、その効果も疑わしいものが数多くあることもまた、患者を悩ませる部分ですね。その意味では、僕ら癌患者が一通り経験することを、森永さんも経験されていることが伝わってきます。
あまりにサンプル数が少ないのにも関わらず、癌に効くなどと謳っている治療や書籍類は数多くあり、本当にうんざりします。そもそも医者がエビデンスが疑わしい本を、さも効果があるように勧めるのは、ある意味治療詐欺に等しいのではないかとさえ思ったりします。
わたしと異なることは、森永さんの場合は何処が最初の癌になったのか、原発不明なところ。複数の医者が膵臓と断定しているけれど、精密な検査ではそうとも言えない結果がでている点などは、医者への信頼感と不安感が増しているのだろうと推測出来るかと思います。
本書から、わたしが真似しようと思うのは、預金を生前整理するという点。わたしも複数の預金口座に少量の預金を入れて分散管理していますが、わたしの寿命も生きてあと2年程度なので、そろそろある程度絞らないといけないと思った次第。
また、血液免疫療法も、もしかしたら効果があるのかも知れないと感じた次第。今の状態から癌が転移するなど、悪化するようなことがあったら、検討してみようかと思う。
本書に挿入されている「モリオ童話集」はウィットにとんではいるものの、あまり面白くないので、やっぱり森永さんは童話作家には向いていなかったのかも…
わたしの周りにも癌の人が徐々に多くなってきていますが、これまでの自分の知識や技量を次代を担う人たちに残していくのが僕らの世代の役目だと思うので、森永さんの一連の本のように、何らかの生きてきた証が後世に伝わると良いかと思うこの頃…
森永さんの人となりを本書でも十分知ることができた読後感になりました。
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