本田健著(2020)『仕事消滅時代の新しい生き方』プレジデント社
これから先を考えるヒント
この本も2021年の11月にアマゾンで購入したまま、私の部屋の積読本になっていました。丁度コロナ禍になった頃に出版された本だと思うが、ビジネスに関しては色々と変化があったことが、まだ記憶として残っているので、今読んでもまだまだタイムリーな感覚であることを感じる。
本書では、これから消滅する業界のことをアメリカのメディアではBEACHと略している話があった(p.36)。ブッキング(予約サイト)、エンタテインメント(テーマパークやイベントなど)、エア(航空会社)、クルーズやカジノ(密閉空間)、ホテル(旅館)、確かにコロナ禍ではいずれも業績を低下させた業界である。これまで好調とされてきた業界も社会的な事象により短期の間に低迷することがあることをコロナ禍はわたしたちに理解させてくれたのかも知れない。それだけに長期に安定する企業を選択することは難しいのかも知れない。なお、コロナ禍が開けると、当然ながら元に戻るように好調になっていくであろう業界でもある。
本書で興味を持った内容は、「夢や目標は、今の延長線上にはない」というもの。また、無理なことほどやるべき価値があるというもの。一般に人々が無理と思うものには手をつけないために、その無理なものに挑戦することが、参入者が少ないことになるわけで、将来像がしっかりしていれば、つまりイメージを見出しているならば、それはある意味勝算があるということかも知れない。
また、こころの底から楽しくてワクワク感があるのであれば、別に「やる気」に頼らなくても、苦もなくスタートすることができることが記されている。わたしたちは最初の一歩ややる気を必要以上に重く感じているのかも知れないが、ワクワク感さえあれば、やる気をわざわざ奮い立たせなくても素直に最初の一歩が歩めるわけで、大好きなことをすることって重要なことであることを理解させてくれる。
その意味で、仕事が辛いとか「違う」と感じたときには、素早く環境を変えることも自分に活かせる環境で生きるためには重要であり、生かせる場があるのに、現状の環境に留まっていることも良いとは言えないという見解は、たしかに理解できる内容である。
さらに定年後や失業後の「ひとり起業」も薦めており、この点は丁度わたしが転職活動中ということもあり、ベストなタイミングで本書を読んでいたことに驚いた次第である。わたしの場合は60歳で独立する計画なので、現在はやや小規模なコンサルでノウハウだけ勉強しようかと50代後半で思っている次第…
その他、成功する人は「すぐやる人」や、ピンチを体験した人は共感される等、興味をひく内容もあった。
全体的に、仕事消滅時代というよりも、働き方というのが大きく変わる時代において、自分たちの仕事に対する観点も変化させておかなければならないということを語っている良書であろう。