細谷功著(2014)『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』dZERO
わかりやすい解説
以前から購入しているのに、読んでなかった本です。
「具体と抽象」と聞くと、何だか難しいイメージを抱く人もいるけれど、学問であれビジネスであれ、われわれが意見や議論をする場合に、良く用いられている概念でもある。
われわれが良く利用する概念ではあるものの、それを簡潔に理解しやすく書籍にしたものという点では貴重な本になっていると思う。ただ、本書で随所に現れる4コママンガは、ハッキリ言っていらないと思う。内容があまりウケないし、つまらない。
本書で参考となるところは、第6章の往復運動で取り上げられている「たとえ話」に付いてである。具体→抽象→具体という往復運動の翻訳に長けている人はたとえ話が上手いという点である。
また第9章の自由度で、原作は抽象度が高く、映画は具体化されているという視点も納得できる解釈である。原作を読んでいると映画の表現が自分で意図したところと違うことが目立ってしまい、がっかりした経験も、この具体と抽象の違いということで理解できる。
第14章のアナロジーで、アナロジーを抽象レベルの真似と表現されているところは、まさにその通りで、これも納得感がある。第15章の階層や第18章のマジックミラーも説明の仕方が素晴らしいと感じた次第。
本書の理解があると、コミュニケーション、とりわけ意思疎通に対して適切な応答をすることが可能になるのではないかと思う。ぜひ社会人1年生の人たちは一読していて損しないと思う。