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明日があるという悲喜劇

散々散歩 献花

花を求めた

花屋で買った

なんと当たり前の事

しかし私の日常では
稀有

約50年

そのように生きてきた



小学生の頃
クラスの女が
度々花を持って来た

庭に咲いてる花

お母さんが
持たせてくれるらしい

ある朝
新聞紙でくるんだのを
大事そうに抱えた女が
席につくなり
阿呆面が問うた

何で持ってくるの?

綺麗でしょ?

質問を
質問で返された

棒立ちの阿呆面無視して
新聞広げ始めた女は
大輪抱えつつ

ダリア

、、とだけ言って
花瓶を取りに
教室を出ていった



花屋にて
エプロン拭き拭き年増の女

頼んでもないのに
洋花はこちらですよ

そこに
ダリアがあった

墓参りなんです

棒立ちの阿呆面に
エプロン年増は

菊は色を
吸わせているんですよ
根から青を吸わせると
白い花弁に青が差すんです

そうですか
テキトーに見繕って下さい

奮発して2,000円の菊の束

以上ですか?

新聞紙にくるまった花束
大事そうに抱えた阿呆面が
電車に揺られること約1時間

近松秋江(1876.5.4~1944.4.23)

私小説の極北と謳われた
小説家に献花

これで4年連続
命日に墓参

ビール
墓石に掛け流し

講談社文芸文庫『黒髪』
墓前で朗読

没後80周年というのに
秋江と私以外
誰もいない

なんだ?このでっかい花は?

綺麗でしょ?



花のない生活
送ってきた

多分これからも
そうだろう

阿呆面は
阿呆面のままで
狂い咲き

"2024.4.23の日記より"

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