ショートショート③〜誰かさんの"もしも"の話〜
待ち合わせは決まって夜の9時、駅を出てすぐそこの変なオブジェの前だ。
何が良くてここに置いているのかよく分からないけど、とにかく目立つからここらへんでは格好の待ち合わせスポットになっている。
すっかり季節は冬の装いで、悴むような寒さに肩を竦めながら時計を見る。
「…そろそろかな」
と改札のほうに目を向けるとちょうど電車から降りてきた彼女が見えた、今日は少し疲れ気味みたいだ。
それでもこちらに気付くとパァっと笑って手を振ってくる。
「お待たせ〜、ごめんね寒い中」
「ううん、そん