キャベツ帽子をすると熱が下がるらしい
■はじめに
「キャベツ帽子をすると熱が下がる」
そんな言葉を見つけた。
子供の頃、風邪をひいた時に使った氷枕。
あのゴム臭さと起きた時のぬるい水の気持ち悪さ。
あの時、もしキャベツ帽子だったらもっと爽やかな気分だったのだろうか。
では、この「キャベツ帽子」が本当に効果があるのか考えてみる。
まず、前提としてそれぞれの主張を肯定も否定もするつもりは無い。
というか、私には関係が無い。
■肯定側の意見
まず、このキャベツ帽子を肯定している側の意見を見てみる。
なるほど、葉を被る事で血液を中和し、カリウムが熱を取るらしい。
■キャベツはアルカリ性か
では一つ一つ確認していこう。
キャベツはアルカリ性なのか。
明示的にPh検査をしているデータは出てこなかったが、かなり弱めのアルカリ程度になるだろう。といった感じだ。
よくよく考えてみると、紫キャベツ溶液はPhによって構造が変化し、吸光度が変わる事で視覚出来る色彩が変化する。
Ph検査薬に利用される様な物質が強アルカリ性だったら意味が無い。検査薬と中和反応してしまったら液性の検査が出来ないからだ。
■血液は酸化するのか
では次に「酸化している血液」について見ていこう。
通常の血液は「弱アルカリに近い中性」を維持している。
なるほど確かにこれを見ると「キャベツのPh」が自然で良さそうに感じる。
では「酸化している血液」とはなんだろうか。
そもそも血液のヘモグロビン自体が酸素と結合する事で各器官に酸素を配送している。酸素を運ぶ機能を有していない血液は血液と言えないのでは無いだろうか。
それともコレステロールとか抗酸化作用とかその辺の話だろうか。
確かに悪玉コレステロールを抑制する作用がキャベツに含まれるアミノ酸「SMCS」にあるらしい。当然だが食した場合に限られる。
とはいえ、食べたら悪玉コレステロールが抑制される食べ物も何となく被ったら効果がありそうと感じるのはあり得そうな話である。
しかし残念ながら、前段の「キャベツのアルカリ性」とは全く別の話になってしまっている。
■カリウムが体の熱を奪う
では最後に「カリウムが体の熱を奪う」についてである。
まずカリウム自体の効果を見る。
摂取時、細胞におけるナトリウム・カリウムポンプの交換により、血圧を下げたり利尿効果がある。
この利尿効果により「尿と共に体温を排出し結果的に体温が下がる」と言う以下の様な理論が成り立つ。当然だがこれも食べた場合に限られる。
■カリウムの多い食品
では、どんな食品にカリウムが多いのか。
昆布やバナナ、豆腐やかぼちゃに多く含まれている様だ。
豆腐を頭に塗りたくったり、バナナの皮を被ったりしたって良いはずだ。
しかしなぜこれらの食品では無く「キャベツ」になったのか。
おそらくだが、欧米の文化に由来しているのではないだろうか。
この様な「キャベツ」に対する「子供にも良さそう」なイメージがキャベツを選定するに至った理由では無いだろうか。
■フランスでは痛風の痛みを和らげるためにキャベツを使う
さて、では最後に上記記載はどうだろうか。
確かにフランスではナポレオン等が痛風に苦しんだ歴史がある様だ。
しかしながら、キャベツにアイロンをして患部に当てていたという記録を確認する事は出来なかった。
■考察
ここまで見ると、Phは熱に対してなんの関係も無く、カリウムとしての生体効果を得るには食べる方が良さそうである。
とは言え、「何だか体に良さそう」である事も一つ大事な要素ではあるはずだ。
よって、「何だか体に良さそう」な要素も入れつつ、子供の熱を下げるとしたらどんなモノが適切だろうか。
私はバナナをお勧めする。なぜなら、凍らせても味を大きく損なう事が無く、子供も好きで、比較的安価で、甘い香りがして、エネルギー源としても優秀だからである。
例えば凍らせたバナナひと房を準備し、半分をタオルでくるむ。
薄目のクッションの下にいれ頭を冷やす。徐々に溶けて来たら凍ったバナナと入れ替え、溶けたバナナを食べさせるのだ。バナナ王子。
■終わりに
キャベツ帽子という、素晴らしいファンタジーの世界を調べてみた。
あまり気にしていなかったが、良く考えると主張の論理が何一つつながりが無くて面白かった。
ネットのネタで言う以下に近い印象を受けた。
一度ロキソニンとタイマンしてみて欲しいものだ。
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