麻雀の役を料理する~今日の夕食は大三元~
■はじめに
麻雀。
少しハードルが高そうなその競技だが、やってみると非常に面白い。
当然ながら「運」要素もある。しかし、それよりもはるかに「読み合い」の要素が大きい。
相手はどう考えるか、相手は私の手をどう考えるか、私はどう読まれていると振舞うのが良いのか、絶妙な読み合いによって構成されている「競技」である。
■雀魂とは
現在はその絶妙な読み合いの競技が手軽にオンラインで行える。
例えば「雀魂」は1000万のユーザーを超えている。
この雀魂には「段位」と言う実力によるランクシステムが存在する。
対戦を行うことで自分の実力に見合ったランクでの対局を行う事が出来る。
さて、私はここでどの段位なのかと言うと雀傑である。
なんとも中途半端な位置づけで決して「強い」とは言い難い。
しかし逆に言えば、中途半端だから考えられる事もあるだろう。
そう思った。
何が麻雀を始める上で難しかったのかを考えてみる。
当然、ルールを覚えたり、上がり方を覚えたりする事も難しさはあったが、何よりも「役を覚える」事の難易度が高い。
そしてこの役を覚えるまで麻雀の面白さを感じる事が難しいのである。
■役を料理する
この役をどうしたら楽しく覚えられるだろうか。
ある程度「誰にでも共通する要素」で例えてみてはどうだろうか。
「作る」と言う過程も考慮し独断と偏見で「料理」で考えてみよう。
※対象役は以下note記事を参照する。
①タンヤオ=豆腐と玉ねぎの味噌汁
1・9・字牌を使わず、2~9までの牌のみで手札を構成する事で出来る役である。
堅実な手役を作る事で成立し、比較的作りやすい。
これは、「豆腐と玉ねぎを入れた味噌汁」である。
主役になることは少ないが、何かに添えるとうれしい一品。
作りやすくシンプルで癖が無い。
②チャンタ=カレー
①とは逆に1・9・字牌をすべて絡めた手札を構成する事で出来る役である。
やろうと思わないとなかなか出来ないし、逆に「守り」に入る事で結果的に出来る事もある。
これは「カレー」だろう。守りに入った結果出来る産物でもあり、狙いに行って出来る産物でもある。
割と何を具材に入れてもカレー粉を入れさえすればカレーにはなる。
そんな感じだ。
③ジュンチャン=オムライス
②のさらに発展版でその面子すべてに1・9牌を絡めて手札を構成する必要がある。相手に察知される可能性が高く上がれることなど滅多にない。
かなり癖が強く出来たら嬉しい役である。
これは「美味しいオムライス」だ。ライスから卵まで全てを丁寧に積み上げなければ作り上げる事は不可能である。
毎日オムライスが出る家庭は毎日ジュンチャンしてる様なものだ。
④イーペーコー=肉じゃが
上記の様に同じ種類の同じ数字が2組揃う事で成立する役である。
なんとなく数字が揃っていたら出来る場合もあるし、別な役を狙っていたら出来る場合もある。そこそこ出る役で出てもまぁまぁ嬉しいぐらいだ。
これは「肉じゃが」だろう。ジャガイモを調理する過程は少し大変だが、それ以外の具材や調味料は比較的作りやすいモノが多く、その調理過程で別な料理に移行する事も可能である。
⑤リャンペーコー=スペアリブ
④の同種同数2組がさらにもう一つある場合に成立する役である。
狙って出来るようなものでもなく、非常に珍しい。中身は豪華ではないがその珍しさは役満ぐらいの嬉しさを伴う。
これは豚の「スペアリブ」ではないだろうか。
材料はただの豚の骨付き肉ではあるものの、それを調理する事で珍しく美味しい料理に仕上げる事が出来る。
⑥トイトイ=マグロの刺身
とにかく同じものをそろえる事で成立する役である。
揃っていて見栄えが良く、手牌によっては鳴いて早く成立させる事も出来る。
しかし、なぜか相手もトイトイになっているケースが多い。
これは「マグロの刺身」では無いだろうか。
あまり変な手を加えず、そのままの状態で料理として成立させる。
そこまで珍しい訳でもなく、ただあったら嬉しい。
⑦チートイツ=豚汁に見せかけたお雑煮
⑥とは異なり、全てを2つずつそろえる事で成立する役である。
イーペーコーやトイトイを狙っていたら結果的にチートイツになるケースもある。そこまで珍しくはないが、「待ち役」を変えやすく流動的であり、奇をてらった(キモイ)待ちにする事も出来る。癖だらけの役である。
これは「豚汁に見せかけたお雑煮」であろう。
色んな具材を入れ込んだ玉石混交。一旦豚汁だと思わせておいて出てきた餅で「え?」となる。そんな見た目とも相反する癖があるはずだ。
⑧ホンイツ=肉野菜炒め
どれかの数字一種類と字牌のみを作って出来る役である。
字牌がある前提で作る事が多い為、比較的できやすく上がりやすい。
鳴く事で早く手を作ることも可能だ。
これは「肉野菜炒め」だろう。
キャベツともやし、ピーマンと豚肉のシンプルな塩味でサクッと出来る。
たまにダブ東の様なパプリカのアクセントが入ったって良い。
割と頻繁に食卓に並ぶコスパの良い料理である。
⑨チンイツ=エビの天ぷら
どれか数字一種類のみですべてを構成して出来る役である。
鳴いて構成しても良いが、全ての手牌をそろえる為には相手にバレる。自分の捨て牌に1種の牌が無い事が透けて見えてしまう。
それでもあがれると進んだもののみが成立させることが出来る、かなり難易度が高く作りづらい役である。
これは「エビの天ぷら」だろう。
下ごしらえをしっかりとして、油が跳ねるリスクも厭わず進み続けやっと出来る。
絶妙なタイミングで揚げなければ成立しない、そんな料理だ。
⑩イッツー=釜玉うどん
同じ種類の数字1~9までが揃った場合に成立する役である。
頭や3牌がなんでも良く、鳴いても良い為比較的つくりやすく上がりやすい。
振り込む側も「あってもイッツーだし」と多少妥協して押してきて上がりやすい場合がある絶妙なラインだ。
これは「釜玉うどん」ぐらいだろうか。
冷凍のうどんを回答し、だしと醤油を少々、鰹節・小ねぎ・卵の黄身をのせてゴマを少し振った簡単な料理だ。
サクッと出来てそれでいて美味しい。毎日ではないけど頻繁に食べれるそんな料理だ。
⑪ダイサンゲン=「ロールキャベツ」
白・発・中の三元牌をそろえる事で成立する役満である。
役満の中では作りやすい方ではあるが、鳴くとバレやすく成立が難しい為手牌の中である程度揃える必要がある。
そこそこ難易度は高いが出るとうれしい、そんな役である。
これは「ロールキャベツ」ではないだろうか。
「ひき肉」という三元牌をキャベツでひた隠しにしてじっくりと煮込み作り上げる。少しでも火が強いと崩れてしまう。
大胆に見えて繊細さが求められる料理である。
⑫コクシムソウ=茶碗蒸し
麻雀をやったことが無い人でも、一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
字牌、それぞれの数字1・9牌すべてをコンプリートして出来上がる役満である。最初に配られた配牌が「ゴミ」と感じた時に目指せる事が多い。
しかし、1・9字牌を捨てない為相手に気が付かれる事が多く上がれない事も多々ある。
逆に安全牌を多く保有する事が出来る為、一発逆転と守りが同時に行える戦法ともいえる。そんな役だ。
これは「茶碗蒸し」では無いだろうか。
シンプルだが固まる絶妙な塩梅が難しい。見落としてしまうとそこで失敗してしまう、そんな料理である。
⑬ツーイーソー=自家製ソーセージ
全てを字牌のみで作り上げる非常に難易度の高い役満である。
と言うかめったに出ない。
誰かに上がられてもお祝いしたくなるぐらい嬉しい役である。
ここまで字牌が捨てられていないと(ツーイーソーとは思わないまでも)字牌が捨てられずあがれない事がほとんどである為、如何に手牌の中で作り上げるかが重要になる。
これは通常家庭ではほとんど作ることがない料理である、「自家製ソーセージ」では無いだろうか。羊の腸と豚肉・背脂、専用の器具を準備し破裂しないよう丁寧にゆっくり作らなければならない。
偶然適切な力加減で綺麗なソーセージが出来る事もあるだろう。
「自家製ソーセージ作ったんだ!」と言えば「おぉ、すごい!」と称賛される、そんな料理だろう。
⑭スーアンコウ=ローストビーフ
同じ牌の3枚セットを4つと頭で完成する役満である。
テトリスで長い棒で一括消しをした時の様な気持ちよさがあり、全く出ないわけでもない。
ただ、この役を作り上げる前にトイトイやチートイツで上がってしまい、「あぁ、早まった」と後悔することになる。
じっくりと待たなければ成立しない、そんな役である。
これは「ローストビーフ」ではないだろうか。
下処理をした牛肉に軽く火を通し、置いて粗熱をとってから表面に焼き色を付ける。さらに待って粗熱をとってから同じサイズに切り分け、ソースをかけて見栄えを良くする。
そんな忍耐と見栄えを併せ持った料理である。
■終わりに
なぜか麻雀の役を料理で例える事に躍起になっていた。
意味が分からない。
しかしこれでなんとなく麻雀をやったことが無い人に「役を作る難しさや楽しさ」が伝わったのではないだろうか。そうに違いない。
「ママ、今日の夜ご飯はスーアンコウが良い!!」
「今日の夜ご飯はチャンタとホンイツよ」
そんな日常があってもいいだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?