どこかに、飛んで、凧のように離れてしまいたくてもさ。
なまえをよばれた。
しかし、ふりむかなかった。
肉色の蝶番、つるりとした突起、わたしのなめくじが、透明に這う。
喜びいさむ舌、勇敢な舌、果敢な味蕾、不格好に変色しつくした、小指の爪。
そのとき、粘膜は蜂起し、わたしのただなかに、ぐいと、押し入る。
――強盗のように――、蹂躙され、屈服する。
十時七分。つまさきが、痙攣する。
怠惰に糸ひく一対の、ひるの魔物。
時は、撹拌される。
舌禍は、さらぬだにかえりみられず。
体は、孤独な布だった。
楽園がすべる。
鈍くさい、にがい汗水、あわのつぶて。
踵は罪の胤くだき、われわれは、孤独を咆哮する。
わたしたちの、愚かな心、恫喝する。
暗い洞へ、洞へ、いったり、きたり、かいごろしの、糜爛。
みちたりた甕、不規則な、流浪の、ぬる水。
汚染された、潮のみちかけ。
湿度の高い、凸凹の道路。
離れがたい、われわれの番い。
いっしゅんで、盛りのついた、あまい空気は、ほごされる。
だからあわてあわて、脛と腿との裏側、とり肌たてる。
放蕩した躯。
口蓋をひらげる。
歯をたてぬよに、たてぬよに。
わたしのやさしい犬歯。
傷つきやすい陰嚢。
しわの多い、罪の胤。
【きずものになると、そこいらの、いぬっころにも、くわれやしない】
男は、目、みひらき、慟哭する。
饒舌な魂に、つめたい閂をおろす。
ねむるように――、結実する。
もう、おしまいのきざし。
それでは、さようなら。
だから、わたしを、つれていって。
この砂嘴では、手をふらない。
だから、わたしを、つれていって。
幻の音楽が、かなでられる。
太鼓と笛。
こすれあう咽頭が、白濁する。
純白の、にがよもぎ。
わたしを、つれていって。
みさかいなく破瓜する、私の臀部をつたった、私の、過ぎ越しのしるし。
私の、私たちの、みどりごは赤暗く。
シーツは、やや、と、さざ波だった。
何年も、小説を書いている。この書き出しで、何年も、ホンキとか、ファイルの名前を変えて書いている。でも、この書き出しで、いけるか、いけるか、結構進んでいるような気がする。固まったきがする。
さて、生活は、仕事にバイトにコンプレックスに、尊敬してやまないアイドルの皆さんの幸福や、もちろん、家族の事もあたりまえだけど、考え、音楽を聴いて、コンテンツをアディクション、ん、わたしも、言語を習いたい。勉強したい。もっと、何でも知って、知ったことを、小説にできたらいいな。
バイトの帰りに、どうしても悲しくて、夜、チョコレートパフェを食べた。文藝の2023年の新人賞受賞作がのったのを、読んでた。結構、夜中のファミレスは混んでいた。
わたしは、今年中に小説を書きあげ、発表(おうぼ)する。それまでに、どうやって、生き延びようか考えている。
生活は、穴だ。ああ、どこまでももぐりこんで、消えてしまいたいと思う。
バイト先は、薄暗く、なんかわたしは顔立ちがちんけなんで、未成年にみられたりするけど、それは、まったく詐欺で、もしどこもかしこも若かったら、わたしの人生はもっとちがっただろう。ああ、アルティメットメカマルニ本気でなりたい、わたしの理想が、まさに彼。
札幌は、桜がさいた。春がとうとうきたのだから、桜を見よう。ほんとうは、燃やしてしまいたいくらい、季節が憎い。時間の流れや、自分の思考回路が、発火している。
どうして、なにもかにも、うまくいかないんだろう、って思って、小説をよしかこうって、思っても、書けないけど、頑張って書くしかないよね。
小説書いているみなさん、ほんとに、汗とか血とか、体じゅうけずって、がんばろう。