
【今週の週末和ごはん】#42 酢を混ぜ込むと綺麗なピンクに!簡単で美味しい福井県の郷土料理「黒豆寿司」、青森の「ひもなす」を調理する
今週はなんだか黒豆が食べたくて、いつものように煮ようかとも思ったが、レシピを検索していて「黒豆寿司」というのを見つけた。
複数の地方の郷土料理となっているようだが、地方によって使われる具材の種類やつくり方が異なる。私がぱっと惹かれたのは中でも最もシンプルな、黒豆だけを具にして炊き込んだ福井県のもの。今回はこれをつくってみることに。
◆黒豆寿司(福井県の郷土料理)

参考にした福井県レシピは、具は本当に黒豆だけのシンプルなもの。上の写真では高田梅のカリカリ梅を刻んで混ぜこみ、上にはとろろ昆布を散らしているがいずれも私の好みで、本来は黒豆と米、寿司酢だけ。
高田梅はこの記事を書いた頃よりも真っ赤に染まり、日々美味しく食べている。ここ2年で漬けて来た様々な品種の中でも高田梅は最もお気に入りのひとつ。カリカリした食感が長く保たれ、風味もとても良い。
さて、黒豆寿司のつくり方は非常に簡単。
米一合に対して1/4合程度の黒豆を予め半日程度浸水させておき、研いだ米に昆布と共に加え、やや固めの水加減で炊き込む。
炊きたてのまだ熱いうちに寿司酢を回しかけ、切るように混ぜ込むと、黒豆に含まれるアントシアニンの色素が酢に反応し、ごはんがみるみるピンク色(薄い赤紫色)に。黒豆をやや多めに入れたので、色がより赤紫っぽく染まってお赤飯のような色になった。これで完成。
寿司酢にはたくさんある梅酢を使ってみた。梅酢には塩分が含まれているため、砂糖のみ少々加えて味を調整。梅酢に合わせてカリカリ梅も入れたのだが、当然ながらとても美味しい。
これは見た目もきれいだし、お赤飯より気軽につくれてさぞ重宝されたことだろう。私もいたく気に入った。普段から軽く煎った黒豆を梅干しと共に炊き込む黒豆ごはんは頻繁につくっているが、これも良い。お弁当用のごはんやおにぎりにも使えそう。黒豆はごはんと一緒に炊き込むとごはんがもちもちになるのも好きなところ。
また、この週は使いたい食材があった。
青森で見つけた「ひもなす」。確かに紐のように細長い。

おすすめは麻婆茄子とのことだったが、長い野菜を見るとつい肉を巻いてみたくなる。豚バラ肉を巻いて転がしながら香ばしく焼き、ぽん酢で食べたら美味しいのでは?と思ったのだが、…これが案外難しかった。
皮ごと味わいたくて皮ごと肉を巻いたところ、肉が茄子に密着され難く、転がす際にどうしても剥がれがち。それでも何とか焼きました、というのがこちら。切れば焼きやすいことはわかっていても、つい長いまま食卓に出したかったんですよね…。

想定外だったのは、思いの外あくが強めだったこと。この細長い見た目から九州の長なすのようなあくの少なさを想像していたが、予想に反してしっかりあくの感じられる味に硬めの皮。それもあって、麻婆茄子がおすすめだったのかも知れない。
その麻婆茄子も作ったのだが、こちらも狙いが少々外れた。
私は普段から「素」を使わず麻婆をつくるので、いつものように家にある香味野菜と甜麺醤、豆板醤、花椒を使って作ったところ、この中国風の(限りなく現地に近い)味付けがひもなすには合わなかった。特に甜麺醤と合わない。この茄子の風味と喧嘩するのだ。なので、これも丸美屋等の美味しい「素」を使って手軽に作った方が良かったのだと思う。売り場のポップは当然「素」を想定していたんだろうな…。

という訳で、初めてのひもなすはあまり上手に調理できなかったが、後から考えるに、おそらくイタリア料理ならしっくり来ただろうと思う。
イタリア料理は野菜のあくを抜くのも活かすのも上手なので、あくが多いイタリアの茄子を想定した茄子料理はどれもすんなり馴染むと思う。アグロドルチェでもパルミジャーナでも、アンチョビやケイパーと炒めるのでも美味しいだろうし、焼き付けてトマトソースで煮ても良い。豚肉を巻いて調理する場合も、耐熱容器にきっちり詰め込んでオーブンで焼くと、また違ったできあがりになるだろう。
またもし「ひもなす」を買えたら、是非イタリア料理を試したい。
この日のその他の料理は以下の通り。
◆冬瓜と海老の冷たいあんかけ

冬瓜を美味しい出汁で煮ると、温かくても冷やしても大変美味しい。鶏か海老の旨味を加えると更に美味しい。今日は海老。
温・冷どちらでも、私はおろし生姜をたっぷりめに加えるのが好き。とろみをつけるタイミングで一緒に加える。また、冷やす場合は盛る際にへべすやすだちの皮をあしらい、果汁を少し絞るのも爽やかで良い。
◆人参のちくわ詰め天ぷら、あけびの天ぷら

にんじんはかき揚げにするのも好きだが、この日はなんとなくもうちょっと太めに切って揚げたくなり、ちくわに詰めてみた。あけびは天ぷらも定番。
なお、上の茄子の写真にも焼いたあけびが写り込んでいるが、これは皮の内側(果肉を除いた側)に味噌を塗って焼いた味噌焼き。味噌にやや甘味をつけてこんがり焼くと美味しく、いかにも山形・秋田らしい味だと思う。
ワインは小坂七滝ワイナリーの秋田犬ワイン。赤ワインだがアルコール度数が白ワイン並みにやや低く、甘めの淡口なのでついぐいぐい飲んでしまう危険なワイン(褒めてます)。



和食の時でもワインが飲みたいな…という時に日本ワインは便利。最近和食をつくる機会が増えているので、日本ワインの在庫を増やしているところ。お気に入りはいくつかあるが、近年美味しくて個性的なワイナリーがどんどん増えているので、積極的に開拓したいと思っている。