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【今週の週末広島名古屋ごはん】#54 広島帰りのうどん入りお好み焼き、「煮菜」と書いて"にじゃー"、穴子蒲鉾ゆかりちくわ、そして煮味噌ふたたび

広島から帰ってしばらくの間、お好み焼きがもっと食べたくて仕方なかった。毎日近くのお好み焼き店を探したり、市販品を精査したりレシピを調べたり。現地で食べたうどん入りのお好み焼きが、自分でも意外なほど気に入ってしまったのだ。

小型で厚みのあった「村上海賊」さんのお好み焼き。うどんもちもち、生地こんがりねぎたっぷり

これまで所謂「広島風」のお好み焼きは、広島でも他でも何度か食べたが後を引いたことは嘗てなく、お好み焼きは関西風の方が好みだと思っていた。理由はふたつ。①あの甘いソースが好みではない②お好み焼きに入る焼きそばにさほど魅力を感じなかったから。特に②が顕著で、同じそば入りなら大阪のモダン焼きの方が好き。広島風にカリカリに焼くそばは、焼きたては美味しくとも冷めると味ががくんと落ちる。
――そう思っていたのだが、今回行った居酒屋「村上海賊」さんのお好み焼きは、驚くほどすぐ出て来たのに(つまり作り置きか冷凍)美味しかった。うどん入りを食べたのは初めてで、カリカリのそばよりもちもちのうどんがどうやら私の好みだったようである。
ねぎ焼きもまた私の既成概念を変えた。焼きたてに青ねぎをこぼれんばかりにかけたねぎ焼きには「おたふく」的甘いソースがぴったりなのだ。これにはむしろ、甘くないソースが合わない。
あの味がどうしてもまた食べたい…。冷凍食品やスーパーのお好み焼きをその週3種類も食べても満足せず、週末に自分で焼いた。

◆うどん入りお好み焼き(広島風)

広島のお好み焼きは何度か焼いたことがあり、知っている気になっていたが改めて調べ直し基本に忠実に焼いた。材料は以下。
≪うどん入りお好み焼き≫フライパン小1枚分(直径16~18cm)
・生地(薄力粉45g+水50㏄、よく混ぜる)
・卵:1個
・キャベツ:やや太めのせん切り2つかみ(山盛りにする。1/4個より多い)
※もやしは私は入れない方が好きなので不使用。お好みで
・だし粉(かつおかいわし):適量
・いか天(天ぷらではなくスナックの方、砕いて揚げ玉代わりに入れる。今回は広島のコンビニで買った):適量
・豚バラ肉:4~5枚(全面に広げられる面積、切らずにのせる)
・ゆでうどん:1玉(予め軽く温め、ソースで軽く味をつけておく)
・青ねぎ(九条ねぎ使用):たっぷり
・おたふくソースまたは甘めのお好み焼きソース
・青のり:お好みで
※コンロは2口使用。常時フライパン2枚(できれば厚手)が温まっている状態に。

同店の断面。うどんは平麺だからより速く出せたのかも。次はここも真似よう

大きな鉄板がないので小型のフライパン2枚とグリルパンの3枚を駆使して途中で温度を下げず、最終的に熱々のグリルパンの上で焼き上がるよう工夫した。火加減はずっと中火。簡単に手順を示すと、
①フライパンに油を敷いて温め、生地の2/3程度を流し入れ、素早く広げてだし粉を振る。
② ①にやや太めのせんキャベツ(もやしを入れる場合はここで)⇒だし粉と刻んだいか天(または揚げ玉)の順にのせ、豚バラ肉を全面に広げて残りの生地を回しかけ、ひっくり返して豚バラ肉がカリカリになるまで3〜5分ほど焼く。
③ ゆでうどん玉を温めソースで軽く味をつけ、空いているフライパンに広げ、その上に②の生地をそのまま移動(豚肉をうどんにのせて脂や旨味を吸わせる)。グリルパンの予熱開始。
④ 空いたフライパンに卵を割り入れ、軽くつぶして広げ、③をそのまま移動し(麺を卵で固める)卵がこんがりするまで焼く。
⑤予熱したグリルパンにひっくり返してのせ、底面の生地がこんがりするまで焼いて火を止める。上面(卵の面)にたっぷりとおたふくソースを塗って青のりを振り、青ねぎをたっぷりかけて完成。アツアツの鉄板(グリルパンやスキレット推奨)で食卓に出すことが最も肝要。

へらを買い忘れてナイフで切り分けました

こだわった甲斐あって大変美味しかった。豚バラ、キャベツ、青ねぎはケチらずたっぷりと。断然美味しくできる。返す際は豪快に。
迷ったのは、うどんを先に卵にのせ、生地を移動させた方が工程も少なく失敗しないのでは?という点。今回は基本に忠実に行ったが、急ぐ場合は前者でも良いかも。揚げ玉ではなく、いか天を使ったのもよかったと思う。
ともかく、自分なりのつくり方がわかったので以後もこの形で時々焼きそう。夫も「豚バラカリカリ、キャベツふんわりで美味しいね。いか天もいい」と追いソースをして満足そうだった。

◆あなご蒲鉾、あなごちくわ、ゆかりちくわ

広島駅ビル「ekie」にて購入。「いずの」さんではいつも「がんす」を買って帰るが、今回はより日持ちするこちらに。
あなご蒲鉾は、白焼きの方は「わさびをつけて海苔で巻き、醤油をつける」食べ方が推奨されていたので試してみると大変美味しかった。いずれもやや温かい状態で食べた方が美味しさがよくわかる。

ちくわは、美味しくてこの時食べ切ってしまったけれど、薄く切って炊き込みご飯にしたら美味しいだろうなと思った。いつも思うが広島のちくわは旨味が濃くて美味しい。同じく薄切りにしてうどんつゆに加えても美味しいだろう。山椒入りもゆかりも、どちらも美味しかった。

歯ごたえしっかり、旨味もしっかり

◆煮菜(にじゃー)

広島の郷土料理を調べていて発見。酸っぱくなりかけた菜っ葉の漬物を打ち豆等と煮る「煮菜」は日本海側に広く分布しているがそれとは全く異なる、読み方も違う「にじゃー」。広島っぽい。良い箸休めになりそうなので早速試した。
つくり方はごく簡単。
大根をごく薄い短冊切りにして(スライサーやしりしり器で切るレシピもあったが水分が出そうで包丁で切った。お好みで)ほぐしたいりこ、刻み油揚げ、同じく刻んだねぎと共に炒め、醤油で味付けして完成。小松菜や厚揚げを入れても良いらしい。家庭料理なので、家々で具材やつくり方に違いがありそう。日常の食卓にあると心和む感じのお惣菜。
気になったのは、広島の醤油は甘いのか?(ソースや日本酒が甘いので)という点。これまで意識したことがなかったが、醤油だけで味付けする料理なので気になった。軽く調べると、一部地域で甘い醤油が使われている模様。甘めの醤油でも試してみようかな。

◆広島菜ほか漬物三種

広島菜は「山豊」さんのもの。自分で漬けたせいさい・赤かぶと食べ比べると、やはり西の作物という味に思える。菜っ葉の世界は奥深い。

広島菜美味しいですよね

◆煮味噌

広島っぽく揃えた献立に突如加わる愛知県。でもこのところ煮味噌が食べたかった。美味しい上庄里芋もあるし、大根もこんにゃくも厚揚げもある。八丁味噌もあるのでつくるタイミングがここだった。最近行った近所の居酒屋(名古屋っぽいメニュー多し)でどて煮を注文したら出て来たのがこれで、ふたりとも八丁味噌を欲していたのである。

どて煮というより味噌おでんと言おうかなんと言おうか、八丁味噌への恋しさが募った

煮味噌については過去記事で詳しく書いた。知ったのは近年だが、とても気に入り高頻度でつくっている。冬には殊に美味しい。教えていただいた通り、甘くすることを心掛けてつくっている。この日はたまたまかぼちゃが余っていたので入れたらちょっとほうとうっぽくもなったが美味しかった。

旅先で美味しいものを食べると、その味を忘れないうちに帰ってすぐ真似したくなることが時々あり、今回は典型的にそれだった。ホルモン天(白肉天ぷら)も食べたくてホルモンも買ったが、食べ切れないと判断して次の機会に。解凍して使う頃には白肉天よりもつ鍋気分になっていそうな気もしなくもないが、ともかくお好みが美味しく焼けて満足した週末ごはん。
お酒はレモンサワー(氷結無糖レモン4%がお気に入り)を飲みました。


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