【今週の週末ワインごはん】#51 トスカーナ風いろいろな豆とサルシッチャ、じっくり焼いたかぶのアンチョビ風味、秋刀魚の塩焼きポルトガル風、アマトリチャーナ
かぶを焼くのが好きである。
和風に食べるなら漬物や煮物ももちろん好きだし、基本的にどう調理しても美味しい野菜。けれど、ワイン仕様なら断然皮付きのかぶをやや厚くスライスし、じっくり時間をかけて焦げ目がつくまでフライパンで焼くのが好き。茎や葉も、切らずに長いまま焦らずじっくり時間をかけて返しつつ丁寧に焼くと大変美味しくなる。好物のひとつと言っても良いくらい。故に、かぶの出始めの時期にはまず焼きたくなる。
それと、ワインごはんの際にはほぼ何かしら使っている豆。いつもは気が向いた一種類を選んで調理することが多いが、この日は取り合わせたくなった。たまたま目にした豆ポタージュのCMが美味しそうだったのと、手持ちのイタリア料理本に「サルシッチャといろいろな豆」という料理を見つけたから。
秋刀魚でばれたと思いますが、3週間ほど前の週末ごはんです。
◆焼きかぶアンチョビ風味
かぶを焼くことに情熱を傾けているのは上述通り。いつもは塩を振るだけだが、この日は気が向いてアンチョビ風味。塩だけでも十分美味しいです。
ポイントは、とにもかくにも「焦らずじっくり焼く」こと。焼く時間の目安は15~20分。厚手のしっかりしたフライパンにオリーブオイルを少量敷き、皮ごとスライスしたかぶと、いつもは切らずに長いまま、この日はアンチョビを均等にまぶすため5cm長さに切った茎を中弱火でじっくり焼く。実はしっかり焼き目をつけてから裏返して両面、茎は各面を適宜転がして水分を抜くように焼きつけ、最終的に焦げ目をつけるイメージで。
全体に良い焼き目がついたら塩を振ってできあがりにしても良いし、今回の場合はフライパンの隙間でアンチョビを熱して溶かし、微量の水を加えてペースト状にして全体に絡めて完成。
どちらの場合も、できたて熱々よりも常温ぐらいが味も落ち着いて最も美味しい。どの種類のワインにもぴったりです。
◆ソーセージといろいろな豆
元レシピでは使う数種類の豆を香味野菜やパルミジャーノの皮、ハーブなどと一緒に煮て風味をつけているが、元々茹でて冷凍していた豆を少量ずつ解凍。仕上げの手順のみレシピに倣い、にんにくとローリエで香りをつけたオリーブオイルで温めた。
その上に焼いた手持ちのソーセージ(本来はサルシッチャだが、国産のあらびきソーセージとメルゲーズ)をのせ、オリーブオイルをかけて完成。豆とソーセージ、たんぱく質たっぷりでいかにも力がつきそう。
この日使った豆は冷凍庫にあった中で気が向いた青いんげん豆、ひよこ豆、黒大豆、キドニービーンズと、少量だけ試しに茹で小豆も入れてみた。他の豆と比べて小豆は小さいし、そもそも煮崩れやすいのでほぼ溶けて形をなしていないが、味やとろみがつなぎのような役目になって案外悪くなかった。夫も「あずきの味が全体を調和させている」とのこと。割と気に入ったので、今後も他の豆や腸詰を組み合わせてみるつもり。
◆スパゲッティ・アマトリチャーナ
アマトリチャーナは日本でも比較的馴染んでいるパスタなのでバリエーションも数多く、私がよくやるつくり方でも2~3種類ある。この日はトマト缶と玉ねぎでつくったソースに大ぶりのフレッシュトマトを合わせた、最もフレッシュでジューシーなつくり方。煮込みソースの旨味を吸った生のトマトが美味しかった。
◆さつまいもとりんごのサラダ
調味料の色でじゃがいもみたいに見えるけれど、さつまいもとりんご。いつもはヨーグルトで和えることが多いがこの日はなんとなく塩味にしたくて、角切りハム、レーズン、クコの実も加えてプレーンヨーグルトとマヨ、微量のカレー粉を混ぜたドレッシングで全体を和え、最後に醤油を垂らしたゆで卵。美味しかったけれど、マヨとカレー粉を少々入れ過ぎたかも。ごく微量でよかったのに、手が滑りました・・・。
◆さんまの塩焼きポルトガル風
お皿代わりにパンを敷いた青魚の塩焼きにじゃがいもをとり合わせるのは、ポルトガルのいわし祭りに倣った食べ方。今でも忘れられない、まるまる肥って大きな氷見とろ生いわしがやって来た際味を占めました。
いわしと比べてこの日の秋刀魚はやや痩せていたものの、ほろ苦い内臓まで美味しく食べられるぴかぴかの鮮度。美味しいですよね秋刀魚。
よく知られた佐藤春夫「秋刀魚の歌」はほんとうに名詩だと思っている。「さんま、さんま さんま苦いか塩つぱいか」と苦味と塩味を組み合わせて表現しているのが特に印象に残り、どちらかというともの悲しい内容なのに焼き秋刀魚が恋しくなる。
パンともじゃがいもともよく合うし、赤ワインにもぴったり。柑橘はかぼすを合わせました。
今年は秋刀魚が豊漁と聞いて期待していたのだが、外出やら体調不良やらで機会を逸し、家で食べたのは結局これだけになってしまった。お刺身でも食べたかったのにな…。
豊漁と言えば、今年は富山の寒ブリも非常に好調とのこと。シーズンのうちに是非とも味わいたいけれど、師走や年明けって割と忙しいので間に合うかどうか。