【詩】理性に負けるな、感性よ。
なんの為にやるのか
なんの目的があるのか
なんの意味があるのか
なんの価値があるのか
理性は私に問いかける
その声は大きく、今や権威をもっている
感性は内気である
囁くようにしか私に声をかけない
私は耳をかたむける
あなたの味方よ。と心を開く
しかし、感性は内気なままである
そう簡単には心を開かない
理性は図太く、無神経なところがある
聞いてもないのに間を割って話に入ってくる
私はそんな二人の間をいつも取り持たなければいけない
そんな性格の二人だから、すごく馬が合うというわけではない
しかし、理性には理性の言い分があるし、感性には感性の言い分があるのもよく分かる
最近の二人を見ていると思うことがある
理性はもう少し柔軟になった方がいいし、感性はもう少し自信を持った方がいい
でも、私は知っている
人生の中で何度か見たことがある
この二人が腕を組み楽しく踊っていたところを
本当は二人一緒に踊りたいと思っているはずだ
恐らくだが、理性は感性に惚れている
でも、素直になれていない節がある
感性も本当は自分の自分らしさを誰よりも理性に認めてもらいたいと思っている
好きな服を着て、好きなアクセサリーをつけて、好きな髪形で、好きな絵を描いて、にっこりと笑ったところを理性に褒めてもらいたい
心の奥では感性はそう思っている、たぶん
私は二人の恋のキューピットにならなければならない
私は理性に語りかける
もっと素直になったらいいのに。
理性はぴんときていない
理性は意外と鈍感で自分は惚れてなんかいないと思っている
それどころか自分が恋なんてと思っている
話にならない理性
私は感性に囁く
もっと自信を持っていいと思うの。あなたは素敵よ。
感性は黙って一枚の絵を私に手渡した
素敵な絵だった
素敵。また描いて。
私は言った
それから毎日、感性は私に一枚の絵を見せてくれた
二枚の日もあった
その度に私は言った
素敵。また描いて。
そんな感性の姿を見ながら理性はつぶやく
時間がもったいない。
でも、私は知っている
たまに理性が感性の描いた絵を見て、ぼーっと物思いにふけっているのを
その時、理性は感性を憧れのまなざしでチラッと見る
うん。二人が踊る日も近い。
大丈夫。
理性に負けるな、感性よ。