【詩】一本の木との会話
私は一本の木に問いかける
「いつも同じ場所でつまらなくないの」
木は答える
「いつもせわしなく動いて大変じゃないの」
私は少し黙って聞く
「冬とかって寒くないの」
木は答える
「冬って寒いものじゃないの」
私はまた少し黙って聞く
「自分が何歳かとかってわかるの」
木は答える
「分からないけど、困らないわ。増えた友達と知り合いの数のことかしら」
私は少し微笑んで聞く
「私は友達なの」
木は答える
「あなたがそう思ってくれるなら」
私は喜んで聞く
「あなたはどれくらい友達がいるの」
木は答える
「たくさんいるわ、そして、たくさんいなくなったわ」
少し寂しそうな木に私は聞く
「みんないなくなってしまうの」
木は答える
「私のせいでもあるの。私が長く生きすぎるから」
私は悲しくなりながら聞く
「でも、それはあなたにどうしようもないことでしょう」
木は答える
「そうね。でも、どうしようもないことは、本当にみんな、私のせいにはならないのかしら」
私は少し考えてから聞く
「じゃあ、これからも私のせいと思って生きていくの」
木は答える
「そうかもしれないわね」
私は私のせいだと思いながら聞く
「だぶん、私はあなたより先にいなくなる。いなくなった後ってどんなだと思う」
木は答える
「そうだね、それは、考えたこともなかったわ」
私は聞く
「私はそこであなたを待ってる。きっとあなたのたくさんの友達もそこであなたを待ってる。寂しくなったら、その場所のことを考えてみたらどうかしら」
木は答える
「ありがとう」
私は聞く
「泣いてるの」
木は答える
「そんなわけないでしょう。私は木よ」