「源氏物語の本」3選 FIKAのブックトーク#9
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「源氏物語」。
今年の大河ドラマ絡みで色々な本が出ていますよね。
昔から源氏物語が大好きだったので、原文をはじめ様々な本を読んできました。
その中からおすすめ本を3冊紹介します。
漫画「あさきゆめみし」 大和和紀
〈対象:源氏物語を初めて読む人〉
源氏物語はとても長くて人物関係も複雑なので初めて読むなら漫画がおすすめです。
その中でも「あさきゆめみし」(全10巻)を推す理由は以下の3つです。
①原作をほぼ全てを漫画化
「あさきゆめみし」はダイジェストすることなく原作のほぼ全てのエピソードを漫画化しています。
②オリジナルの解釈と補完が秀逸
源氏物語はいきなり話が飛んだり、キャラの行動原理がよく分からない部分もあるのですが、「あさきゆめみし」ではエピソードを巧みに加えてそれらを補っています。光源氏と藤壺の宮の出会い、紫の上との結婚のいきさつ、朧月夜のキャラ設定、花散里との馴れ初めなど他にもたくさんあります。オリジナルの解釈もありますが、決して原作を損なうものではなく、現代人に受け入れやすい補完だと思います。
③ビジュアルで楽しむ王朝絵巻
青海波の試楽、葵祭、後宮での絵合、六条院での春の宴や女楽…華やかな宮廷行事や宴が細やかで美しい絵で再現されていて、さながら王朝絵巻を見るかのようです。文字で読むより絶対分かりやすくて楽しい!
以上の3つが「あさきゆめみし」をおすすめする理由です。
私の初めての源氏物語は、高校生の時に読んだ円地文子の現代語訳(全5巻)だったのですが読み通すのがたいへんでした。
その点「あさきゆめみし」なら全10巻あってもスラスラ読めると思います。
「女子大で「源氏物語」を読む」 木村朗子
〈対象:源氏物語をもっと深く知りたい人〉
津田塾大学での1年間にわたる「源氏物語」の講義を書籍化したものです。
大学の講義だけあって、単に源氏物語のストーリーや人物を紹介をするだけにとどまらないアカデミックな内容になっています。
例えば、「源氏物語」における「語り手」の視点の考察、英訳本と原文との対比、当時の政治情勢や文化風俗を踏まえた上での読み方など、興味深い切り口がたくさんあります。
さらには、源氏物語を読んだ女子大生からの質問やツッコミがあったり、現代の社会学や心理学、ジェンダー学の視点から源氏物語を分析するのも面白い。
少し残念なのは、講義が1年間だったため「花散里」の巻(11巻)で終わっていること。
ぜひ全54巻を講義してほしいと思いました。
「紫式部と王朝文化のモノを読み解く 唐物と源氏物語」 河添房江
〈対象:源氏物語を違う角度から知りたい人〉源氏物語の「人物」や「ストーリー」ではなく、作品に登場する様々な「モノ」、とりわけ「唐物」と呼ばれた舶来品に着目して読み解いた本です。
例えば、高貴な生まれの朝顔の斎院や女三の宮のもとには、度々「唐物」が登場します。「唐物」を手に入れるだけの財力と権威があるということを示唆しているのです。
「唐物」の持つ政治的な意味合いや、その交易ルートや貿易拠点を考察したり、逆に唐物ではない「国産」の品々にはどういったものがあってどういう品質だったのかについても解説します。
こういう知識をふまえて源氏物語をはじめとする王朝文学を読むと、また新たな発見がありそうです。
以上、3冊の本を紹介しました。
源氏物語には読みたい本も紹介したい本もまだまだあるので、いずれまた…
読んで下さってありがとうございました。