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「カレーの本」3選 FIKAのブックトーク#45

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「カレー」。
1月22日は「カレーの日」だったのでカレーに関する本を3冊紹介します。




「カレーライフ」 竹内真

祖父のカレーの味を探せ!
カレーを食べながら世界中を旅する青年のロードノベルです。

主人公のケンスケは幼い頃、4人のいとこたちと「大人になったらみんなでカレー屋を開こう」と約束します。月日は流れ19歳になったケンスケはそんな約束などすっかり忘れていました。ところが、料理人だった祖父の店を遺産として受け取ることになり、流されるようにカレー屋開業に向けて走り出します。

いとこたちに再会して一緒にカレー屋をやろうと説得するため、祖父のオリジナルカレーの味を再現するため、ケンスケは世界中を旅してカレーを食べます。

キャンプ風おでんカレー、スパイスのきいたインドカレー、りんごとハチミツのバーモントカレー、モツァレラチーズ入り辛口シーフードカレー、沖縄の豚肉料理ラフテーカレー・・・

富士五湖から始まり、アメリカ、インド、沖縄と続くカレーをめぐる冒険の顛末はいかに?
読むと絶対にカレーが食べたくなる小説ですよ。



「カレーライスを一から作る」     前田亜紀

「カレーライスを一から作る」と聞くとどういう作業をイメージしますか?

え?
スーパーで材料を買ってきて、ご飯を炊いて、野菜と肉を切って煮込んで、カレールウを投入して出来上がりでしょ?

あ?
それとも、スパイスからつくる本格的なやつ?

いえいえ、この本の「一からつくる」とはそんな生易しいものではありません!
武蔵野美術大学のゼミで行われた「カレーライスに必要なものを一から全部手作りする」という壮大な試みを描いたドキュメンタリーです。

野菜も米もスパイスも、全部畑で育てます。
肉も自分で飼育します。ダチョウの肉がいいと言ったばっかりにダチョウを飼うはめになります。(飼育が難しいので他の動物になりましたが)
さらには、カレーをよそう器も粘土を採取し形を整え窯で焼き上げ、スプーンも竹を削って作ります。

普段当たり前のように食べているカレーライスにどれほど多くの手間と時間がかかっているのか、それを実感する大学生たちの9ヶ月間におよぶ笑いと涙の記録をぜひ読んでみてください。



「カレー移民の謎」 室橋裕和

バターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンなどのリーズナブルなセットメニュー・・・
みなさんの近所にもこうしたメニューの格安インドカレー店がありませんか?そのほとんどはインド人ではなくネパール人が経営しているそうです。「インネパ」と呼ばれるそうした店がなぜ日本で増えているのかに迫るノンフィクションです。

日本人からするとインドもネパールも同じような国に思えますが、2つの国の料理は全く違うそうです。
なぜネパール人は故郷の料理とは違うインドカレーの店をこんなにたくさん日本で出しているのでしょう?

元々日本には、戦前からインド人が営む老舗の高級カレー店が何軒かありました。そうした店でコックとして働いていたネパール人が、似たようなメニューで格安のインドカレー店を始めたところある程度成功したので、故郷を出て一旗あげたいと考えるネパール人のビジネスモデルとして定着したのです。

本書はこうした流れを追う中で、日本に一緒に連れてこられた家族、とりわけ子どもたちの現状にもスポットをあてます。両親が教育熱心でなく、日本の学校の授業についていけず、友達もできないまま社会で孤立していく子どもたちが大勢いることに著者は心を痛めます。

また、働き手がどんどん国から出ていくネパールの実情にも迫ります。日本で稼いだお金で彼らは幸せになったのか・・・?

美味しいばかりじゃないカレーの話でした。



以上、3冊の本を紹介しました。
今夜はカレーにしませんか?

読んでくださってありがとうございました。

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