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「鍋の本」3選 FIKAのブックトーク#32

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「鍋」。
今日11月7日は「鍋の日」ということで鍋料理を扱った小説やエッセイを3冊紹介します。



「今夜は、鍋。温かな食卓を囲む7つの物語」

人気作家6人による「鍋を囲むひととき」を描く短編アンソロジーです。

いろんな鍋が出てきますよ。
水炊き、キムチ鍋、牡蠣鍋、餃子鍋、火鍋…

内容も恋愛、ミステリ、ホラーから、鍋自身が語り手というシュールなものまで様々です。

「合作、冬の餃子鍋」 角田光代
「四人いるから火鍋にしましょう」 青木祐子
「初鍋ジンクス」 清水朔
「両思い鍋パーティー事件」 友井羊
「できない君と牡蠣を食べる」 額賀澪
「やみ鍋」 織守きょうや
「鍋セット」 角田光代

目次から

どれも味わい深いのですが、私が一番好きなのは角田光代の「鍋セット」。この作品だけは鍋料理ではなく、初めて家を離れて一人暮らしする娘のために母親が調理用の鍋を買う話です。娘と離れる寂しさを押し隠して、大きな鍋の効用を饒舌に語る母の胸の内が切なく、その鍋を十数年ぼろぼろになるまで使い続ける娘の心が愛おしい…母娘の情愛が泣ける温かな物語です。



「ぐつぐつ、お鍋」 

「鍋」をテーマに37人が描くエッセイアンソロジーは執筆陣も内容も豪華!

池波正太郎、北大路魯山人といった大御所から、現代の食エッセイならこの人という東海林さだおや椎名誠、人気作家の江國香織、島本理生、川上弘美、エッセイストの酒井順子や、漫画家の安野モヨコまで…

河豚もどぜうもスッポンも、おでんもジンギスカンもきりたんぽも、ちゃんこもすき焼きも寄せ鍋も、ありとあらゆる鍋がそろっています。

池波正太郎の「小鍋論」に東海林さだおがつっこみ、「おでん」について池内紀や川上弘美が語る。吉川英治は「河豚」、江國香織は「鱈」、石井好子は「ちゃんこ鍋」が好きで、ねじめ正一は日本人なら「すき焼き」でしょうと言う。北大路魯山人は鍋奉行よろしく厳格な作法を説き、酒井順子は「鍋っていっぱい食べたようで実は遠慮しあって意外と食べてないからお腹がすく」と言い、小泉武夫は「納豆鍋」という奇っ怪なオリジナルレシピを公開し…

鍋って何でもあり自由ですね!



「名前のない鍋、きょうの鍋」 白央篤司

「きょうの気分で鍋を作ってください」
そう言われたら、みなさんはどんな鍋を作りますか?

この本は「市井の人々のリアルな鍋の姿を知りたい」ということで、年齢も性別も出身も職業も経歴も家族構成もそれぞれ異なる18人の「いつもの鍋」を紹介しています。取材はすべて「自宅に上がらせてもらい」「台所と作っているところを実際に見て」「食べているところも含めて撮影する」というスタンスで行います。

そして出来上がった「鍋」を一緒につつきながら「なぜこういう鍋を作るのですか」という質問から始まって、その人が育ってきた環境や、なじみのある土地への思い、仕事や家族や人生についていろいろ語ってもらいます。

紹介される鍋は実に様々。豆乳ごま鍋、スンドゥブ、味噌煮込み鍋、魚すき、トマト鍋、湯豆腐・・・
仕事に忙しいサラリーマンが冷凍野菜や残り物でささっと作る鍋もあれば、一人暮らしの老人が自己流で楽しむ鍋もある、ネットでレシピを検索する大学生もいれば、故郷の味や思い出の味を再現する人、新しいパートナーと一緒に新しい我が家の味を作っていく人もいて・・・

それぞれの鍋にそれぞれの人生が垣間見えるます。鍋の数だけ人生があるんですね。


以上、3冊の本を紹介しました。
寒くなってきて、そろそろ鍋の季節ですね。私は家で作るちゃんこ鍋が好きです。

読んでくださってありがとうございました。

(おまけ)普段は週1の投稿ですが、10月27日から11月9日の「読書週間」は2週間連続投稿にチャレンジ中です。よかったらお付き合いください。(読書週間第12日目)


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