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「文化祭の小説」3選 FIKAのブックトーク#26
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「文化祭の小説」。
秋と言えば文化祭!
文化祭の空気をたっぷり味わえる小説を3冊紹介します。
「文化祭オクロック」 竹内真
謎のDJ「ネガポジ」を探せ!
東天高校の文化祭初日、謎のDJ「ネガポジ」によるラジオ放送が突如スタートします。軽快なトークや楽しい企画で文化祭を盛り上げていきますが、その正体も放送場所も誰も知りません。
「ネガポジ」にのせられた野球部の則之は壊れた大時計の針を動かそうと野球のボールをぶつけ始めます。
「ネガポジ」の発言に腹をたてた優里は文芸部員の久留美と一緒に彼の正体をつきとめようと構内を探し回ります。
「ネガポジ」とは一体誰なのか?
何のために文化祭でラジオ放送を始めたのか?
トークや企画の裏に隠された秘密とは?
意外な真相と見事な伏線回収に驚かされる学園ミステリであり、文化祭のライブ感あふれる青春小説でもあります。
きっと自分も「東天祭」に参加している気分になれると思いますよ。
「ふたりの文化祭」 藤野恵美
文化祭は当日だけのイベントではありません。当日に向けて準備する期間もまた文化祭の醍醐味です。真逆の男女ふたりがお化け屋敷を担当する姿を描く青春小説です。
潤は学校一のイケメンを決める文化祭のミスターコンテストにも出場予定のモテ男。
あやは本好きの図書委員。文化祭の盛り上がりについていけず潤のことも苦手。
そんなふたりが文化祭の準備で組むことになり、急接近する恋愛小説かと思うでしょ?
ところがこのふたり、最初の反発から次第にいい友人になっていくものの、最後までお互いを冷めた客観的な目で見ています。
文化祭の当日、潤は美少女のあおいに公開告白して振られ、あやはあおいの兄といい感じになるのを予感させて物語は幕を閉じます。
ラストで潤とあやが交わすハイタッチが心地いい。真逆でも恋愛関係にない男女でも、理解し協力し合える関係性がいいなと思える物語です。
「クドリャフカの順番」 米澤穂信
文化祭小説と言えばこれ!というくらい好きな青春ミステリです。
主人公の奉太郎が所属する「古典部」で大問題が発生。文化祭で発行予定の文集の部数を間違えてとんでもなく多く作ってしまったのです。
何とかして文集を完売しよう!ついでに学内で起きている奇妙な連続盗難事件も解決して「古典部」の知名度を上げよう!と張り切る部員たちに押されて、奉太郎は文化祭で盛り上がる学内を彷徨うのですが・・
この高校はやたらユニークな部活動が多いのが特徴です。(そもそも「古典部」からして活動内容と部名が合っていません)
様々な部がここぞとばかりに張り切る文化祭は個性的な企画ばかり。私が一番好きなのは料理研究会主催の料理バトルに古典部のメンバーが挑む場面!メンバーの見事な技と連携プレイが光ります。
いろんな文化祭の出し物を楽しむうちに物語は謎めいたタイトルの意味が明かされる青春ミステリとして展開していきます。その辺りのさじ加減もすごく好き。
この1冊だけでも面白いのですが、アニメ化もされた「古典部シリーズ」の第3巻なので、ぜひ1、2巻の「氷菓」「愚者のエンドロール」から読んでみてください。古典部メンバーの心情や背景を知るとよりいっそう楽しめると思います。
以上、3冊の本を紹介しました。
文化祭、皆さんにはどんな思い出がありますか?
読んでくださってありがとうございました。
(おまけ)普段は週1の投稿ですが、10月27日から11月9日の「読書週間」は2週間連続投稿にチャレンジ中です。よかったらお付き合いください。(読書週間第6日目)