2024年3月(前半)の読了本+感想
こんにちは。
3月前半は7冊読みました!う〜ん、充実!
執筆も進んでおり、第一芸人文芸部の次号の文芸誌の執筆も初稿が書き終わりました😃
5月の文学フリマ東京でお披露目できそうです!
これからの予定
1) 3/19『登壇@有楽町・阪急メンズ東京』
19時~20時
有楽町の阪急メンズ東京で登壇します!
東京クリエイティブサロン(TOKYO CREATIVE SALON)の一環で、蔵前の『透明書店』さんの企画です!
テーマは「芸人が本を書くことについて」。小さな会場なので早めにお申し込みください!
これめちゃめちゃ来て欲しいです!打ち合わせしてきましたが、かなり楽しくなりそうです!
2) 3/30 特別番組「第一芸人文芸部 俺の推し本。」
3月30日(土)、13:00~14:00にBSよしもとでオンエア!
本好き芸人が自分の推し本を紹介する番組です!
出演者
MC&プレイヤー:ピストジャム、ファビアン
プレイヤー:バイク川崎バイク、村上健志(フルーツポンチ)、トニーフランク、赤嶺総理
オブザーバー:又吉直樹
3)5/19『文学フリマ東京』
参加予定です!
こちらでの発売に向けて、現在『第一芸人文芸部』の第2号を執筆中です!
タイトルや書影はまだ未定!決まり次第、報告します!
第一芸人文芸部の活動
1) stand.fm配信
毎週水曜日、22時からstand.fmの生配信で、今週読んだ本について語ったり、活動報告も行なっているので、ぜひ聴いてみてください!
次回(3/20)の放送のテーマは『行間から音楽が聞こえそうな小説』
僕は宇野 碧さんの『レペゼン母』を紹介します!
2) Amazon Audible『本ノじかん』 配信中
番組のパーソナリティを担当させていただいております!豪華なゲストと本や創作について、めちゃくちゃ語っているのでぜひ!
また番組では『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説を朗読連載中。
読んでくださっているのは、声優の白井悠介さんです!
登録30日間は無料なので、ぜひ聴いてください!
3) 文芸誌『第一芸人文芸部 創刊準備号』の発売店まとめ
2024年3月(前半)に読んだ小説
1)『推し、燃ゆ』 宇佐美りん
ずっと気になっていた作品。昨年末から今年にかけて、推しが2人も燃えたので読んだ。
まず想定が完璧すぎる。
ピンクのカバーに青色の中身。まさに「推し、燃ゆ」の物語そのもの。
青色は主人公・あかりが推しているアイドル、真幸の担当カラー。
書影の女性は糸で吊るされてがんじがらめになっており、耳と繋がっているイヤホンの線は青色。ダイスケリチャードさんの作品らしいが、現在活動休止中とのことで復帰を心待ちにしている。もっと絵をみたい。
そして本文。「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」と、めちゃくちゃ完璧でワクワクする始まり。
主人公・あかりはアイドルグループ「まざま座」の真幸にバイト代のほとんどをつぎ込み、熱烈に推している。
真幸はファンを殴ったことで批判に晒されることになるが、それでもあかりは変わらず推し続ける。と言っても、物理的になにか行動に移すわけではなく、ただただ推しの言葉を信じ、曲を聞き、過去のインタビューを見て、ブログを更新するだけ。推しを自分なりに解釈しているあかりのブログは知名度があり、顔も本名も知らない推し活仲間からたくさんのコメントが書き込まれる。
推しは自分を支える「背骨」であると表現されている。
もともと家族関係や勉強ができないことで生きづらさを抱えていたあかり。しだいに精神状態・健康状態は悪化し、家族との間の亀裂も広がる。やがて進級できないことが決まると高校を中退し、生活のすべてを推しに捧げるようになる。そんな中で推しの口から衝撃の告知をされ、あかりは進むべき針路を見失いかけるが……。
というあらすじ。かなり想像と違い、ヘビーな物語だった。
なぜ推しがファンを殴ったのかは最後まで明かされず、一人称で書かれているので本当にファンを殴ったのか、実は彼女なのかもわからなかったけれど、それこそが『推し、燃ゆ』が安っぽい物語にならなかった理由なのかもしれない。
最後の「推しは人になった」と、背骨がなくなったあとの綿棒のくだりはグッときた。あかりは推しを推しまくっているのに、家族にさえも推して(味方して)もらえないのは辛いなあ。
ここからは個人的な感想を箇条書きで。
・文章がうますぎる。かなり感覚的で抽象的な表現も多々あって、でもわかる。その塩梅が素晴らしかった。
・内容にはあまり共感はできなかったが、発見は多かった。それは全身全霊を賭けて、生活まで賭けて推しを推したことがないからかもしれない。
・僕は推しが決まって同性だし、生活の全てを賭けて推しているわけではないし、主人公のようにどうしたら良いかわからなくなりただ見守る気持ちより、エンタメを奪われての怒りの方が大きい。なんならアンガーマネジメントのやり方を求めて読んでしまった。
・意外と主人公が客観的に自分を観察していて、もっと主観的に暴走してしまうことに期待してしまっていた。
・食傷気味である「生きづらさ」がテーマの一つだった。生きづらいが故に推しを推すことで自分を保っていたが、高校生の設定だからできることだと思ってしまった。
・真幸も芸能界に対して生きづらさを抱えているのは良かった。
・主人公が「生きづらさ」を抱えていないバージョンの「推し、燃ゆ」を読みたかった。
読むタイミングや世代によってもかなり意見が分かれる作品だと思いました!
————紹介(公式より)————
『推し、燃ゆ』を読んだことで考え、悩んだ執筆する際の一人称の問題はこちらへ↓↓
2)『富豪刑事』 筒井康隆
あーーーおもしろ!最高。ミステリーにコメディを捻じ込んでるのに、力技かと思いきやかなり精密。さすが筒井さん。
主人公の刑事・神戸大助はホテルオーナーの父である神戸喜久右衛門の財産を使って、難事件を解決していくという一風変わったミステリー。「富豪刑事の囮」「密室の富豪刑事」「富豪刑事のスティング」「ホテルの富豪刑事」の4本からなる。
金はめちゃくちゃ使うが業務には真面目。富豪じゃないと思い付かない解決法ばかりで笑える。
あと、時々筒井さんが読者に話しかけてくるのも掟破りで最高。このキャラクターも本当は濃密に紹介したいのだが、本筋と関係ないので割愛する、とか普通に書いてる。
2005年にドラマ化した時には、なんと主人公の男女を変えて深田恭子さんが主演。 筒井さんも出演していたらしい。
———紹介(公式)———
2024年3月(前半)に読んだ絵本
1)『その本は』 ヨシタケシンスケ、又吉直樹
二人の男(ヨシタケさんと又吉さん)が本が好きな王様のために世界中を旅して珍しい本の話を聞かせる物語。
全ての話は「その本は……」から始まり、第一夜、第二夜、第三夜……と、又吉さんパートとヨシタケさんパートが交互に続いていく。
ヨシタケさんは絵本で、又吉さんは短編小説やショートショートでたくさんの物語を王様のために綴っていく。
めちゃくちゃ面白い。自分の中のバイブルになりそうな一冊。いや〜読んで良かった。あらゆるパターンの物語を、それこそ思考実験のように書き連ねている。
「その本は、とんでもない速さで走っているため読むことができない」
「その本は、人を選ぶ」
「その本は、その国の人間はみんな持っている」
「その本は、遺跡の中で見つかった。遺体の口の中に入れられていた」
などなど、めちゃくちゃドキドキする始まりが多い。
読まれて読まれてボロボロの本には、その本に書かれている物語のほかにもう一つの物語があるというのが心に残ったなあ。
———紹介(公式より)———
2)『メメンとモリ』 ヨシタケシンスケ
メメント・モリとは、「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」という意味を持つラテン語の言葉。現代では主に「死を意識することで今を大切に生きることができる」という解釈で用いられているのだそう。
この絵本も「死ぬことを忘れない」こと、「今を大切に生きる」ことをテーマに描かれている。何歳向けなんだろう。大人が読んでも面白い。
メメンとモリ、ふたりの会話は、日常のささいな出来事から生きること死ぬことまで話は広がっていく。諸行無常や中道のような仏教の考え方にも通ずるものがあった。
何をしても良いし、何もしなくても良い。
めっちゃ頑張っても良いし、まったく頑張らなくても良い。
変わらないものなんてない、だからこそ今を大切にしたい。
永遠なんてないからこそ、永遠を願ってしまう。
何かしら悩んだり、頭でっかちになった時にこの本を読み返したい。
————紹介(公式より)———
3)『りんごかもしれない』 ヨシタケシンスケ
そんな疑問からスタートするりんごのあらゆる可能性を探った物語。
妄想はりんごの形や中身に、別のものに、過去に未来に飛躍していく。
いや〜〜〜〜最高すぎる!
発売して10年以上読んでなかったことを後悔するレベル。自分の中のバイブル決定。発想と妄想の全てが詰まっている絵本。めちゃくちゃおすすめです。ヨシタケさん最高だわ。
というか、世の中の作家はみんなこれをしているのかもしれない。
芸術家もこれをしているのかもしれない。
ミュージシャンも芸人もこれをしているのかもしれない。
社長も王様もこれをしているのかもしれない。
そんな感想を書いたのは僕じゃないかもしれない。
———紹介(公式より)———
2024年3月(前半)に読んだサッカー本
1)『サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める』 小澤一郎
推し解説者、小澤さんのサッカー戦術本。
ラ・リーガの見たい試合の担当が小澤さんだとラッキー!と思う。めちゃくちゃ分かりやすいからだ。
本書では攻撃、守備、ネガティブトランジション、ポジティブトランディションに章を分け、それぞれ433.4231.352など、フォーメーションごとにチーム戦術、個人戦術を解説している。
オールカラーでめちゃくちゃ分かりやすいし、QRコードを読み込むと解説動画も見ることが出来る。
偽サイドバックだけじゃなく、去年グアルディオラがシティで実践したばかりの偽センターバックまで網羅。
この形ならどこがフリーになりやすくて、どこで数的有利を作ろうとしているのか、普段解説されていることを体系的に学ぶことが出来た。
最後には日本の少年サッカーへの提言と期待も。面白かった。
———紹介(公式より)———
2)『林陵平のサッカー観戦術: 試合がぐっと面白くなる極意』 林陵平
こちらも推し解説者、林さんのサッカー本。
なにより『観戦術』なのが良かった。理論よりなにより、推しチームを持って、1シーズン観察してみようから始まる。かなり寄り添ってくれているように感じた。
そして、技術やシステム・戦術より先に『見るべきポイント』を教えてくれる。
試合開始すぐは初期配置、4局面の狙いと機能性、システムの噛み合わせ、そしてアグレッシブさについて。特にベストメンバーかどうか、アグレッシブかどうかをチェックすることでこの試合をどう捉えているか見ることが出来ると。面白いなぁ。
フットボール見始めの人でもこれ読むと試合を見る解像度が上がるとおもう。
そしてグアルディオラ、クロップ、モウリーニョ、アンチェロッティ、デゼルビあたりの解説もめちゃくちゃ面白かった。
———紹介(公式より)———
拙著『きょうも芸の夢をみる』について
“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらの記事に発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!