2024年11月後半の読了本+感想
文学フリマ東京が今週日曜日、12/1日にせまってきました!
今年の集大成感あるので、ぜひブース【はー17,18】に立ち寄ってくださったら嬉しいです。
会場は大丈夫だと思いますが、冬なのであったかくしてきてください!
文フリに関しては、前回の記事に詳しく綴りましたのでぜひ!
初めての東京ビッグサイト楽しみです!
読書の方もコツコツと楽しみながら続けています!
12/2日には「俺の推し本」の収録に又吉さん、吉本ばななさん、BKBさんが来てくださるので、そちらも楽しみ!
それでは11月後半の読書記録です↓↓
今月は執筆の合間に気分転換に読み始めたり、疲れてベッドで横になってからちょっとだけ読もうと取り組んだり、電子書籍で読書していました!
2024年11月前半に読んだ本
①『信仰』村田沙耶香
村田さんの短編&エッセイ集。
「周りと私は違う」「常に違和感を感じながら生きてきた」という出発点は村田さんによくあるけれど(コンビニ人間も)、よくもここまでその度合いを書き分けて、作品に昇華できるなと唸る。
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」から始まる「信仰」は、カルト詐欺と原価女を描いた。あくまで現実的に「原価」を気にしながら、それが得か損か見極めながら生きていた主人公。周りの友人にも「そんなの買うのやめなよ、原価やっすいよ」と忠告する姿は、「原価」というものへのカルト的執着ではないかと考えるのが面白かった。誰しも何かのカルト的信仰を、知らず知らずのうちに行っているかもしれない。僕も「面白いかどうか」に対してはカルト的になっていた時期もあった。
そのほか、面白かったのは65歳の生存率で人を区別する世界に暮らす「生存」。
野生に帰って野人として暮らす姉の巣に訪れる「土脉潤起」。
後半の「書かなかった小説」「最後の展覧会」は完全なショートショート。星新一と村田さんは少し親和性がある。
エッセイ「気持ちよさという罪」も面白かった。
突飛な設定の小説を多く作品化してきた村田さんはいつからか「クレージーさやか」と呼ばれるように。
そのラベリングされた経験のせいで、テレビマンから「カメラ回っている時はクレージーにできますか?」なんて言われることに。多様性の尊重とラベリングの葛藤に苦しむ姿は読み応えがあった。
「笑われて、キャラクター化されて、ラベリングされること。奇妙な人を奇妙なままで愛し、多様性を認めること。この二つは、ものすごく相反することの筈なのに、馬鹿な私は区別がつかないときがあった」
「安全な場所から異物をキャラクター化して安心するという形の、受容に見せかけたラベリングであり、排除なのだ、と気が付いた。そして、自分がそれを多様性と勘違いをして広めた」
が印象に残った一文。僕はまだ「排除」と思うまでに至ってないかな。
②『青の炎』貴志祐介
「俺の推し本」で辻くんが紹介した一冊。面白い!
ずっと緊迫感に包まれたまま、一気に読み切った。
倒叙ミステリー(犯人視点で進行する物語)の傑作だと思う。
あらすじ。
主人公は櫛森秀一。湘南の高校に通う17歳。
母子家庭で、妹との三人暮らし。趣味はロードレーサー。
そんな平和な家庭に招かざる客がやって来た。
名前は曾根。交通事故で夫を亡くした母の、再婚相手だった。
しかしギャンブル中毒であり、秀一に手をあげるようになったので十年前に離婚していた。なぜ今さら戻ってきたのか——。
突然転がり込んできた男は好き勝手に生活し始めた。
秀一は曾根を殺すため、綿密な計画を練り始める。
感想。
あらゆる場合を想定して練り上げられる殺人計画。とてつもない緊張感の中で行われる犯行。その裏に綴られた心理的葛藤が悲しくて、やりきれなくて、かなりのめり込んで読んでしまった。
犯人主人公の小説は「バレるな!」と応援してしまうから、心に悪い。主体的に読んでいるぶん、映画よりグッと感情移入してしまう。それでも面白い。
完全犯罪に挑む心理描写は、悲しくも嘘に嘘を塗り固めていくことになる。いたたまれない気持ちもありながらページを捲りつづけた。あんなラストが待っていたとは。
「完全犯罪なんて成功しない。やめとけ」というメッセージも込められていると思う。
③『くさり』筒井康隆
面白いな〜!ホラー短編集とのことだけど、単純に「怖い」だけに落ち着く作品は少ない。設定のひねりがどれも効いていて、ブラックユーモア、ドタバタ劇、ファンタジーなどの展開に発展していく。物語には、その途中で、加速度的に結末に向かっていくアクセルのようなものがあると思っているのだけど、知らぬまに踏み抜かれている。怖いだけじゃなく、グロい、気持ち悪い、なるほど!など色々な方向に感情が揺さぶられた。
一番好きだったのは「星は生きている」。
この短編に出会えただけでも読む価値があった。めちゃくちゃ面白い。星自体が獣の皮になっている星の話。本当に筒井ファンでいて良かったと思わされる一作。
その他「肥満考」「二元論の家」「さなぎ」「くさり」「たぬきの方程式」「怪物たちの夜」「亭主調理法」「穴」が面白かった。
④『殺戮にいたる病』我孫子武丸
叙述トリックものだと知ってから読んだので、かなり警戒したにも関わらず、全く見抜けず。全然気が付かなかった。
読み方が悪かったのか「うわ〜やられた!」とはならず、「え?どゆこと?」となってしまったのは後悔。たまにあるけど、こればかりは仕方ない。バラしかたって本当に大事だな、と感じる。
真相より、グロテスクな描写の方が印象に残った。犯人の残虐性は吐き気がするレベル。これを読んでしばらくは、普通の殺人事件が可愛く思えてしまったり、物足りなく感じてしまうかもしれない。というかグロいのとか、内臓系あんま好きじゃないのかもな。きしょいが勝ってしまう。
それなのに、犯人の心情描写をあまりにもたくさん読んでしまうと「捕まるな!逃げ切れ!」と思ってしまう自分が怖いな。他の作品でもそうだけど。
めっちゃおすすめ!ってよりかは、怖いもの見たさにどうぞ!って感じかな。
今後の予定
① カレー出します!
カレーと文学が融合したおもしろ企画に参加します!
本屋が仕掛ける“ココでしか買えない”読書体験「華麗に文学をすくう?」
赤坂に店舗を構える「双子のライオン堂」さんと、神保町・秋葉原などで「書泉」「芳林堂書店」の2つの屋号で「アタマオカシイ本屋」を展開する株式会社書泉さんの共同企画です!
小説の中に登場するカレーがレトルトカレーとして実際に発売します!
第一回として尾崎世界観さん・高山羽根子さん、第二回として青木杏樹さん・オルタナ旧市街さんのカレーは発売中!
第三陣として、作家の浅生鴨さんとともに、第一芸人文芸部のカレーが発売されます!!
リリースはこちら↓↓
レギュラー活動
①毎週水曜 22時〜 stand.fm生配信
今週の本紹介、文学ニュース、活動報告などを行なっています。
お便りコーナーもあるので、質問お待ちしております。
第一芸人文芸部の活動のベースです!
②毎週日曜 16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
毎週レギュラー放送中。本について語り、推し本を紹介する番組です。
アーカイブはBSよしもとのサイトとYouTubeからどうぞ!
ピストジャムさんと僕がレギュラーMCです。
放送予定
12月1日 しずる・村上、銀シャリ・橋本
12月8日 BKB(バイク川崎バイク)、3時のヒロイン・福田
12月15日 放送お休み
12月22日 BKB(バイク川崎バイク)、ダイタク・大
12月29日 BKB(バイク川崎バイク)、ヒューマン中村
③毎月 徳島県タウン誌『CU』
毎月、書評コラム『やっぱり読書はやめられぬ』という連載を持たせていただいています!
県内のトレンドや季節の特集もあり、旅のお供にもぴったり。ぜひ四国旅行を予定されている方、ゲットしてください!
徳島県内の書店・コンビニ、オンラインでも発売中です!
拙著について
Amazon、読書メーター、ブクログなどで感想書いていただけたらめちゃくちゃ喜びます!!
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』。めちゃめちゃ自信作です!!
こちらに発刊への想いは、以下に綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』
ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。自信作です! ぜひゲットしてください!
③ そのほか
・『本屋夜話』
小鳥書房さん主催の「小鳥書房文学賞」を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジー。“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』というショートショートも掲載させていただいています!
アーカイブ
① (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
東野圭吾さん初のAudible作品『誰かが私を殺した』の配信を記念して、2024年7月24日~28日までの5日間に渡って実施されたイベント「真夏のミステリーライブラリー」で公開収録した特別編も配信中!