劇的な変化をその手で再現。能装束リバーシブルハンカチ #はじめての能
ミュージアム部が京都観世会館とコラボレーションして「幽玄の物語を追体験 能装束リバーシブルハンカチの会」を作りました。
こんにちはミュージアム部の部長 内村です。今回は能の魅力のひとつ「能装束」をモチーフに作った「能装束リバーシブルハンカチ」をご紹介したいと思います。
能ならではの作劇法「複式夢幻能」の
おもしろさを伝えたい!
能では「シテ」とよばれる主人公の、身に着けている「面」と「能装束」が物語の前後で変わります。この状態を「前シテ・後シテ」といいます。
これは世阿弥がつくりだした「複式夢幻能」という作劇法により生まれた表現方法で、とてもユニークです。
例えば、華やかな装束のお姫さまが、真っ赤な鱗をイメージさせる装束をまとう鬼女に変わったり、七宝柄の装束をまとった童子が、荒々しい雷紋の装束の霊狐に変わったりなど、劇的な変化を起こしながら物語が進んでいきます。
前シテ・後シテ、能装束の変化を再現
物語に大きな変化が訪れるとき、シテの姿が変わるということを知っているだけで能を理解しやすくなります。リバーシブルハンカチではそこに重点を置いて、デザインに落とし込みました。
『道成寺』での前シテ・後シテ表現
『道成寺』では、前シテは白拍子として現れます。しかし物語が進むにつれて、白拍子は鬼女(蛇体)へと変わってしまいます。
リバーシブルハンカチでは特徴的な蛇のうろこをイメージさせる模様をハンカチ全面にあしらっています。ワンポイントとしてデザインしている「面」は前シテに「小面」、後シテに「般若」。
『小鍛冶』での前シテ・後シテ表現
『小鍛冶』では前シテとして現れた童子が、後シテでは霊狐へと変身します。その後、ワキにあたる登場人物の三條宗近と一緒に刀を打つことになります。
リバーシブルハンカチは童子の緑の衣から、霊狐のまとう荒々しい雷紋の衣への変化を再現できます。ワンポイントとしてデザインしているのは、前シテに「童子」、後シテに「小飛出」という「面」。
『媽祖』での前シテ・後シテ表現
新作能である『媽祖』では前シテは黙娘ですが、物語が進むと後シテとして媽祖という天女へと変わります。
媽祖は赤い衣をまといますので、ハンカチでもそれを再現するデザインに。ワンポイントとしてデザインしているのは、前シテ・後シテ、ともに同じ「女面」ですが、後シテでは宝冠を着けて表現します。
こっそり予習で能楽堂での時間をより楽しく
今回のリバーシブルハンカチには、能初心者さんがこっそり演目の予習ができる仕掛けを用意しています。
手遊びしながら予習!
リバーシブルハンカチの表裏それぞれに、「面」を模したアップリケがワンポイントとして入っています。この「面」部分を中心にしてハンカチ折りたたむと、まるで能を舞う演者のように手遊びすることができます。
ハンカチを裏返すと、前シテ⇔後シテの変化を手のひらで再現できます。
能楽堂に行く前、お家にいながらちょっぴり予習できますよ。
二次元バーコードで予習!
さらに、リバーシブルハンカチのネームタグには二次元バーコードがプリントされています。これを読み込むと物語のあらすじを読むことができます。
能楽堂に行く前や講演が始まる前に予習することで、物語を理解しやすくなること間違いなしです!
監修いただいた片山 九郎右衛門さんにも
完成品を見ていただきました。
装束のデザイン監修をしていただいた片山 九郎右衛門さんに仕上がりを見ていただきました。
『小鍛冶』のリバーシブルハンカチで、手遊びもしていただきました!
いかがでしたでしょうか。少し敷居が高いと感じていた能の世界ですが、ふだんから持ち運ぶハンカチで楽しく予習しつつ、能楽堂での観劇を楽しいひとときにできたらうれしいです。
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