錦絵に描かれた江戸のトレンドを令和の指先に #アドミュージアム東京コラボ ②
アートとしての人気も高い「錦絵」を、広告の視点からアプローチし「ジェル風ネイルシール」へと企画したお話。
こんにちは、ミュージアム部の mitu.です。
日本で唯一の広告ミュージアム「アドミュージアム東京」とミュージアム部のコラボ企画その②「錦絵」から生まれた企画をご紹介します。
アドミュージアムのご紹介・コラボ企画①「マッチラベル」はこちら
江戸商人が注目!庶民の娯楽メディア「錦絵」の宣伝パワー
「錦絵」とは木版多色摺りの浮世絵版画。「見当」と呼ばれる、今日の印刷物の断裁位置や印刷時に各インクの刷り位置をあわせるための目印となるマーク「トンボ(トリムマーク)」にあたる技法を開発。これにより、多彩な色彩表現と量産が可能になり、庶民の娯楽メディアとして人気を博しました。
江戸時代の錦絵がイコール広告媒体という訳ではありません。
しかし、錦絵の中には、名所図会の中にさりげなく看板を入れたもの、店頭風景そのものを錦絵にしたもの、各種の錦絵に意図的に店の名前や商品名を描き込んだと思われるもの、人気歌舞伎役者のブロマイドのような錦絵に商品を入れ込んだり歌舞伎絵の口上に商品メッセージを埋め込んだもの……などなど、広告的要素を含んだものがあります。
例えばこちら。
江戸河原崎座で上演された『関取二代勝負付』という演目の中で、花魁役を演じる歌舞伎役者・市川升之丞を描いた錦絵ですが、よくご覧ください。
寄りかかる鳥居の柱に「京橋仙女香 坂本氏」の文字。仙女香とは、文政期(1818~1830)に京橋南伝馬町の坂本氏が売り出した白粉。役者絵の形を借りて作った商品広告ともいえます。
これらは、情報メディアとしての錦絵に注目した江戸商人たちが、錦絵の版元と手を結び、宣伝活動に利用していたと考えられてます。
ほかのミュージアムではアート視点で語られることが多い錦絵ですが、広告のミュージアム「アドミュージアム東京」との今回のコラボでは、「広告手法」の視点で錦絵を見ていきたいと思います。
人気者をモデルに起用"タレント広告”的錦絵でファッションの流行とともに商品を宣伝!
広告の役割をもった「錦絵」のうち、特に私が注目したのは"素敵に着物を着こなす女性たち”を描いた錦絵でした。
着物や帯、半襟などのコーディネートがとても素敵! このような錦絵が、遊女や芸者、水茶屋の娘など当時の人気者をモデルに起用した"ファッション誌”のような役割だったと知ったときには納得! 錦絵を見ながら「こんな着こなし素敵ね~」なんて、江戸時代の人々が口にしている様子が目に浮かびました。
さて、こちらの錦絵の中には、どこに広告要素が描かれているでしょうか?
女性が手にしているのは白粉の「寿々女香」。さらに左上のコマ絵の中には、人気の化粧品「菊寿香」を扱う人形町の「喜久寿」のお店が描かれています。
続いて、こちらの錦絵の中では、芸者と思われる女性が、銘酒・剣菱のロゴの入った酒樽に腰掛けています。
右上のコマでの中には「上利剣」という仙人が描かれ、絵の中の狂歌では「山人の知らぬ下界の喜見城 世のうさ払う 剣菱のさけ」と、"江戸の町には仙人も知らぬ こんな美味しい酒がある”と剣菱をおすすめしています。剣菱は将軍の御前酒にも選ばれた有名ブランド。モデルの芸者も剣菱も、江戸の庶民のあこがれの存在でした。
このように、広告要素を含みつつ、江戸時代の人々が「素敵ね~」とあこがれたと思われる錦絵。
このあこがれを、現代でも楽しめるようにしたい! そう考え企画したのが「アドミュージアム東京×ミュージアム部 錦絵が描く江戸トレンド ジェル風ネイルシールの会」です。
錦絵が描く江戸時代のおしゃれを令和の指先に!
〈江戸名所百人美女 人形町〉
振袖着物が愛らしいこの作品からは、鳥や花といった可愛らしいモチーフと、帯から抽出した幾何学風の模様や雲をゴールド箔で表現し、全体的に華やかな印象に。
〈艶姿十六女仙 上利剣〉
着物柄の鶴に加え、半襟の紗綾形文や印象的な襦袢の色アクセントも表現。シルバー箔がおしゃれにまとめます。
〈けいせい大淀 市川升之丞〉
きりっとした黒留袖と、帯柄やすそからのぞかせた重ねの着物柄など、粋な着こなしを構成する要素をデザインに抽出。箔はゴールドを使用しています。
錦絵の中の着こなしから抜き出したデザインですが、モチーフのレイアウトなどのバランスに工夫を加えているので、和装にも洋装にもマッチする仕上がりとなりました。
ぷっくりと立体感のあるシールなので、貼るだけでジェルネイル風の仕上がりに。シールを貼った後、トップコートを重ねて塗ると、「もち」が良くなります。
1回のお届けは、ネイルシールシート2枚。つめの大きさにより使用回数が異なりますが、およそ両手2回分になります。
江戸の庶民があこがれたであろう、美人・歌舞伎役者のおしゃれのエッセンスを、指先で楽しんでみませんか?
江戸時代には、錦絵以外にもたくさんの広告手法が生まれました。アドミュージアム東京の常設展「ニッポン広告史」で、ぜひご覧いただきたい!
また、アドミュージアム東京から発行されている書籍『江戸の広告作法/えどばたいじんぐ』もおすすめです。
さらに、気軽にご覧いただくならば、アドミュージアム東京 note でも一部お読みいただけます▼
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