美しく変容する女性のありようを形に。化生の面コスメポーチ #はじめての能
喜ばしき日も悲しき日も、照ラシ、曇ラシ美しく。
ミュージアム部が「能」の世界から「面」をモチーフに「神秘的な能の世界にふれる化生の面コスメポーチ」を作りました。
こんにちはミュージアム部の部長 内村です。前回の記事はいかがでしたでしょうか。能の魅力が少しでも伝わっていたらうれしいです。まだの方はぜひ以下の記事をご覧ください!
今回は能楽師 片山 九郎右衛門さんにお聞きした「面」の特徴を、コスメポーチとしてどのように表現したのかをお話しさせていただきます。
「面」は魂を宿らせる依り代
「面」とは能で扱う仮面であり、なくてはならない要素のひとつです。主にシテ(主役)がかけて物語のヒロインや神仏、精霊など人を超えた存在を演じます。
「面」の種類として一番多いのが女性をイメージした「女面」です。女面は一見無表情にも見えるデザインですが、小面、小姫、若女、増女、姥、そのほかにもたくさん存在します。
また「面」には「写し」という文化もあり、傑作と伝わるオリジナルの面を模して新しい面を作ることがあります。それらは魂を込めて扱われるものですので、単なる模造品としてではなく大切に扱われてきました。そのような派生したものも含めると、現存している面は約300種ほどあるそうです。
中には、仏像として作られていた不動明王のご尊顔をいただいて作られている「面」もあるのだとか!? ただの小道具ではないというのもうなずけます。
照ラス、曇ラス、演者がかけることで表現は無限。
能の世界では「面」を使うときに「つける」とは言わず「かける」といいます。これは単なる物ではなく魂を込めて対峙するものだからです。
「面」に対して敬意を払い、演者がかけることで、さまざまな感情が「面」に宿ります。上向きに傾けることで、うれしさや喜びを表す「照ラス」。下向きに傾けることで、悲しさや寂しさを表す「曇ラス」など自由自在です。
どんなときも美しくありたい想いを「面」に宿らせて
能で登場する女性たちは時に晴れやかに、時に悲しくもありますが、どの瞬間も美しく心に訴えかける魅力があります。今回はそのような美しさのありようを表現する「面」をモチーフに、コスメポーチを作ってみました。
モチーフにしたのは「万媚」銘 化生
数多く存在する「女面」から今回「その美しさは百の媚にも勝る」と伝わる「万媚」という「面」をモチーフに選びました。
「万媚」には「化生」という銘がついています。「変わる・化ける」という意味ですが、お化粧にまつわるアイテムとしてぴったりではないでしょうか。
「面」の側面にはぐるっと一周する形でファスナーパーツがあり、中にコスメアイテムなどを入れることができます。
あえて採用のあたたかみを感じる起毛素材。
表面は手触りのいい起毛生地で仕上げています。本来の「面」とは全く違う素材感ですが、使用時にあたたかみを感じる仕上がりにしています。プリントで再現された「面」のデザインも、とてもリアルです。
機能的かつシンプルで使いやすい内側部分。
内側にはブラシなどを収納できるホルダーと、こまごました物をまとめて収納できるメッシュポケット付きです。
内側にはコラボレーションさせていただいた京都観世会館とのダブルネームのタグをレイアウトしています。
裏面もこだわりの仕上げ
コスメポーチ裏面には、「面」の裏側に刻まれていた「化生」の銘もしっかりとプリント再現しています。
監修いただいた片山 九郎右衛門さんにご報告
監修いただいた能楽師 片山 九郎右衛門さんに、「化生の面コスメポーチ」の仕上がりを見ていただきました。
コスメポーチであっても、モチーフとなった「面」への敬意をもって、ていねいに扱ってくださる片山 九郎右衛門さん。裏側までしっかりとチェック。
仕上がりにご満足いただけたようでひと安心です。
かけることでさまざまな感情を表現する「面」をモチーフにした「化生の面コスメポーチ」を使うことで、能を身近に感じることができればうれしいです。
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