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写真とカメラを大仰に語る

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写真とカメラについて、思ったことを書き連ねたものです。小さなことを大袈裟に。読んでために…ならないコラム集です。
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2024年6月の記事一覧

焦点距離はなぜキリが良くないのか。

焦点距離はなぜキリが良くないのか。

 21 24 28 35 50 75 90 135…

 写真を始めた頃には疑問にも思うことがなかったが、あるときふとなぜなんだろうと思うようになった。
 この、焦点距離の数字の中途半端さ。
 ライカのレンズにある焦点距離をあげただけでも、きっちりとした数字のものは50mm 90mmくらいしかない。5という数もまあキリがいいとしたとしても35mm 75mm。なんだこの5mmは、となってしまう。

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等倍ファインダーの楽しみ

等倍ファインダーの楽しみ

 等倍ファインダー。
 もう何度かnoteでも書いているけれど、両目を開けて写真を撮るという行為がとても楽しい。
 特にライカM10-Rを導入してからは、そのファインダー倍率に1.4枚のマグニファイアをつけることによって1.008倍というほとんど完璧な等倍となることもあり、これなしで撮影することができなくなっている。
 僕がライカを使う理由の大きな部分を占める等倍ファインダー。
 しかしこの「機能

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写真が眼差すもの。

写真が眼差すもの。

 月を見て、小さな子どもが言った。
 ほら、お月さまが笑ってるね。

 男がため息混じりに呟く。
 今日の月は泣いてんなあ。

 和歌の世界や詩の世界で行われる擬人法によって、泣いたり笑ったりする、それら人ではないものの感情は、その実、その言葉を口にした者の感情に他ならない。自身の気持ちを、自分ではない何かに託すのである。

 写真は、撮る対象がなければ成立しない表現だから、自身の外へ目を向ける必

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