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【えりた書店】

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元書店員で、雑食系活字中毒者のえりたが「おもしろい!」「好きだ!」と思った本をジャンル問わずにご紹介。売れ筋の本も、ひっそり輝く本もステキポイントをずっしり掴んで書いていきます。…
一か月で10本の書評を放り込みます。記事単体では300円ですから、マガジンの方が絶対にお得。また、…
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#書評note

■物語だからこそ感じるセーシュン―『哀愁の町に霧が降るのだ』

大学時代、椎名誠さんのエッセイで ある方が「1年で1000冊読んでいる」と 仰っているのを読みました。 その直後、なぜか私は 「んじゃ、200冊なら行けるんじゃね?」と 根拠もへったくれもなく 至極唐突に考え付き 四の五の言わず実行に移したのです。 その結果が今の 「重度の活字中毒雑食系」。 なぜ、200冊だったのか。 なぜ、可能だと思ったのか。 なぜ、実行したのか。 それは未だに分かりません(笑) が、#読書の秋2022 の企画で 椎名誠さんの作品が 推薦されているの

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■日常のなかにある歴史と自分―『羊飼いの暮らし』

以前、友人が すぐ近くに山がないのって 関東と尾張くらいなんだよねと話していました。 確かに、関東は関東平野が広がっていますし 私が暮らす尾張には濃尾平野があります。 言われるまで ほとんど意識したことはありませんでしたが、 たとえば、山を背にする新神戸駅とか 新幹線で広島あたりを走ってるときとか 生活のすぐ背に山のある土地が 日本には多いことに気づきます。 そして、濃尾平野で育った私は すぐ近くに山があることのもたらす感覚を 持たないのです。 そう考えると 生活圏に山が

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■コミュニケーションの基本を知る―東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』

こんばんは。えりたです。 本日、読了したのはコチラです。 『聞く技術聞いてもらう技術』 ■東畑開人 ■ちくま新書 ■860円+tax ■ISBN:9784480075093 東畑先生の本は幾つか読んでいて 今回もそのご縁で購入しました。 はじめに 「『聞く』と『聴く』の どちらが難しいと思いますか」と 筆者は問いかけます。

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■憧れを現実にするために、覚悟を決めて腹をくくる―『書く仕事がしたい』

こんばんは。えりたです。 本日、読了したのはコチラ。 『書く仕事がしたい』 ■佐藤友美 ■CCCメディアハウス ■1500円+tax ■ISBN:9784484212258 大学時代、活字中毒に堕ちてから ずっと「本を読んで生活したい」と 願っていました。 そして、もう一つ 心のどこかでずっと 「書く仕事がしたい」とも 思っていたのです。 そんなこともあり、 一時期、私は Webライターの仕事に手を染めました。 しかし、その時は Webという媒体に うまく自分を合わせる

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■掌の上で心地よくフルコンボを喰らう―『偽者論』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した本はコチラです。 『偽者論』 ■尾久守侑 ■金原出版株式会社 ■2200円+tax ■ISBN:9784307102216 この本は、まず装丁が印象的です。 ピンク系玉虫色のカバーが きらきらしていて。 見る角度によっては ショッキングピンクにも見えて。 しかも、 タイトルの字体やデザインにも 意匠を凝らしてあって。 ポップで目を惹くのに ちょっと近寄り難さもあって。 結果、めちゃくちゃ好きっていう。 そして、中のデザインも めち

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■嘘でつながる。知らんけど。―『ぼくらは嘘でつながっている。』

こんばんは。えりたです。 本日、読了したのはコチラです。 『ぼくらは嘘でつながっている。』 ■浅生鴨 ■ダイヤモンド社 ■1500円+消費税 ■ISBN:9784478116753 この本の副題は 「元NHKディレクターの作家が明かす 人間関係の悩みが消える シンプルな思考法」です。 読み終わった今、思うことが 「うん、、、シンプルな思考法?」 だったりするのは、 きっと浅生さんのマジックに 気前よく幻惑されているからなのでしょう(笑) そして、この本は 表紙からして

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■グラデーションを許容するために―『夕暮れに夜明けの歌を』

こんにちは。えりたです。 前回更新してから 原稿の方がのっぴきならないことになり noteまでたどり着かない、どころか 読書もままならない状況に陥っていました。 うん。 もう少しでいいから 体力とか体力とか体力が欲しい。 さて、そんな久々noteな今日はおやすみ。 昨日のジャンプコミック右往左往祭りを つつがなく?終え 今日はひさびさに のんびり読書しておりました。 今日読み終えたのはコチラ。 『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』 ■奈倉有里 ■イースト

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【読書note/人文】『親切人間論』

今日ご紹介するのは、水野しず著『親切人間論』(講談社刊)です。 本書は、水野しずさんのnote「水野しずのおしゃべりダイダロス」(2019年11月~2021年12月)の一部を再構成し、新たな書きおろしを加えたものです。 こちらは、 ・有料noteが動かなくて途方に暮れている人 ・「紙の本」という物体が大好きな人 ・ダイエットやかたづけなどで迷子になってる人 におすすめです。 もちろん、人によって刺さるところはかなり異なると思いますが、私にとってはこれらの考えごとにズーム

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【読書note9/新書】『世間ってなんだ』

幼い頃から、読書を好みながら成長しました。が、活字中毒の沼に自ら飛び込んだのは大学に入ってからでした。そのため、中学、高校の頃は、然程の冊数を読んでいたわけではありません。 そんな私が高校の頃からずっと読み続けていたのが、鴻上尚史さんのエッセイです。『鴻上夕日堂』シリーズも単行本で読破しましたし、『ドン・キホーテ』シリーズも連載当初から読んでいました。 鴻上さんのエッセイは、いつも不思議なほど、その時々の私に必要なことばや考え方をくれるのです。それは今も昔も変わらず。私は

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【読書note8/人文】『哲学の門前』

本を選ぶとき、 なるべく誰かが勧めているものを 読むようにしています。 自分で選ぼうとすると それこそ手癖でふいふいと決めてしまい いつも同じジャンルや同じ作家さんのものを 読んでしまいがちです。 それはそれで楽しいのですが でも、せっかく本を読むなら いろんな分野、いろんな作家さんに触れたい。 そう思い、Twitterを眺めては 気になる本をチェックしています。 でも。それでも。 同じ方のおススメ本を こつこつ読み続けてしまうと それはそれで偏ります。 最近、遅ま

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【読書note7】『だいたい人間関係で悩まされる』

自分のなかでは当たり前だったのに、人から見たら「かわいそう」と言われることがあります。 高校のとき、あれこれ気持ちが追い詰められて、教室に居るのが苦痛になっていた時期がありました。 そんなときは、近くのマックへ逃げたり、誰もいない生徒会室で読書したり。あるいは、保健室の先生のところに行き、ずっとしゃべって過ごすこともありました。 たしか、あれは、保健の先生に、中学時代の主に家族のことを話していたときのことです。ひと通り話したあと、保健の先生は私にこう言いました。 「あ

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【読書note5/文芸】『スローシャッター』

本の佇まいに惹かれることがあります。 表紙のデザインや捲る頁の紙質、 使われている写真、文字の並び…… 厚みや持った重みも全部含めた「佇まい」。 そういった、ことばにならない、 でも、「本」を成立させるには たいせつな諸々が 丁寧に細やかに作られている本を目にすると 思わず手に取り、そのまま読み始めてしまう。 私にとっては、この『スローシャッター』が そんな一冊でした。 ■『スローシャッター』 ■田所敦嗣著 ■ひろのぶと株式会社 ■2022年12月 ■1800円+ta

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【読書note4/新書】『健康の大疑問』

思うよりも素直な性格をしている自覚があります。斜めではありますが、そこそこ真っ直ぐなんですね(笑) なので、そのとき読んでいる本から大いに影響を受けます。考えとか文体とか。 なので、特に医療系の本を読むときは注意しています。 真に受けて、自分の身体に何かがあるなら、まぁそれは選んだ自分の責任なのですが。人に勧めて、その人に何かあった場合、何の責任も取れません。そう思うと、慎重にならざるを得ないのです。 だから、医療系の本を読むときは、私自身が信頼しているお医者さんがおス

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【読書note3/短歌】『短歌ください 海の家でオセロ篇』

国語講師をしていた時は苦手だったのに、辞めてから「存外、好きかも」と思えたものがいくつかあります。その一つが「短歌」です。 もちろん、「詩が足りない」と評されがちな私が短歌を創れるはずもなく、もっぱら鑑賞する側ではありますが(笑)。時折、短歌集を手にとってはぼやぼやと眺めているのです。 今回ご紹介するのも、そんな一冊です。 ■『短歌ください 海の家でオセロ篇』 ■穂村弘著 ■KADOKAWA ■2023年2月 ■1800円+tax 本書は、『ダ・ヴィンチ』(2018

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