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【えりた書店】

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元書店員で、雑食系活字中毒者のえりたが「おもしろい!」「好きだ!」と思った本をジャンル問わずにご紹介。売れ筋の本も、ひっそり輝く本もステキポイントをずっしり掴んで書いていきます。…
一か月で10本の書評を放り込みます。記事単体では300円ですから、マガジンの方が絶対にお得。また、…
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#わたしの本棚

■「ありたい私」で生きてくこと―『正々堂々』

ちょっとだけかなしい思い出から。 私は三姉妹の長女です。 うちの末っ子さんは 大きな病気をしたこともあり それはそれはかわいがられて育ちました。 毎日のように 「かわいいねぇ」と言われている妹。 歳が離れた長女であり、 しっかり者であることを求められた私は そんな妹が羨ましくて仕方なかったのです。 でも、ある日。 幼かった私は意を決して母に尋ねました。 「えりちゃんもかわいい?」って。 そしたら。 ちょっとした沈黙のあと 「えりちゃんは…まぁ愛嬌はあるよね」 苦笑いし

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■したたかにしなやかに、思うように人生を歩んでいくこと―『いつも異国の空の下』

中学三年生のとき 国語の教科担当だったT先生。 ベテランの先生で、 授業もとても分かりやすかったです。 ちょっとお茶目な、でも、 基本真面目な国語の先生って感じ。 国語が好きだった私は いつも先生の授業を楽しみにしていました。 卒業も間近になった 最後の国語の授業の日。 「今日はちょっとお話しましょうか」 そうおっしゃった先生は 教科書を置き いつもとは違う話を始められました。 それは、T先生というより Tという「ひとりの女性」の話でした。 まだまだ子どもだった私は 「

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■実践が導く思索が見ないフリしたものを炙り出す―『ぼくはウーバーでねん挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』

売れていたり、話題だったりしても 自分には縁遠い気がして 手に取れない本があります。 私にとって 『人新世の「資本論」』がそうでした。 トライしようと、書店で何度か 実際に手に取ってみたのですが そのたびに、しっくりこなくて そっと棚に返していたのです。 今回、読んだのは その筆者である斎藤幸平さんの新刊です。 『人新世の…』を読む準備運動ではありませんが 気軽に読めそうなものが出ていたので 購入してみたのでした。 ■『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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■自分の「好き」をまっすぐに放つ―『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』

ぼんやりと本を眺めながら 書店をふらふらしていると 時折、本と「目が合う」感覚があります。 事前知識も、何もないのに ただその本と「目が合う」。 目が合ってしまう。 そして、それを手に取ると 紙の感触や、書籍の持つ重みが しっくりきっちり馴染んでいる。 そういう本は「買い」です。 間違いなく面白い。 中をパラパラ見るとかしなくても 絶対に面白いと分かる。 何より、視覚、触覚、嗅覚、聴覚が 「これは絶対、今買っとけ」と教えてくれる本。 今日ご紹介する本とは そんな風にし

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■孤独と言葉とちくわ天―最果タヒ『もぐ∞』

うどん屋さんに行くと なぜか、必ず「ちくわ天」を頼みます。 先日など、うどんの量を小盛にしてまで 「ちくわ天」を頼む始末。 私はどうしてこんなに 「ちくわ天」を愛しているのだろうか。 などと思っていたら、私と同様に 「ちくわ天」を愛している人を発見!な 本がコチラです。 ■『もぐ∞』について □最果タヒ □河出文庫 □2022年4月初版(単行本は2017年) □570円+tax

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■気持ちをざわつかせる言葉たち―『今日拾った言葉たち』

その昔、院浪をしていたころ、 私は、自分を説明するための「肩書き」を 持っていませんでした。 そのときの寄る辺のなさは ずいぶん時間の経った今思い出しても ちょっと強めのしんどさが ズンっとココロにのしかかってくるほど 重く、圧の大きいものでした。 そして、 そのとき感じていたしんどさや寄る辺のなさにも ちゃんと理由のあることを教えてくれたのが こちらの本です。 ■『今日拾った言葉たち』 □武田砂鉄 □暮しの手帖社 □2022年10月初版 □1700円+tax

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■今ここにある「差別」から目を背けずいること―『看護師に「生活」は許されますか』

第1波がやってきていたある日、 私はひとりで名古屋城にいました。 いつもなら、観光客で賑わい 武将さまが陣笠さんを従えて闊歩し 其処此処に 楽し気なざわめきが漂う名古屋城。 でも、そのときお城にいたのは 私ひとりでした。 桜の咲き始めたお城を歩いていると いつもは天守閣の屋根に屯している カラスたちが我が物顔で城内を闊歩しています。 その光景を見ていると 通い慣れているはずなのに 初めて訪れたような錯覚に陥りました。 そして、 時間も空間も歪んでしまったような そんな困

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■他者の読書を垣間見る―落合陽一 『忘れる読書』

■思考が止まらない! 読んでいるときからずっと 思考が回転し続けてしまう本があります。 今回、岡山旅行へ持参して読んだ 落合陽一さんの『忘れる読書』(PHP新書)が まさにそれでした。 では、そのとき 私は何を考え続けていたのか。 それは。 自分自身の読書に対する姿勢についてでした。 落合氏の読書との共通点、相違点、 そこから得られる展望について 私は本書を片手に、 文字通り一晩中、点検し反省し、 言語化し、考え続けていたのです。 ■『忘れる読書』について 『忘れ

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■転がる好奇心で、拡張する世界―『パンダのうんこはいい匂い』

こんばんは。えりたです。 本日、読み終えたのはコチラです。 『パンダのうんこはいい匂い』 ■藤岡みなみ ■左右社 ■1800円+tax ■ISBN:9784865280951 ■異文化に触れるということ 「異文化」という語を聞いて どんなことを思い浮かべますか?

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■思考によって日常を冒険に変えてみる―『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』

こんばんは。えりたです。 本日読み終えたのはコチラの2冊です。 『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』 1.まだ歩きださない 2.読めないガイドブック ■友田とん ■代わりに読む人 ■価格 1.700円+tax 2.1500円+tax

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■本を読むことの幸せに満ちた物語―『やんごとなき読者』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した本はコチラです。 『やんごとなき読者』 ■アラン・ベネット著/市川恵里訳 ■白水社(Uブックス) ■1300円+tax ■ISBN:9784560072363 こちらの本は 病理医ヤンデル先生のこちらのtweetが きっかけで購入→即読みしました。

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■「これまで」と「これから」を「ここ」から見つめる―『文にあたる』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した本はコチラ。 『文にあたる』 ■牟田都子 ■亜紀書房 ■1600円+tax ■ISBN:9784750517544 こちらの本の内容は 帯文が端的に教えてくれます。 以前、2年間ほどでしょうか 校正の仕事を請け負っていた時期があります。 私はプロの国語講師でしたので とある出版社さんの 小学生、中学生向けの国語の問題集の初校を 担当していました。

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■きみをしんじてる―『ラブレター』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した書籍はコチラ。 『ラブレター』 ■幡野広志 ■ネコノス ■2200円+消費税 ■ISBN:9784910710044 私が購入したのは 初回特装版です。 水色の封筒型の仕様になっていて 幡野さんのお写真が サイン入りで封入されています。 内容は、タイトル通り「ラブレター」。 幡野さんが奥さんにあてたお手紙です。

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■なるべく後悔少なめで生きてくために―『限りある時間の使い方』

こんばんは。えりたです。 本日、読了したのはコチラ。 『限りある時間の使い方』 ■オリバー・バークマン著/高橋璃子訳 ■かんき出版 ■1700円+tax ■ISBN:9784761276157 こちらも、あちこちの書店における ビジネス書部門で、何週かに渡り 週間ランキングに ランクインしている書籍です。 ・ ・ ・ 人の一生は「週」で数えると どれほどになるか? という疑問から 本書は出発します。

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