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”外国”人と”日本”人

March 23, 2022

昨日は冬のような寒さでしたが、こないだの日曜には桜の開花宣言。あさっては卒業式で、学生にも大学にも新年度はすぐ近くまでやってきています。

本学には約4600人の外国人学生が在籍(2021年11月現在)していますが、外国人の入国が制限(※)されてから約2年。2020年4月以降、本学ではいまも約1000人が渡日遅れとなっています(2022年4月入学者を除く)。
入国制限は国境管理(border control)の一環ですが、日本の場合は海に囲まれた島国のため「国境」ではなく「水際」対策と呼ばれます。日本の水際対策は、人の移動によるウイルスの感染拡大への対策である一方で、「外国人」と「日本人」を線引きしていることについて、昨年末には世界保健機関(WHO)に「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」と批判されました。
(※)今月からは受入機関が対象者の入国に責任をもつという条件付きで入国可。

日本における「外国人」は国籍法で定義されていて、「外国人」は「日本国民」ではない者。「日本国民」は、日本国籍をもつ者を指すそうです。
また、本学における学籍では、「外国人留学生」に永住者等(※)は含みませんが、「外国人学生」と言うとき、永住者等は「外国人」に含まれます。「永住者等」というカテゴリーには、日本で生まれ育った日本出身者も多くいますが、入管法と入管特例法による在留資格をもつ「外国人」とされている、不思議な区分になっています。
(※)日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、永住者、定住者、特別永住者

ところで、多様性をうたうサンフランシスコ州立大学ではInternational Student(外国人留学生)の割合は意外に少なく、約7.8%(本学は約13%)。なにげなくオフィスの人に尋ねたところ、数字の低さにオフィスの人たちも驚いたほど。キャンパスには、外見や言葉から、見るからに「いろんな人」がいるのにと思いましたが、サンフランシスコでは、英語以外の言葉が母語の人や、外見からアジア的な親近感を感じる人、はたまた名前が日本由来のような人も、「アメリカ人」であることがめずらしくありません。アメリカ以外の土地にルーツがありそうな人も、「外国人」ではないことが多く、そのため、「外国人留学生」の数は少なくなっています。
オフィスでも、時々、仲のいいスタッフどうしで中国語が飛び交っていることがありましたが(中国語がわからない人が会話に加わると、英語にスイッチ)、彼女たちは台湾系アメリカ人。日本ではほかの国にルーツのある日本出身者を在日○○人と呼びますが、アメリカでは、逆(○○系アメリカ人)になります。

サンフランシスコでは自分が「外国人」であると強く感じることはありませんでしたが(その分、お客さま扱いはしてもらえないという大変さは有)、自分がアメリカのマジョリティである「白人」ではないと感じることはありました。
アメリカ全体では白人が約57.8%を占めますが、カリフォルニア州はアジア系が多い土地柄で、サンフランシスコの人口構成比は白人(ヒスパニック系除く)が約39.8%、アジア系が約34.6%。サンフランシスコ州立大学の学生の構成比も、ヒスパニック・ラテン系が約32.7%、アジア系が約24.8%、白人が約18.2%、黒人・アフリカ系が約5.8%と、人種の偏りは少なめです。
サンフランシスコ州立大学はアメリカ国外への留学(学生の送り出し)が盛んな大学ですが、留学する学生の人種の構成はキャンパスの構成比とほぼ同じ。Study Abroadのウェブサイト(当時)には、「学生の年齢、民族、ジェンダー、経済的状況等にかかわらず、学生の留学を支援する」と明記されていました。これには、アメリカ全体では、留学する学生の約70.8%が白人(2016年時点)という背景があります。

Diversity and Inclusion(多様性と包摂性)という言葉がよく聞かれるようになりましたが、多様性(ダイバーシティ)は様々な人の属性という「事実」を認めることで、包摂性(インクルージョン)はいかなる属性も排除しないという「行動」である、と言われます。
日本で「外国人」と言うときに、その響きが必ずしもニュートラルではないのと同様に、アメリカでもたとえば「Black(黒人)」と言うときには「White(白人)」という言葉に比べ、字面以上の意味をもちますが、そのちがいを見てみぬふりをしないのがサンフランシスコでした。

さて、パソコンの前で資料作成や表計算に没頭していると、だれでも、肩も考え方も凝り固まってしまいます。寒くなったり暖かくなったり花粉が飛んだりと、春の気候は揺らぎますが、暖かくなると、血管が広がることで低血圧になりやすく、気持ちも不安定になりがちなのだとか。
今日はノー残業デーです。今日ははやめにパソコンを閉じて、定時で帰宅して、年度末の疲れた身体をゆっくりリフレッシュするのはいかがでしょうか。ほどよくサボり、身体とこころを休めるのも仕事のうちです!

(写真:サンフランシスコ州立大学Office of International Programsのスタッフ)

*ソフトバンク孫正義社長のスピーチ:「泣きたいほど望んだ」日本国籍をやっと得たと語っています
https://www.youtube.com/watch?v=xTZRj-as2WI (Youtubeなので音が出ます)
書き起こし:https://curazy.com/archives/70653

*San Francisco State University Study Abroad:ファーストジェネレーション(大学進学の第1世代)、LGBTQ+など、マイノリティに向けたページが設けられています
https://oip.sfsu.edu/studyabroad

*UTokyo D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)キャンぺ―ン2022
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/actions/diversity-inclusion.html

*Knock Knock(こんこん、だあれ?):アメリカの言葉遊び
「Knock knock(ドアをこんこん)」「Who’s there?(だあれ?)」というやりとりでジョークを交わすという、「外国人」にはかなり高度な言葉遊び。オフィスでみんなぱっと反応していたので、「アメリカ人」はみんな
分かるのかも。
例:「Knock knock」 「Who’s there?」 「Tank who.(タンクです)」「You’re welcome!(どういたしまして!)」(Tank youをThank youとかけている)

*アメリカ人ってだれのこと?(過去のノー残業デーコラムです)
https://note.com/erikah_ut/n/n9ab353623757

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