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【5】集中できる執筆環境を整える。すなわち、オフィスとpomeraとスマホ電源オフ
前回のプロセスはこちら(↓)。
ようやく、書き始めるための設計図が仕上がりました。ここまで来ると一気に書いてしまいたい気分になりますが、気分のままに書き始めると長期戦はもちません。どうどう。
実はわたしの虚弱な集中力では短期戦でももたないので、1200字程度の短い原稿を書くときも、書く前に環境を整えます。こういう「自分のトリセツ」は、数えきれないほどの失敗を重ねて(つまり、集中力がもたずに涙の敗戦や撤退を重ねてきて)、徐々にできあがってくるものなんだなあ、とこうして書いていて気づきました。
執筆する場所は、家じゃなく、カフェでもなく、図書館でもなく
家にいるとどうしても家事やらプライベートな雑事やら別の仕事の話やらが割り込んできて、なかなかそういうものを自分の頭からシャットアウトしきれない。
2~3時間で仕上げられるような原稿ならカフェに行くことも多いんですが、今回は本を丸ごと一冊書くので、一日5時間以上は書き続けるでしょう。となるとカフェはいささか不適。隣のテーブルの会話に注意を奪われることも多々あるし。
近所には静かで、机も広くて、新しくて、窓が大きくて、緑に囲まれた素敵な図書館があるのですが、それだけ好条件だと席の争奪戦が激しい。
というわけで、わたしが本の原稿を書ける場所はコワーキングスペースに絞られてきました。図書館やカフェよりお金がかかるけれど、集中しきれない状態で原稿を書くよりは、質を担保する意味でも自分の気持ち的にもずっといい。
児童書読み物だとたいてい2~3週間で書き上げるので(もちろん第一稿の完成度は低いですが、とにかく初めから終わりまで書く)、時間当たりではなく一週間単位で借りられるコワーキングスペースを探しました。
幸い、家から歩いていける範囲に見つかったので、毎日そこに出勤です。こうやって日常生活そのものを変え、「特別な期間」として位置づけます。
仕事でお世話になっている人にも友人にも家族にも、この期間は身動きできないのでよろしく、とあらかじめ伝えて原稿書きに臨みます。
明治時代の文豪なら、ひなびた湯治場にこもって執筆にいそしむところ。昭和の大作家なら、ホテルに缶詰めにされて書くところ。令和の零細作家はコワーキングスペースで書くのだ。がんばれ、わたし。
古びたビルの窓のないオフィスなのであまり気分は上がらないけど、禁欲的でいいともいえる。会話可能スペースと禁止スペースと、さらにキーボード禁止+電卓禁止のスペースが分かれているのがすごい。わたしは会話なし+打鍵あり人民なので、2番目の部屋に入ります。
PCは使わない。書くための道具は「ポメラ」
ノートパソコンは持って行きません。やれることが多くてネットにもつながると、原稿で行き詰まったときにすぐにほかのタスクに逃げ込んでしまうから。
使うのは、KING JIMのテキスト作成専用機「ポメラ」です。できるのは書くことだけ。ネットは使えません。メールもチェックできません。とにかく書くことだけに集中させてくれる道具です。
パカッと開けた瞬間に画面が立ち上がるのもいい。乾電池なのでこまめに充電する必要なし。充電切れの心配も、ケーブル忘れのがっかりもなし。500gほどのコンパクトサイズで、バッグに入れておいて重さを感じることもない。
メーカーの最新機種は「DM250」だけど、わたしの愛機はもはや何年のつきあいだろう……えーと、「DM100」だった。2世代以上前ですね。
いいんです、単機能だから。古くても動きさえすれば問題ない。記録媒体はSDカードです。
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スマホ電源オフ
せっかくポメラを使っているのにスマホでネットにつながっていたら意味がないので、「書くぞ」と決めた時間帯はスマホの電源を切ります。機内モードにするのではなくて、物理的に電源オフ。
そうして、必ず2~3時間ごとに休憩をいれる。そのときには電源を入れてもいい、というルールにしておく。スマホとポメラは同時に稼働させない。
休憩も、できるだけ意識的に、時間を決めてとる。30代までは行き当たりばったりに「疲れたら休憩する」でもよかったんだけど、40代も最終盤のいまはそれなりに意識的に入れないと、頭も体も健やかに保てない(つまり原稿を書くスピードも質も落ちる)ことがわかってきました。
たぶん、「水をこまめに飲んでおくと脱水を防げる」とかと同じことだと思います。喉がカラカラになってからじゃ遅いんですよね。
最初の数日は、スマホの電源を切ってあるのについスマホに手を伸ばしてしまうことも。まだ、脳が「原稿書くモード」になっていないせいですね。文章に悩んだり、「お、ここはするっと書けたぞ」と自分に満足したりした瞬間に、スマホに手がいっちゃうんです。
しかし、なんでも辛いのは最初だけ。重い「静止摩擦期」を乗り越え、書くことが通常運行になってくると、スマホの電源を切らずにバッグに放り込んでおいても、スマホの存在を忘れて原稿書きが進められるようになっていきます。
さて、何をどんな風に書いているのかをどこまでここで書けるだろう…。中身を書くわけにはいかないし。発売直前になったら実際の原稿を一部公開しようと思っていますが、それまでまだ数か月ありますしね。
次回は、「書き出し」について書いてみようかな。このマガジンは本とは正反対で、まったく構成を決めずに書き始めたのでスリリングです。ではまた、近いうちに!
(【5】終わり)
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