【読書】「死」宮崎学
勤務先の元上司に送らてきていた財閥系グループ広報誌に「メメントモリ」というコーナーがある。そのコーナーで写真家・宮崎学氏の「死」という写真集が紹介されいた。
お墓も戒名もいらない。私をおくる時はお経ではなくラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」でも流して欲しい。遺灰はふるさとの太平洋に撒いて欲しい。そんな死生観を持つ私にとってうってつけの一冊だった。
三体の動物の死が紹介されている。
「秋の死・ニホンカモシカ」
「冬の死・ニホンジカ」
「春の死・タヌキ」
死を貪り食う動物たちも体毛までは食さないが、体毛は鳥たちの巣作りの材料となる。
人間様のとなえるSDGsは、このリサイクルの前では空しい。
三体の動物の死の中でも「冬のニホンジカ」の死は見事としか言いようがない。写真集の表紙になっていて、この記事の表題に用いた写真がそのニホンジカである。死後、死臭が漂う前にこの状態に遭遇できたようだ。このニホンジカが行きついた世界を紹介させて欲しい。