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【美術展】蓬春と源氏絵/山口蓬春記念美術館

「源氏物語」、煌びやかな屏風絵も好きだが、現代語訳本の挿絵にも趣を感じる。谷崎潤一郎新訳「源氏物語」の「薄雲」「繪合」「松風」「槿あさがお」の挿図が展示されている「山口蓬春ほうしゅん記念館」(神奈川県三浦郡葉山町)の夏季企画展(2024年8月10日(土)~9月23日(月))へ行ってきた。

2024年8月24日(土)
マンホールの蓋がヨット。さすが、葉山。

学芸員による展示解説に合わせ訪れたが、初めての美術館、混み具合が分からない。酷暑の中、電車、バスを乗り継ぎの訪問。解説が聞きたくて言ったのに、定員(10名程度)オーバーで聞けなかったら悲し過ぎる、勇んで開館と同時に行ったら、受付の方に、『今から午後の解説までだいぶ時間がありますよ』、と怪訝な顔をされてしまった。
午後、解説の時間になり受付の前に行ったら、私を含め3名!
受付の方の怪訝な顔の意味が氷解した(;^ω^)。
展示品はすべて撮影がNG。

林美木子氏の貝桶が素晴らしかったので、画像だけでもないかな、とググったら、ヒットしたのが、これ。

「源氏貝桶 貝おおい 一揃」林美木子 1991(平成3)年

「家庭画報」からお借りした
https://shop.sekaibunka.com/c/mikiko-hayashi-collections/?category_id=mikiko-hayashi-collections&category_id=mikiko-hayashi-collections&category_id=mikiko-hayashi-collections&category_id=mikiko-hayashi-collections&category_id=mikiko-hayashi-collections
第二帖 帚木
絵は帚木と言えばお約束の、源氏が寛いで友人との女性談義。

大きさが伝わりにくいが、この貝はしじみより大きく、あさりよりも小さいくらい。その中にこんなに美しい絵が、54帖一揃えある。

建物内は撮影可能だった。

1階「桔梗の間」どのお部屋からも庭園の眺めが素晴らしかった。

「桔梗の間」から「茶の間」へいく廊下に、当時使われていた食器類が展示されていた。どの食器も大切に使われてきた感がヒシヒシと伝わってくる。使っていくうちにつく、無数の目に見えない細かい小さいキズがその器に、新品にはない、人の手の面影が偲ばれるんじゃないだろうか。一つひとつじっくり見ていても見飽きなかった。

2階「旧画室」

この階のガラスケースに、谷崎潤一郎の「新々訳源氏物語」が展示されていた。

2階「旧画室」からの眺め
2階「旧画室」からの水平線
母屋から「別館」へ
日傘が用意されてあったので有難く使わせていただく

別館では山口蓬春を紹介した約20分の資料映像を見た。

別館2階からの庭園の眺め
「画室」
「画室」からに限らず、庭園の眺めが実に素晴らしかった

「画室」はこの通り、壁の一面がほぼ窓。窓が大きいと外気温の影響を受けやすいが、このお部屋は他のお部屋よりもモワン、と暑かった。でも、山口氏がここで絵筆をとっていらした頃の夏は、もっと涼しかったのだろうな。

「画室」から裏庭の眺め


半券と「望郷」の絵葉書

最近は美術館のチケットがデジタルのみ、のところが増えた。このように半券があると、栞に使っている。本のページを開く度に、訪れた美術館での美を邂逅できる。

この美術館では、シンボルマークに使っている白熊さんの絵「望郷」は小下絵のみの所蔵。大きい「望郷」は個人(企業)さん所蔵だそうで、なかなかお貸し頂けない、と学芸員の方がちょっと寂しそうにおっしゃていた。

山口蓬春記念美術館のHPには、過去の展示会のアーカイブとして、大きい「望郷」のほかに小下図、小下絵、も掲載されている。

私がここで見た「望郷 小下絵 1953(昭和28)年」には、ペンギンが3羽描かれていた。

庭園も建物も、見どころたくさんで、季節の良い時にそれこそ本でも持ち込んで一日ぼーーーっと、過ごせそうな、静かで品のある美術館だった。
しかし、いかんせん、首都圏にあるとは言え、電車の駅から遠い。午前中なんてほぼ私一人の貸し切り状態だったんじゃないだろうか。
お近くに住んでいらっしゃる方が羨ましい、素敵な美術館であることは間違いない。

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